2016年5月13日金曜日

2016年大統領選 クリントン候補に国家安全保障政策は期待できるのか不明 各論詳細に触れず


政治的野心の塊のようなヒラリーですが、ここにきて予備選でサンダース候補に勝てないのは若年層はじめ政治に不満を覚える層を拾い上げていないためでしょう。これまでの獲得した党大会代表のリードがありますので、本人は全然気にしていないようです。もともと軍隊が嫌いない人だけに、大統領になった場合には正しく判断できずに悲惨な結果を生みそうな気がします。世論調査ではトランプへの優勢がどんどん減っているのは気になる現象です。

Clinton’s Defense Spending: Vague But More Hawkish Than Obama

By MARK CANCIANon May 12, 2016 at 4:01 AM

hillary clinton campaign 2016
2016年の大統領候補の国防政策を伝えるシリーズはこれが最終回です。マーク・カンシアンは戦略国際研究所からクリントン、トランプ両候補の選挙戦から内容をくみ取り、分析を試みていますのでお読みください。編集部
ヒラリー・クリントンほど大統領職を熱望している人物はいない。21世紀になってほぼ全部の時間を本人はこのために使っている。その結果として各論点で知識が豊富で、バーニー・サンダース候補よりは右寄りだが共和党員より左という微妙な立ち位置に徹している。共和党候補に指名確実なドナルド・トランプとは正反対だ。トランプ候補はごく最近まで思いついたことはすべて口に出し、他人の批評などお構いないしにふるまってきた。
大統領候補指名に向け先頭を行く候補らしく、クリントン候補の国防案は理念は長々と述べるが各論は短い。これまでの演説内容やウェブサイトから同候補がオバマ政権の路線を主な分野で継承すると推測でき、外交では強い姿勢を取り国防重要事業には現状と同程度の予算配分をし、国防予算の国内向け流用も引き継ぐようだ。
クリントン候補の選挙文書や発言から国防では強硬で継続性を求めていることがわかる。
  • 「国土保全」
  • 「ISIS打倒」
  • 「中国に責任を取らせる」
  • 「プーチンに堂々と接する」
  • 「同盟関係強化」
  • 「志願制軍部隊の堅持」
  • イスラエル支持
同候補の姿勢は一部で共和党と一致している。「大統領に当選すれば米国軍を訓練、装備の両面で世界最高水準とし世界最強の軍事力を維持する」とある。ただしその理念の実施案の詳細はほとんど見られない。プーチンと渡り合うというが、オバマ政権が進めてきたヨーロッパ施策(ヨーロッパ再保証構想)を拡大するのか。そうだとしたら、どうやってするのか。詳細が肝心だ。
クリントン候補はオバマ政権よりも強硬な外交方針を匂わせている。たとえば「中東には強力な軍部隊を駐留させ」「情報活動を強化」するというのは軍の活用を増やすことだ。ゲイツ、パネッタ両元国防長官は自叙伝でクリントン候補がシリア、リビアでのオバマ大統領より軍事力行使に積極的だったと回想している。
クリントン候補は軍の規模について意見を表明していないが、強硬なものの言い方や現政権の方向を支持していることから最低でもオバマ政権の国防予算規模を想定していると思われる。つまり予算管理法が求める水準を上回るが、共和党が求める額には届かないレベルだ。これは国防安全保障関係者には朗報だろう。ただしその支出規模では不足かもしれない。ロシア、中国、北朝鮮、イラン、ISISに対抗するにはオバマ政権の想定を上回る部隊規模、予算が必要と見る専門家は多い。
ただし、クリントン候補は国内問題の拡充を訴えており、(例、大学学費、エネルギー、幼少児教育、健康保険、教育などなど)かつ予算赤字が今後拡大するため国防予算が制約を受けるだろう。そうなると戦略構想と実際の予算裏付けの乖離が安全保障問題で続きそうだ。
ペンタゴンに朗報は戦闘継続予算、海外緊急作戦予算の二つが増額になりそうということだ。この二つの予算項目はDoDに重宝な存在となる。オバマ政権はイラク、アフガニスタンの紛争から抜け出すことを目指したが、ここにきての事態進展で挫折感にさいなまれている。紛争が終結すれば戦闘継続予算も終わる。クリントン候補が強硬な言いぶりで軍の投入をためらわないことから戦闘継続予算は温存されるだろう。
クリントン候補の主張からは国防予算の国内問題解決への流用を継承するつもりだとわかる。例として「気候変動は道義や経済問題にとどまらず、国家安全保障上の課題である」と発言している。同様に感染症やサイバーも国家安全保障上の脅威と受け止めている。国家安全保障の課題となれば、国防総省以外の対策も予算手当が可能となる。したがってオバマ政権がバイオディーゼル産業創設で国防総省枠組みを使ったような事例は今後も続くと予想できる。
国防予算を国内問題へ流用することは以前から行われていることであり、特に国内に目配りする民主党政権が多用している。ビル・クリントン政権では巨額予算で自動車産業各社に先進自動車技術開発させ世界市場での競争力確保を手助けした。国防総省は乳がん研究予算も提供しているが、軍の84パーセントは男性だ。これは1992年にハーキン、ダマト両上院議員が乳がん研究事業の資金源を探してDODにたどり着いたもので今日も継続している。予算上限の中で既存事業が予算削減される中で新規国内向け事業がDOD資金に食指を動かすことが多くなっている。
総論が目立つクリントン候補が厳しい選択では高位諮問組織に頼るというのは驚くべきことではない。物議をかもしだそうな各論に触れる必要がなくなる。DODには戦略見直しの課題が与えられており、(旧名称四年ごとの国防見直しは国防戦略見直しの名称になっている)「国防審議会」と呼ぶ外部専門家による戦略・事業の評価も求められている。さらに検討の仕組みを加えるのは問題と言えるが、各論の政策論議を先送りする効果が生まれる。
これまでの通念ではクリントン候補は選挙戦後半で各論を明らかにするはずだったがトランプが共和党候補になる可能性濃厚な中ではそうならないかもしれない。トランプ候補はクリントン候補より各論に触れておらず予備選中の発言は常軌を逸し、とても詳細政策の基礎には使えない内容だ。
トランプ候補は国家安全保障政策でやっと政策づくりの作業に取り組み、テレプロンプターを使って準備済み原稿を読み上げる慎重さで、以前の発言よりは整合性がとれているものの、やはり総論の域を脱していない。そうなるとトランプが大幅に自らの姿勢を変えて詳細について論じない間は、クリントン候補に国防政策あるいは予算確保の方法の詳細について一部でさえも公表する圧力は作用しないだろう。■


0 件のコメント: