2016年5月3日火曜日

中国の言論思想戦に対抗せよ 米議会に超党派法案提出


表向きは各国になっていますが、提出法案が中国に照準を合わせているのは明白です。言論の自由を盾に好き放題されることに我慢できなくなったというのが米国の心ある人たちの心情でしょう。一方、日本はどうでしょうか。いまだに能天気なイメージを中国にもつ議員もおり、非暴力の侵略や情報戦が日本に仕掛けられているという理解は低いのではないでしょうか。米議会でのこの動きには注目する必要があります。

Congress Attacks China's Propaganda Machine

CLAIRE CHU
Thursday at 11:16 PM
米議会にロシア、中国の宣伝戦や「情報操作作戦」に超党派立法で対抗する動きが出てきた。
  1. 2016年度情報戦対策法Countering Information Warfare Act(S.2692)が3月16日米上院へ提出され、外交委員会が審議中だ。提案したのはロブ・ポートマン議員(共、オハイオ)とクリストファー・マーフィー議員(民、コネティカット)で外国によるプロパガンダ活動や虚偽情報活動への対抗策を狙う。
  2. 法案の認識はロシア連邦や中華人民共和国含む外国政府が高度手段で総合的かつ長期的な活動を展開し情報操作や統制で自国の目標を追及しており、米国同盟各国の利益や価値観を踏みにじっているというもの。ロシアのプロパガンダに対抗する法案なら米国にこれまでもあったが、中国の活発な情報工作を対象とした法案はこれがはじめてだ。

  1. 人民解放軍(PLA)は心理戦、報道戦、法律論争を組みあわせ、情報工作の要素を加えて敵の情報統制機能を混乱させる(自国の機能は保全する)だけでなく国内外の意思決定に影響を及ぼす事を狙っており、これを軍事作戦の支援機能と位置付けている。情報工作は技術面で優れた米国のような敵の力を削ぎ、通常の軍事対立の範囲以上の効果を期待する。中国の伝統的な戦略では非暴力で勝利をおさめ戦闘せずに敵を屈服させるのが理想だ。
  2. 米国が高性能でネットワーク化された情報インフラに依存していることを考えると中国が米国を標的にして政治思想面で情報操作をめざしていること、前例のない手段を講じていることは国家安全保障上の脅威と政府は受け止めている。中国は各国で国営メディア放送を展開しているほか、新聞各紙に有料広告を掲載し中国共産党の一党支配と軍事作戦で理解統制を図ろうとしている。ここにきて海上での事件や軍事演習が目立つが、米側同盟国間に亀裂を入れ、アジア太平洋での米プレゼンスの正当性を損なうのが目的と見られる。
  3. 大西洋協議会での講演でポートマン議員は次のように述べた。「中国は巨額の予算を投じて海外宣伝活動を展開している。南シナ海埋立ては情報操作で主導権を握る例の一つで、米国や同盟各国の虚を突いて対応が間に合わないうちに実施している」
  4. ペンタゴンも中国が情報戦能力を拡充しているのを十分認識しているが、情報戦の脅威に対抗できる全体戦略を立案調整する組織が米政府にないのが事実だ。省庁横断のチームが実態をチェックしているに過ぎない。ソ連の偽情報宣伝に対抗するため発足した作業部会が数少ない成功例だ。省庁横断の調整機能が欠如していることが米国で悩みの種で、前例のない脅威へ対抗するしくみも不在である。連邦政府の機構はあたかも昔話の盲人の群れのようで国防戦略立案の仕組みが象といったところか。
  5. これに対して中国は総参謀本部が一般省庁に加え空軍、海軍、戦略ロケット軍、ならびに各軍区と連携する仕組みを正式に発足させている。PLAは党所属の国家組織であり、それとは別に一般市民やビジネス界に影響力を直接伝える各種手段との連携も生まれている。

  1. これに対抗する2016年度情報戦対策法では情報分析対応センターの設立を求めており、ここで国家戦略を立案、統合、調整し外国による対米情報工作を解明し対抗しようとする。同センターは国務長官のもとに発足させ、国防総省や各州の放送委員会とも積極的な調整連絡を行う。さらに運営委員会を作り、諮問機能を期待し、各省庁や統合参謀本部、米国際開発庁(USAID)から代表を集める。
  2. 中国による情報戦の戦術、技術、手法の解析を支援すべく議会は予算20百万ドルを国務長官に2017年度2018年度通じて供託する。この予算で同センターを運営し、民間団体、学術団体、研究開発機関他への助成金で米国の利益にかなう調査研究を進める。
  3. アジア重視政策にもかかわらず、伝統戦術に現代的な思考を組みあわせて作戦立案をするPLAに対して米政府は総合戦略をまだ確立できていない。そのため中国の軍事戦略の研究活動は不正確な結論しか出てこないとされる。「建設的関わり合い」に30年もの期間を費やして情報戦対策法の様な立法で知的基盤づくりを進め中国共産党の進める通常と異なる軍事戦略教義の理解と対抗策を講じることしかできないのだろうか。■


本稿はNational Interestに最初に掲載された。
本稿の著者クレア・チューはProject 2049 Instituteの研究生で、アメリカン大学四年生。専攻はアジア太平洋における米国防体制および域内の安全保障論の研究。中国による政治戦についてツイッター@clairejchuで #InfluenceOpsとして分析を試みている。

Image: Wikimedia Commons/David Pursehouse. CC BY 2.0.

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