F-35がCAS機材として妥当なのか、実証で確認することは良案でしょう。ただし、妙な圧力で結果がゆがまなければいいのですが。新政権で財政事情が一夜にして好転するとは思えませんが、明らかにトランプの思考はこれまでの政権とは異なり、ビジネスの損得を国家財政に持ち込むもののようですので、ひょっとすると今後米経済が急転換する可能性もあります。そもそも予算が足りない(使い方が悪い)ためにA-10はじめ高性能装備の今後が見通せなくなっていたのです。
Congress Wants A-10 vs. F-35 Flyoff
USAF
米議会は米空軍にF-35と実地で比較検証したあとでA-10退役を決めたいとしている。
- この案はこのたび議会内調整できた総額6,187億ドルの2017年度国防政策法案に組み込まれており、A-10支持派には勝利と言える。ここ数年に渡り空軍とウォートホグ退役案で戦ってきたからだ。空軍がA-10退役予定を当面断念する結果になるとの予想もあり、すでに空軍上層部がAviation Weekにそれとなく暗示している。
- 上下両院で妥結を見た法案は11月30日に公表され、ペンタゴン試験部門にF-35とA-10の近接航空支援(CAS)での比較テスト実施を求める条項が加わった。ペンタゴン試験評価部門トップは試験結果に加えF-35の最終テスト段階の所見を初期運用評価(IOT&E)として議会に報告するよう求める。今後上下両院で議決に回される。
- また空軍長官がIOT&Eと比較検証の結果を議会に提出したのちに空軍がA-10退役を開始できると定めている。これでF-35の性能判定とともにCASミッションの実施能力も確保できるとする。
- これで空軍がA-10退役を始められるのは最短で2019年となった。F-35の共同事業推進室(JPO)はIOT&E開始を2018年と楽観的に見ているが、そもそも2017年8月の予定が実施不能となっている。ペンタゴンの試験評価部門長はAviation Weekに最終テスト開始は2019年初頭まで遅れると語った。
- 議会と一般からの反発で空軍はA-10退役を毎回後回しにしているが、ウォートホグ退役は純粋に予算上の措置だと空軍は説明しており、A-10とF-35の並列運用は財政事情から不可能だという。
- だが空軍案を葬る圧力が増してきた。空軍は多用途F-35を既存戦闘機全部の後継機だと説明するものの批判勢力はF-35はCAS専用機材として果たしてのA-10には及ばないとし、空軍上層部もこの見解は認めている。
- 米会計検査院が今年8月に出した報告書では空軍がウォートホッグ退役により生まれるリスクを真剣に評価していない、とくに即応体制で穴が生まれると考慮していないと批判している。
- 新政権が1月に発足すると国防総省はF-35、A-10の両方を維持できる予算を入手する可能性が生まれる。ドナルド・トランプは大統領就任100日以内に予算強制削減措置を撤廃し、空軍戦闘機材を1,200機体制にすると公言していた。
- 政府企画部門はA-10退役の時期とその影響を検討中だが、空軍整備部門はウォートホグを今後も飛行可能にする体制ができている。
- 空軍物資資材本部長のエレン・ポーリコウスキ大将は10月24日取材で「同機の運用が再度継続に向かう中で補給部門は部品供給体制を強化している。ほぼ無期限に同機を維持できる方向に向かっている」と述べている。■
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