スキップしてメイン コンテンツに移動

F-35問題でF/A-18検討を求めるトランプの真意はどこにあるのか


ボーイングに参考価格を算定させてロッキードに値下げを迫るというビジネス上の戦術だと思いますが、ボーイングも当て馬にさせられるだけではたまりません。トランプとは大統領専用機問題もあり、トップ同士で何らかの取引が生まれつつあるのでしょう。ロッキードには心外な事態展開となりショックも大きいのでしょう。当たり前と思っていたことが当たり前に進まなくなるのですから当然ですが。費用を下げれば必ずしわ寄せが何処かに発生し、もともとF-35共同開発国のステータスが無い日本には一番大きな影響が生まれそうです。


Trump Tells Twitter He Wants A Super Hornet With F-35 Capabilities


WASHINGTON —ドナルド・トランプ次期大統領がツィッター上でF-35の価格問題を再び取り上げ、ボーイング第四世代戦闘機を代替対象として検討するよう主張したが、専門家筋は可能性はないと見ている。
  1. 「とてつもない費用規模と予算超過がをロッキード・マーティンF-35で発生していることからボーイングに対し比較検証のためF-18スーパーホーネットの価格検討を依頼したぞ」(12月22日東部標準時5:26 p.m.)
  2. ロッキード・マーティン株価は終値$252.80だったが東部標準時午後7時に$247.75へ2パーセント下落。ボーイング株は1.49パーセント上昇し $158.95につけた。
  3. 今回のトランプ発言でロッキード・マーティン、ボーイング両社にどんな長期的影響が出るか不明だ。F-35が費用超過や技術問題に悩まされているのは周知の事実だが、F/A-18E/Fスーパーホーネットは第四世代機で第五世代機の性能の多くは搭載されていない。例えばステルスであり、データ融合機能だ。スーパーホーネットを再設計してF-35同様の要求性能を実現しようとすれば開発期間は数年におよび、技術開発で数十億ドルの予算が必要となる。
  4. 「次期大統領及び政権とともに最良の性能を確実に納入しながら妥当な価格を当社製実績を元に実現し、安全保障ニーズに答えたい」とボーイング広報は伝えてきた。
  5. これに先立ちボーイング・ディフェンスのトップ、リアン・キャレットはF/A-18は「2020年代中頃を過ぎても十分その先まで供用可能で...現状からさらに進むことは確実」とDefense Newsに述べていた。これに対しロッキード・マーティン広報はトランプのツィッターへの論評を避けた。エンジンメーカーのプラット&ホイットニーも同様。
  6. Teal Groupの航空宇宙アナリスト、リチャード・アブラフィアはトランプのツィッターは「興味を引く議論」であるものの今初めてではないと指摘。「米海軍に取っては悪い提案にはならないでしょう」とし、海軍がF-35C導入をしつつスーパーホーネット追加調達を継続していること、同機の電子戦版E/A-18Gグラウラーも調達していることに言及していた。
  7. だが「現政権の任期終了間際で海軍はC型へ軸足を移さざるを得なくなる」とも指摘。アブラフィアはF/A-18を第五世代戦闘機に回収することの難しさを認めた。「スーパーホーネットは艦載攻撃機であり空母運用で威力を発揮するが、ステルス機になるわけではない」
  8. 今週はじめにクリストファー・ボグデン中将(F-35開発室長)から2011年に事業がナン=マカーディ法に違反し再構築を迫られて移行は順調だとの見解が示されている。中将によれいばF-35の予算執行はほぼ予定通りの日程で予算内におさまっているものの開発段階の飛行テスト日程が7ヶ月程度遅れる見通しと発表。また開発段階の完了には532百万ドルの追加支出が必要だ。
  9. 「2011年時点で130億ドル規模の事業再整備があと数億ドル数ヶ月で完了すると言われれば、『乗った』と明言していたでしょう」「事業は『制御不能』ではありません」とトランプが先にツイッターで示した発言に反論している。
  10. ボグデン中将は21日水曜日にトランプと会い、F-35事業を説明している。ボーイング、ロッキードのトップ、デニス・ミュレンバーグとマリリン・ヒューソンもそれぞれトランプと会見した。
  11. ミュレンバーグからは会見は好意的かつ「非常に前向き」で「肯定的で率直な話し合い」に「力づけられ」たとのコメントが共同取材上で出ている。ヒューソンは会見後コメントを発表していないが、トランプ側は「今回は手始めにすぎない。これはダンスと同じ。だが費用は削減していく。しかも優雅な形で実現していく」と述べている。■ Aaron Mehta contributed to this report.

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...