南シナ海、東シナ海で現状維持に堂々と挑戦する中国がトランプ次期大統領の突然の台湾総統との電話会談で現状が破られることを危惧するのはなんという皮肉でしょうか。台湾の独立と繁栄を守るのが米国の大きな目標です。台湾内部の意識変化もあり、そろそろ台湾に国ではない扱いをするのを変える時期に来ているのでしょう。台湾が台湾としてのアイデンティティーを持てば(中国が一番忌避する考え)、一つの中国原則はそのままで、誰もが得をする結果になるのですが、計算高い中国人がこれに気づいていないはずはないのです。台湾侵攻のシナリオはたしかにありますが、何ら生産的な結果を招かないことも自明の理です。建前と本音をうまく使い分けられる中国人と台湾人がうまく並列できるといいですね。しかし今回の電話会談で一番びびったのは外交官僚であり親中派だったのは痛快ですね。
Donald Trump Talks to Taiwan: What Happens Next?
December 3, 2016
ドナルド・トランプ次期大統領が台湾総統蔡英文と12月2日に電話会談した。その事自体になんら誤りはなく、むしろ今後のアメリカの台湾政策で良い兆候となるだろう。
- 米台関係には中国と取り交わした3文書による一つの中国政策から制約を受けている。一部は1979年に正式に中華人民共和国を承認するため必要だったが、残りは必ずしも必要ではない。
- 新政権は両国交流に塞がる成約を見直し緩和にもっていくべきである。
- 台湾に親しみを感じる勢力がこのことを長年提唱してきた。マルコ・ルビオ上院議員(共フロリダ)やスティーヴ・チャボット下院議員(共オハイオ)はともに煩雑な制約に手をつける法案を提出しており、上院版の2017年度国防予算認可法案でも同じ内容が盛り込まれている。
- 米台関係では他の課題も目白押しだ。たとえば台湾向け潜水艦、戦闘機の調達は待ったなしだ。台湾関係法の理念を再度確認し、レーガン大統領が1982年に台湾に約束した「6つの保障」も活かすべきだ。
- また台湾の国際社会での地位拡大も模索すべきだ。これは議会が長年懸念している。
- 両国の軍組織の間には装備品の統合化が極めて重要でこれがないと中国の侵攻から台湾の防衛がままならい。
- トランプ政権は閣僚級高官を台湾に政権一年目に送り、今回の電話会談が偶発の結果ではなく今後を象徴する意味があったと証明すべきである。閣僚級人物が訪問した事例はある。迅速に行えば政策優先事項を米国が急いで見直そうとしているとがわかるはずだ。
- 今回の両者電話会談では同時に両国関係に制約条件も生まれる。
- 米国が堅持してきた一つの中国政策で手直しが必要だとしても廃止はすべきではない。これまでの中国との安定関係の礎になってきたからだ。安定は東アジアの平和と経済成長を下支えし、米国も大きく恩恵を受けている。
- 今後両首脳が再び電話をくりかえすとしても、あるいはその他政策変更が生まれても現状変更にはそのままつながらない。また台湾とはまだまだ実行可能な課題が多くあるのだ。■
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