スキップしてメイン コンテンツに移動

★機体喪失連続で露呈したロシア海軍の航空運用面の弱点



ロシア海軍のレベルが相当低いということですね。一隻しかない空母で象徴的な意味があるのですが、事故が立て続けに発生しロシアのプライドはガタガタですね。米海軍に張り合うのは無理ということですね。中国もこの事例を観察しているはず。沿海部限定で運用するのなら米国流の運用は必要ないのですが、遠洋航海させれば建造中の新型空母も同じ問題に直面するのではないでしょうか。


We go to war so you don’t have to
The Russian carrier ‘Admiral Kuznetsov’ escorted by the British Type 45 destroyer HMS ‘Dragon’ in 2014. Royal Navy photo

Two Big Reasons Why Russia’s Aircraft Carrier Is Having So Many Problems

Inadequate training and poor procedures

by DAVE MAJUMDAR
ロシア海軍はアドミラル・クズネツォフ艦上で艦載機二機を数週間のうちに連続喪失している。同艦はロシア唯一の空母だ。
  1. 両案件ともクズネツォフの機体回収拘束装置の不良が原因で、MiG-29KUBRフルクラムDとスホイSu-33フランカーDの喪失という高い代償になった。
  2. 確かに同艦の各種装置は旧式化しているがもっと大きな問題はロシア海軍の航空運用経験が浅く、洋上での航空機運用の技術が不十分なことだ。
  3. 先に発生したMiG-29KUBRの事故は11月14日のことで燃料切れで地中海に墜落した。同機は甲板要員が拘束ケーブルが切断したのを治そうとする間、上空で待機していた。
  4. ケーブルは別のMiG-29KRが先に着艦した際に切れた。
  5. 二回目の事故は12月5日に発生し、今度はSu-33だったがやはりケーブル切断が原因だった。
An Su-33 on ‘Admiral Kuznetsov’s’ deck in 1996. U.S. Navy photo
  1. 海軍航空部隊の運用では危険がつきものだが、ロシアの場合は経験不足に加え、運用技術が未成熟な点が問題だ。クズネツォフの構造にも原因があるが、安全運行の手順を整備してこなかったことが責められよう。
  2. クズネツォフは1990年12月就役の古い艦だが艦齢は問題ではない。米海軍の空母にはもっと長く供用されながら完璧に機能している艦が多数ある。ニミッツ、アイゼンハワー、カール・ビンソン、セオドア・ロウズヴェルト、リンカンはクズネツォフより前に就役している。
  3. さらにUSSエンタープライズは50年間も供用されたが、1962年の運用開始初日から航空機運用が可能だった。
  4. 米海軍が半世紀も空母運用できるのは各艦の状況を維持管理できるだけでなく乗員を効率的に訓練しているからだ。
  5. これに対しロシア海軍はソ連崩壊後の25年間もクズネツォフの維持管理ができていない。また乗組員も安全な洋上運用の技術習得ができていない。
  6. 米海軍の超大型空母でもケーブル切断は発生する。
  7. 記者の知己もUSSキティ・ホークで2005年にケーブル切断で危うく一命を落とすところだった。乗機F/A-18Fスーパーホーネットは海上に落下している。一方、艦上では切断ケーブルがのたうち回り大混乱となり、機体損傷と人員負傷が発生した。ケーブル切断で実被害が発生することは米海軍空母艦上ではまれなことだ。
  8. クズネツォフで三週間未満に事故二件が発生したのは重大な問題があることを示唆している。
  9. 「ケーブルの分離切断が発生すると負傷、死亡事故に至ることがある。ケーブルはどうしても切れるものでその場合は切断したケーブルを取り外し本数を減らしたまま運用する。きわめてまれな事故だが予防可能であり、一旦発生してしまえば重大な事態になる」と経験豊かな海軍パイロットが教えてくれた。
‘Admiral Kuznetsov’ with the British destroyer HMS ‘York’ in the background in 2011. U.K. Ministry of Defense photo
  1. 先に発生したMiG-29KUBRの喪失事故ではロシア指揮官の判断がまずかった。本来なら機体をシリア陸上基地に誘導すべきだった。
  2. 米海軍が沿岸近くで空母を運行する場合は緊急時の代替飛行場を先に指定し艦上回収ができない場合に備える。
  3. また給油用スーパーホーネットを滞空させて僚機の着艦用の燃料を確保している。クズネツォフには給油機がなく、給油用改装を施した機体もない。ロシアは代替飛行場を緊急用に確保しておくべきだった。
  4. 「空母が航空部隊の初回運用時は戦闘作戦能力(COE)評価に合格するまで代替戦力扱いのままだ。また空母でトラブルが発生すると代替戦力に分類される。たとえば原子炉が一基しか作動しない場合」と別の米海軍パイロットが教えてくれた。
  5. 「艦に問題があると固定翼機の着艦は危険になるので、代替運用に切り替え、200カイリぐらい以内なら別の飛行場に着陸させる」
  6. 米軍事力を世界各地に投射する有効な手段として米海軍は空母運用を安全に行える各種手順を準備して、陸上基地から遠くはなれた大洋の真っ只中で可能にした。
  7. そうなると米海軍を世界規模で作戦可能にしているのはハードウェアとしての艦の状態や艦齢だけではなさそうだ。乗組員への訓練の効果であり標準作業の中身が重要だ。ロシアが米海軍の水準に肩を並べるまでにはまだ相当の時間がかかるだろう。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★F-35とF-105の意外な類似性、戦闘爆撃機でドッグファイトは不得手

THE BUZZ America's F-105 Thunderchief Fighter-Bomber: The F-35 of the Vietnam War?
David Axe July 3, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/americas-f-105-thunderchief-fighter-the-f-35-the-vietnam-war-16839
War Is BoringによればF-35はF-16との模擬空戦で旋回速度が遅すぎて勝てなかったとテストパイロットが語っている。
これからの米空軍で最多の戦闘機材になるF-35が数で優勢なロシアや中国の機体と戦って残存できるのだろうか。 答えは歴史の中にある。50年前にも米空軍は同じ予測をしている。攻撃の主力F-105サンダーチーフは重量級ハイテク地上攻撃機で敵戦闘機も同時に撃退できるはず、とF-35と同様だった。 だが事実はF-105も旋回速度が遅くロシア製MiG-21に太刀打ちできず、空軍はF-105の損失を防ぐ特別な戦法を編み出した。同様の措置はF-35でも必要だろう。 F-35とF-105は驚くほど似ている。「F-105とJSFは大型、単座機、単発の戦闘攻撃機で、その時点で最強力なエンジンを搭載、空虚重量は27千ポンド級で翼幅もほぼ同じ35フィートだ」とオーストラリア航空宇宙専門家カーロ・コップが2004年に指摘していた。 http://www.ausairpower.net/Analysis-JSF-Thud-2004.html © 2005, 2007 Carlo Kopp

「両機種とも機内兵装庫があり機外パイロンで燃料と兵装を運べる」とコップは指摘し、「ともに戦闘半径400カイリクラスを目指し推力重量比、高機動操縦性能で制空戦闘機や迎撃機より劣っていた」 http://www.ausairpower.net/Analysis-JSF-Thud-2004.html

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…

★★★F-3事業に参画意欲を見せるボーイング、ロッキード・マーティン

Boeing, Lockheed Martin emerge as early rivals for Japan's fighter contest
Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly 19 July 2016 http://www.janes.com/article/62368/boeing-lockheed-martin-emerge-as-early-rivals-for-japan-s-fighter-contest Japan's Mitsubishi F-2 multirole fighter aircraft. Source: Japanese Air Self-Defense Force
航空自衛隊JASDFがめざすF-2多用途戦闘機の後継機種をめぐり、ボーイングとロッキード・マーティンがともに参画の意向を表明した。 IHS Jane’sが両社へ7月19日照会したところ、ともに日本での実績をもとに同事業参入を目指していることがわかった。事業規模は200億ドルといわれる。 防衛省は情報提供要求RfIを発出済みで、2018年4月までに「次期戦闘機」の決断を下すとみられる。 F-2は2000年代に三菱重工業MHIとロッキード・マーティンの共同事業で製造され、2027年ごろまでに全機退役する。 ボーイング広報によれば同社はF-2後継機の要求内容を検討中だという。「日本で当社の存在意義を大きくする方策は常に考えており、日本での安全保障ニーズに応えたい」 ロッキード・マーティン広報は「日本から各社に情報の要求が出ているが、当社もこれまでの日本との関係をさらに強化する今回の機会を活用したい」とし、「F-35事業とF-2でMHIと実績が成果を生んでいることは誇り」とする。 RfIは6月に出ており、各国の戦闘航空機メーカー宛に送付されている。RfIは7月はじめに締め切られており、米二社に加えユーロファイターSaabもプレゼンを8月末に行う見込みだ。 RfIは既存機種での検討の一助にするほか、各社の事業参加への意欲をさぐることのがねらいだ。MoDはF-2後継機を純国産あるいは共同開発ですすめるかの決断を下すが、後者の場合は既存機種を原型にするとみられる。■