2016年5月14日土曜日

ペンタゴン報告書:中国は戦争前提に軍再編を実施、島しょ造成の実態も明らかに



Pentagon: China Restructures for War: Details of island building in S. China Sea disclosed

May 13, 2016 4:30 pm


中国が大幅な軍組織改編に昨年踏み切ったのは軍事対決の準備態勢を整えるためだったとペンタゴンが人民解放軍(PLA)の評価分析最新版で明らかにしている。
  1. 人民解放軍は軍区別に再編され、指揮命令系統とともに戦略方針も地域内紛争、ハイテク戦を視野に入れて改訂されたとペンタゴンが議会に提出した報告書で述べている。
  2. 「各改革の目的は中国共産党の軍統制強化、PLAの各軍共同作戦態勢整備、また短期高度地域内紛争を本土から遠く離れた場所で実施する能力の向上にあった」
  3. 国防次官補エイブラハム・デンマーク(東アジア担当)は報道陣に中国の軍改革は「旧来の軍担当区域を廃止し地理を考慮した共同作戦態勢を強化するのが狙いだった」と解説した。
  4. 軍事戦略の一環として中国の南シナ海で島しょ建設を続け、軍事力で戦略的に重要な通商航路を支配しようといている。
  5. 延べ3,200エーカー(約13平方キロ)の造成地で「中国は恒久的軍事民間基地として長期にわたるプレゼンスを南シナ海で実現できる」と報告書は述べている。
  6. 中国は海米国との対決を慎重に回避しており、自国の主張を押し付ける際も「軍事紛争一歩手前」の戦術を使っていると報告書は述べている。
  7. 報告書では中国軍の課題として蔓延する内部汚職をとりあげ、軍高官40名が摘発済みとしている。
  8. 一方で習近平主席はPLAへ「戦いに勝利を収める」準備を整えるよう命じている。ペンタゴンによればこのスローガンはこの三十年間参戦の経験がない軍部が近代戦で有効に戦えないと中国指導部が懸念していることの反映と見ている。
  9. 報告書では中国が本土から遠く離れた地点で戦闘を実施する能力を拡充していると指摘している。ただしPLAの最優先順位は台湾であることに変わりはない。
  10. 「中国は外国港湾を利用し必要物資を事前集積することで『遠隔地』への配備を常態化しようとしており、インド洋、地中海、大西洋でこれを狙っている」と報告書は伝えている。
  11. 報告書には問題の南シナ海で建設中の軍事施設の詳細写真も入っている。昨年の中国はスプラトリー諸島で島しょ土木工事を加速した。
  12. そして昨年10月に土木工事は完了し、次にインフラ工事が始まり、9,800フィート(約3,000メートル)長の滑走路複数、通信設備、監視哨が完成した。この整備は中国が「事実上の南シナ海支配を軍事民生インフラ整備で強化する意図」の表れだという。
  13. 航空施設、港湾、補給処は中国の領有権に異議を申し立てる国の島しょ部分への接近を「発見、対抗」するためのもので中国軍の活動を増加させる効果が見込まれる。
  14. 報告書では紛糾中のスプラトリー内の7つの島で工事前と工事後の比較写真も掲載している。ここにはフィアリークロス礁も入っており、ここで633エーカー(約256千平方メートル)の土地造成が行われた。
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  1. 中国軍のミサイル装備の拡充も目立ち、新型ミサイルの登場に加え旧式ミサイルも含め多弾頭化が進んでいる。
  2. 報告書では中国が長距離ステルス爆撃機の構想を持っており、実現すれば地上配備ミサイル、水上配備戦略ミサイルと並び核の三本柱が完成するとしている。「新型および派生型の攻撃用ミサイル複数を開発試験中で、極超音速滑空体もここに含まれ、弾道ミサイル防衛対策も開発中」という。
  3. 新型攻撃型潜水艦、弾道ミサイル潜水艦が建造されており、配備が進んでいる。宇宙空間での戦闘能力も整備しており、昨年には2014年にテストした対衛星ミサイルの改良作業で進展があった。
  4. 中国のエネルギー戦略に言及して同報告書では中国が輸入原油に今後も過剰依存する姿を示し、2015年は輸入比率が60パーセントだったが2035年には8パーセントに上昇すると予想している。
  5. また中国の輸入原油の83パーセントが南シナ海、マラッカ海峡を通過しており、エネルギー供給の脆弱性を指摘している。ロシア、カザフスタンから陸上パイプライン建設が進んでおり、供給遮断の危険性を低減しようとしている。
  6. 報告書では中国の長距離精密攻撃能力の拡充を「異常に早い」と表現している。10年前の中国軍には100マイルの幅がある台湾海峡をはさんで攻撃する能力は限定的だった。しかし現在の中国は通常弾頭短距離弾道ミサイル(SRBM)、空中発射・地上発射方式の陸地攻撃用巡航ミサイル(LACM)、特殊作戦部隊(SOF)、サイバー戦実施能力で「域内の各目標を標的に抑えている」とする。
  7. 「日本国内の米軍基地は中国中距離弾道ミサイルの射程内にあり、巡航ミサイルも狙っている」と報告書は指摘し、グアム島もH-6K爆撃機が発射する長距離巡航ミサイルの目標になる可能性を述べている。H-6Kは昨年初飛行している。
  8. DF-26ミサイルでグアムに精密攻撃すれば米軍のアジアでの主要基地が危機に陥る。対地巡航ミサイルも精密に敵航空基地、兵站基地、通信設備、他地上の目標を攻撃できる。PLAは補給基地や兵力投射能力を標的にする作戦計画を立てている。
  9. 報告書では中国の国防支出は1,800億ドルとの推定されだがこれを上回る規模の可能性があり、2020年までに2,600億ドルになると推定。
  10. 報告書では一節を設け、PLAが国軍ではなく「党の軍隊」であると説明している。中国国営メディアが政治的に中立な国軍の概念を一蹴するのはソ連共産党が軍統制能力を欠いたことでソ連崩壊につながったとの認識を中国指導部が持っているためだ。
  11. PLAに政治工作部門を創設したのも党による統制機能を維持するためだろう。「PLAの政治工作機能は共産党による『武力統制』を毛沢東の『銃の詰まった樽から政治権力が生まれる』との言葉に従い実行するものだ」とまとめている。統制の仕組みには政治将校、党の委員会制度、党による調査部門が含まれる。
  12. ペンタゴンは「実質的な協力の深化」を求めながら、両国の相違点を乗り越えようとしており、このため米国へ敵対心を燃やす中国の現状を理解できなくなっているのだと指摘する専門家もある。
  13. 提言では中国軍事力の拡大に対して「監視し適応」をし、中国政府には戦略方針や装備整備で秘密主義の撤廃を求めるべきとする。
  14. 報告書では中国で反米姿勢が国営メディアと公式軍著作物で広がっていることは言及していない。
  15. 2013年には共産党につながる日刊紙環境時報が詳細な記事を掲載し、米西海岸への核攻撃で12百万人の米国民が爆風と放射線の中で死亡する様子を伝えていた。オバマ政権、ペンタゴンともにこの記事に抗議していない。■

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