予算が厳しいと言いながら、かなり潤沢な金額がブラックの世界にはあるようですが、今後の画期的な装備の実現につながれば安いものではないでしょうか。情報機関の影がついてまわりますが、知られているCIA,NSA,NRO以外にも別機関があるようですね。
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Classified Pentagon Programs Will Cost $68 Billion In 2017
Pentagon’s secret budget remains robust
Mar 9, 2016 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology - Defense Technology Edition
ボーイングX-37Bが記録樹立となったミッションから旗艦した。同機は米空軍が手掛けた「ブラックからグレイ」の典型例だが、予算は情報関連費目で負担したと思われる。Credit: U.S. Air Force
ペンタゴンの「ブラック予算」とは公式には存在をしないことになっており、公表書類には出てこない事業への支出を意味する。2017年度には総額680億ドルと国防予算の12パーセント相当になることがAviation Weekの分析で判明した。この金額はフランス、ロシア、英国の国防予算に相当する規模である。
- 極秘予算は研究開発、調達、作戦、保守管理予算項目に潜り込ませてあり、研究開発では総額225億ドルのうち三分の一近く、調達業務207億ドルで約19パーセントが秘匿扱いになっている。合算するとブラック関連の調達予算は24パーセント相当になるが、冷戦末期は17パーセントだった。
- 極秘事業にはB-21長距離打撃爆撃機LRS-Bや長距離スタンドオフミサイル(空中発射巡航ミサイル更新装備)は含まない。こうした装備は全体像や技術面は秘密扱いだが、関連予算は公開されている。
- すでに存在が明らかになっているブラック事業にノースロップ・グラマンRQ-180情報収集監視偵察(ISR)UAVがある。この予算は空軍の正式なR&D、調達の各費目に入っている。長く続いている空軍調達予算費目に「ミサイル調達」となっているものがあり、画像収集衛星や信号情報収集宇宙機として国家偵察局(NRO)向けの装備と推定され10.6億ドルが計上されている。その他小規模事業で公開予算では存在が確認できないものがある。例としてジェネラルアトミックス・エアロノーティカルシステムズのプレデターC(アヴェンジャー)として空軍で呼ばれるUAVがある。
- 最大規模になっているのが空軍が「その他調達」とだけ記しているもので、ここに小型弾薬からISR地上走行装備などすべてを含め2017年は186億ドルになっている。
- それに次ぐのは国防全般に及ぶ秘密作戦・保守管理事業157億ドルだ。上と合わせ二項目だけで秘密予算の半分近くの規模になる。
- ブラック予算では空軍向けが最大だ。空軍の極秘R&Dは海軍陸軍合わせた開発費の二倍規模で陸軍、海軍向け極秘開発費用は20百万ドル未満だ。
- ただしブラック予算の分析はかなり面倒だ。情報部門(IC)を主に構成するCIA、国家安全保障局、NROの予算の大部分は空軍予算に潜り込ませてある。空軍内部では「ブルー」予算と「非ブルー」予算を区別しており、後者がIC向け予算を指す。両者の差額の大部分が調達(216億ドル)とR&D(85億ドル)だと予算書でわかる。
- ただし非ブルーのR&Dは空軍が示す極秘R&D総額より46億ドル少なくなっており、IC向けとは別の大型R&D案件が空軍にあることがわかる。ややこしいのはNRO向け宇宙機の設計開発支援は空軍事業の一部になっていることだ。その他にも有人、無人双方のISR機材がCIA所属になっているが、実際の開発、調達、運用は空軍がおこなっている。このやりかたが60年以上も続いており、CIAはMQ-9リーパーUAVに加えおそらくプレデターCも保有している。RQ-170センティネルやRQ-180の各UAVも少なくとも一部は「非ブルー」予算だろう。
- 極秘予算で今後の方向性のヒントはペンタゴン内部に少なくとも二か所の「ブラックからグレイへ変換させる」部局があることだ。空軍の迅速戦力整備室(RCO)は2003年4月発足し、RQ-170とX-37Bを手がけたほか、RQ-180にも関係している公算が高い。B-21爆撃機事業も担当している。
- RCO方式でアシュ・カーター国防長官が戦略戦力整備室(SCO)を2012年に作った。その目的は「既存装備を改良して迅速にイノベーション効果を生む」ことと長官は説明している。SCOは「現在最古の機材をもとにした重武装機arsenal plane」の開発元であり、ロッキード・マーティンF-22やF-35に同行させ「巨大弾倉」を実現する構想だ。SCOは海軍、陸軍の大口径火砲で運用可能な超高速発射弾の実証も手掛ける。■
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