スキップしてメイン コンテンツに移動

★★トランプがF-35をキャンセルした場合の代替策を考える



F-35は宣伝通りなら画期的な戦力になるのですが、その実現はまだまだ先のことです。機体だけ作ってあとで改修する解決策で量産効果だけ先に実現するのが現在の考え方ですが、カタログスペックが出ない機体を各国が導入しても後で多額の費用がかかるだけです。その間にほぼ20年もかかっているのは驚くべきことですね。一方で大きすぎてつぶせないはずとタカをくくっていたロッキードがトランプの一言で真っ青になっています。考えられないことではなく、考えにくいからと今まで議論になっていなかったことが今や堂々と議論できる環境になってきました。選挙結果でこんなに変化するんですね。

The National Interest

5 Ways to Replace the F-35 Stealth Fighter (If Donald Trump Kills It)

December 12, 2016

F-35共用打撃戦闘機は米国の国防装備で最も物議をかもしている事業だ。
全供用期間を通じた経費が1兆ドルと言われる同機には画期的な性能がある一方で、技術課題に悩まされてきた。そこにトランプ次期大統領からの批判が加わった。
同事業にどんな代替策が考えられるのか。F-22を生産再開するのか、第四世代機生産を続けるべきか。無人機を増やすのはどうか。
実はこの課題は2014年にロバート・ファーレイが検討していた。そこで原文を再掲載したい。
***
  1. エンジン火災でF-35全機が飛行停止措置となり、共用打撃戦闘機の批判派はふたたび同機事業へ厳しい目を向けている。それでもF-35はつぶせないようだ。同事業は全米各地で展開しており、最も親密な同盟数か国も巻き込んでおり、中止はおそらくありえないだろう。
  2. だが中止となればどんな選択肢があるだろうか。今回提示する5案はそれぞれ独立していない部分もあるし、F-35に代わる案は相当の負担が必要であることを最初に申し添えておく。
F-22生産再開
  1. まず考えられるのはF-22の生産再開だ。ラプターの経験値をもとに新生産機は性能向上型にできるのではないか。
  2. しかし生産再開は相当の費用になり、海軍と海兵隊のニーズに答えられない。F-22艦載型は真剣に検討されておらず、海兵隊の軽空母で運用できる派生型が生まれるとは到底考えられない。
  3. そうなると空軍はF-22、海軍はスーパーホーネット追加調達、海兵隊にはF-35Bという組み合わせはどうか。B型が実は一番技術的に厄介な存在であり、ペンタゴンも費用対効果で課題の多い同機を見限る可能性がある。
  4. F-22には別の問題がある。空軍は同機を攻撃用に投入する考えはない。制空戦闘機を攻撃機に転用した例は多い。またパイロット向け酸素供給問題も残る。米国内法でF-22輸出は禁止されており、F-35中止となっても今後は外交問題が浮上しそうだ。
無人機
  1. 殺人ロボット機はどうか。無人機技術は大きな進展を示しており、運用構想も同様だ。米国は無人機投入を拡大して、有人機で行ってきた偵察、近接校区支援、制圧、長距離攻撃なども実施している。
  2. 無人機の課題は空対空戦だ。現在の無人機は空対空機材としてはあまりにも性能が低い。現行の無人機にはスピード、操作性、センサーの各面で最新有人戦闘機に劣る。
  3. 仮に新型無人機がこの課題を解決できても、別の問題が生まれる。自律運用でないかぎり、遠隔操作のデータリンクは敵の妨害に脆弱なままだ。遠隔パイロットの操作を数秒でも失えば、UAVは空中戦で格好の標的だ。ロボットが攻撃判断できるのかという議論もある。無人機は空軍力の一部となるが即戦闘機のかわりになるわけではない。ただし新世代戦闘機が登場するまでのつなぎにはなるだろう。
既存機の性能改修
  1. 米国には高性能戦闘機が多数あり、新型機を製造する産業基盤も残っている。そこで旧型機を改修してはどうか。米第五世代戦闘機の好敵手とよくいわれるSu-27フランカーは冷戦時の機体を改修したものだ。米海軍と空軍も同様の対応をしている。現在のヴァイパーは当初のF-16Aと相当異なる機体になっている。
  2. ボーイングはF-15とF/A-18の発展型としてステルス特性を持たせたり近年の技術発展を反映させる構想をねっており、韓国にF-15サイレントイーグルを提示した。同様にF/A-18にコンフォーマルタンクを搭載し飛行距離を大幅に伸ばす提案もある。F-16改修型も生産続行中だ。
  3. だがサイレントイーグルや高性能版スーパーホーネットは構想段階のままで、実現しても第六世代機登場まで相当長期にわたり供用され性能ギャップを埋める必要が生まれる。既存機種を維持することで機体の老朽化をかかえたまま費用とともに危険性も上がるとの批判が出る。新規製造機体を調達すればこの問題は回避できる。
第六世代機まで待つ
  1. もう一つの方法が第五世代機をすべて断念し、第六世代戦闘機開発に賭けるることだ。六世代機に期待されるのは全周囲ステルス、スーパークルーズ、ネットワーク性能等があり、無尾翼形状となる可能性もあり、レーザー兵器搭載や無人運用も視野に入っている。
  2. すでにこの構想に着手している国もある。日本、ロシア、インド、フランスが第五世代を飛び越して第六の実用化に向かおうとしている。今後も大国間で平和が続くとの期待に冷戦時機材が相当残っていることが組み合わさりこの構想に実現の目が生まれている。
  3. ただし他の選択肢同様に米国で性能ギャップが生まれそうだ。ただ空軍海軍に性能不足のままF-35を押し付けることは回避できる。
  4. 第六世代戦闘機開発はF-35(ならびにF-22)開発に比べればまともになる前提だ。仮定にすぎないが第六世代戦闘機の要素を単一機体にすべて搭載すのは先端企業といえども困難なはずで(特に第五世代機の製造経験がない場合)、費用も相当高くなることは容易に想像できる。また2030年になると既存機種の耐用年数延長は大幅に困難になる。
海外機導入
  1. 一番可能性が低いが米国が穴埋めとしてダッソーのラファール、ユーロファイターのタイフーンあるいはSaabのグリペンを導入することが想定できる。ホーカー・シドレーのハリヤーを除けば米国が海外製戦闘機を導入したことは第一次大戦からない。例外としてイングリッシュ・エレクトリックからライセンス生産したB-57キャンベラが多用された。
  2. だがこの案が成立するのはライセンス供与で米国内で製造組立を行う場合だ。技術移転をヨーロッパ内の同盟国に依頼するのは米国には愉快な経験ではないはずだ。普通は逆だ。
  3. これが実現すれば米防衛産業は萎縮するが、戦力が実証済みの機体を米空軍、海軍に導入できる利点が生まれる。上記三機種はそれでも米既存機種の最新機材よりも十年以上新しい設計であり、今後さらに性能を向上する余地は十分ある。また価格面、性能でも十分説得力がある。
  4. あるいは4.5世代機を韓国や日本から導入する構想も生まれよう。海外販売が実現すれば両国もさらに技術革新を進め生産規模を拡大できる。
そうなると結論は
  1. F-35が途中取り消しとなれば、理想的な解決策は上記選択肢を組み合わせたものになるだろう。各選択肢の比重は異なる。そうなると「UAVと既存機種が何機あれば第六世代機登場まで足りるのか」と考えるのがいいだろう。もし米国が10年後の世界で同格の大国と航空戦力で張り合うつもりがないのなら、選択肢組み合わせで十分対応できるだろう。
  2. だがF-35には強力な支持者があるのは事実だ。(機体にではない。事業への支持だ)その事業を取り消そうとすれば米国内の各種政治利権を押さえ込む必要がある。また国防産業の基盤は広大である。同時に同盟国の諸政府をなだめるのも大変だろう。JSF導入に政治生命をかけている国もあるのだ。とはいえ、代替選択肢を考えることは第一歩だ。■ 


コメント

このブログの人気の投稿

★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…