ロシア海軍のレベルが相当低いということですね。一隻しかない空母で象徴的な意味があるのですが、事故が立て続けに発生しロシアのプライドはガタガタですね。米海軍に張り合うのは無理ということですね。中国もこの事例を観察しているはず。沿海部限定で運用するのなら米国流の運用は必要ないのですが、遠洋航海させれば建造中の新型空母も同じ問題に直面するのではないでしょうか。
Two Big Reasons Why Russia’s Aircraft Carrier Is Having So Many Problems
Inadequate training and poor procedures
by DAVE MAJUMDAR
ロシア海軍はアドミラル・クズネツォフ艦上で艦載機二機を数週間のうちに連続喪失している。同艦はロシア唯一の空母だ。
- 両案件ともクズネツォフの機体回収拘束装置の不良が原因で、MiG-29KUBRフルクラムDとスホイSu-33フランカーDの喪失という高い代償になった。
- 確かに同艦の各種装置は旧式化しているがもっと大きな問題はロシア海軍の航空運用経験が浅く、洋上での航空機運用の技術が不十分なことだ。
- 先に発生したMiG-29KUBRの事故は11月14日のことで燃料切れで地中海に墜落した。同機は甲板要員が拘束ケーブルが切断したのを治そうとする間、上空で待機していた。
- ケーブルは別のMiG-29KRが先に着艦した際に切れた。
- 二回目の事故は12月5日に発生し、今度はSu-33だったがやはりケーブル切断が原因だった。
- 海軍航空部隊の運用では危険がつきものだが、ロシアの場合は経験不足に加え、運用技術が未成熟な点が問題だ。クズネツォフの構造にも原因があるが、安全運行の手順を整備してこなかったことが責められよう。
- クズネツォフは1990年12月就役の古い艦だが艦齢は問題ではない。米海軍の空母にはもっと長く供用されながら完璧に機能している艦が多数ある。ニミッツ、アイゼンハワー、カール・ビンソン、セオドア・ロウズヴェルト、リンカンはクズネツォフより前に就役している。
- さらにUSSエンタープライズは50年間も供用されたが、1962年の運用開始初日から航空機運用が可能だった。
- 米海軍が半世紀も空母運用できるのは各艦の状況を維持管理できるだけでなく乗員を効率的に訓練しているからだ。
- これに対しロシア海軍はソ連崩壊後の25年間もクズネツォフの維持管理ができていない。また乗組員も安全な洋上運用の技術習得ができていない。
- 米海軍の超大型空母でもケーブル切断は発生する。
- 記者の知己もUSSキティ・ホークで2005年にケーブル切断で危うく一命を落とすところだった。乗機F/A-18Fスーパーホーネットは海上に落下している。一方、艦上では切断ケーブルがのたうち回り大混乱となり、機体損傷と人員負傷が発生した。ケーブル切断で実被害が発生することは米海軍空母艦上ではまれなことだ。
- クズネツォフで三週間未満に事故二件が発生したのは重大な問題があることを示唆している。
- 「ケーブルの分離切断が発生すると負傷、死亡事故に至ることがある。ケーブルはどうしても切れるものでその場合は切断したケーブルを取り外し本数を減らしたまま運用する。きわめてまれな事故だが予防可能であり、一旦発生してしまえば重大な事態になる」と経験豊かな海軍パイロットが教えてくれた。
- 先に発生したMiG-29KUBRの喪失事故ではロシア指揮官の判断がまずかった。本来なら機体をシリア陸上基地に誘導すべきだった。
- 米海軍が沿岸近くで空母を運行する場合は緊急時の代替飛行場を先に指定し艦上回収ができない場合に備える。
- また給油用スーパーホーネットを滞空させて僚機の着艦用の燃料を確保している。クズネツォフには給油機がなく、給油用改装を施した機体もない。ロシアは代替飛行場を緊急用に確保しておくべきだった。
- 「空母が航空部隊の初回運用時は戦闘作戦能力(COE)評価に合格するまで代替戦力扱いのままだ。また空母でトラブルが発生すると代替戦力に分類される。たとえば原子炉が一基しか作動しない場合」と別の米海軍パイロットが教えてくれた。
- 「艦に問題があると固定翼機の着艦は危険になるので、代替運用に切り替え、200カイリぐらい以内なら別の飛行場に着陸させる」
- 米軍事力を世界各地に投射する有効な手段として米海軍は空母運用を安全に行える各種手順を準備して、陸上基地から遠くはなれた大洋の真っ只中で可能にした。
- そうなると米海軍を世界規模で作戦可能にしているのはハードウェアとしての艦の状態や艦齢だけではなさそうだ。乗組員への訓練の効果であり標準作業の中身が重要だ。ロシアが米海軍の水準に肩を並べるまでにはまだ相当の時間がかかるだろう。■
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