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パンデミック後のPRC⑥ 科学技術振興で反撃に出る米国

 

(Mark Schiefelbein/AP)



見対立があたりまえの米議会も中国への怒りで団結している。

米議会は1,000億ドルを全米科学財団に投じ人工知能、量子コンピュータ、高度通信技術、ロボット工学他の研究を促進させる。超党派提案で上院の民主党議員トップが仕切っている。
上院の民主党院内総務チャック・シューマー議員がまとめた無限のフロンティア法案では全米科学財団を全米科学技術財団に改名し、「DARPA並みの権限」を有する技術局を創設し研究開発契約を交付させる。5年間で1,000億ドルを投じる。
普段は分断ばかり目立つ議会だが、中国への怒りでひとつにまとまってきた。下院は水曜日にイスラム少数民族の人権抑圧に対し中国関係者を制裁する法案を、上院は香港で取締りを強める中国への懲罰を検討した。
シューマー法案にはトッド・ヤング(共、インディアナ)も共同発起人だ。下院版は下院軍事委員会メンバーのロー・ハナ(民、カリフォーニア)、マイク・ギャラガー(共、ウィスコンシン)両議員の共同提案。
「歴史的低金利の時代に官民連携で科学技術の大幅な進歩をめざし連邦政府に研究開発事業をさせる」と上記4名の議員はUSA Todayに意見表明している。
「わが国が回復に向かう中、中国が力をつけてきたのを意識すべきだ。強権的政治思想の中国指導部はこの機会を捉え米国を追い抜こうと技術革新へ支出を増やしており、米国民の将来の安全繁栄が脅かされかねない」
法案内容のまとめを見ると、提案にある技術局は以下の技術分野に重点的に資金を回す。
  • 人工知能と機械学習
  • 高性能コンピュータ処理、半導体、高性能コンピュータハードウェア
  • 量子コンピュータ、情報システム
  • ロボット工学、自動化、高性能製造技術
  • 自然環境災害の予防
  • 高性能通信技術
  • バイオテクノロジー、合成バイオロジー
  • 高度エナジー技術
  • サイバーセキュリティ、データ保存管理技術
  • 素材工学、その他重要分野に関連が深い工学や採掘技術
法案では100億ドルで国内少なくとも10箇所の技術ハブを選定し「中核技術の研究開発・製造のグローバルセンター」にするとある。
シューマー議員は原案を昨年11月に提示し、中国を意識した技術の「壮大なる挑戦」としてドナルド・トランプ大統領や上院多数派院内総務ミッチ・マッコンネル(共、ケンタッキー)の支持を得ていたものの、「全面的支援」ではなかったという。
議員スタッフによれば法案提案では2021年度国防認可法(NDAA)に同じ内容を盛り込ませようとしている。上院では6月初めに原案を準備する予定になっている。
シューマーは中国に厳しい態度で臨むトム・コットン上院議員ほか上院軍事委員会メンバーと国防認可法にフェンタニル制裁法を盛り込むことに成功した。同法のねらいは中国含む外国がフェンタニル等合成麻薬を蔓延させた際への対抗にある。
同法案が上程された2019年4月に上院版のNDAA法案もあり、ともに一ヶ月後に通過している。2020年度版NDAAは2019年12月に可決しているがやはりこの内容が盛り込まれていた。
同法案にはハンディキャップがいくつもつく。まず7,000億ドルというNDAA法案の値札を見れば進歩派民主党議員も保守派共和党議員同様に意気消沈するはずと議会スタッフのひとりは述べている。一方でCOVID-19関連対策を見れば議会も大盤振る舞いを許す姿勢を示している。
「現時点で1兆から3兆ドルを口にしており、1,000億ドルなど大金ではない」と同上議会スタッフは述べているのだが。■

この記事は以下を再構成したものです。

By: Joe Gould 

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