Analysis – A Chinese Way of War
CRS Warning for America’s China Watchers
TAIPEI - 米議会調査部US Congressional Research Service (CRS) の最新報告書では米側中国専門家が米国と中国を同一視しがちなこと、中国に透明性が欠如していることを無視している、中国が平時と有事のサイバー戦を区別しないこと等で注意喚起している。
報告書をまとめたイアン・E・ラインハートはCRSのアジア関係アナリスト。報告書は3月24日に連邦議員に配布され、表題は「中国の軍事力、議会向け総括と課題」とあり、「中国式の戦争のすすめ方」を検討している。
内容には米中開戦戦争の場合に勝敗を大きく左右しかねない米側の中国専門家が見過ごしてきた以下の点も含まれる。
-地理上の責任範囲が違う。米軍は世界規模で安全保障に任務を課せられているため、中国と戦闘状態に入れば、米軍が使用できる資源は限定される。これに対して中国には制約はない。
- ミッションの違い。米中で軍のミッションがそもそも違う。軍の実力を評価するには想定するミッションを考える必要がある。この方法で米中の軍事力を評価するべきだ。
- 中国軍指導層の発言は信頼に足りない。中国の指導部は軍事力の目的をあいまいに発言することが多い。こういった発言はプロパガンダの色彩が強い。内外に印象付けることが第一で、その発言から中国が自国の軍に期待する内容を読み取ると不正確。ただしそうだからと言って中国発の発表を全部無視もできない。中国指導部は「中核的権益」は軍で守ると明確に述べている。たしかに南シナ海や台湾がここにあてはまる。「語句表現だけでいわんとする内容を無視することはできない。中国が整備する軍事力の内容を観察し、表明されている意向に各装備が符号するのか否かを見極めることで正しい判断につながる」。
- 透明度は限定的。中国軍の実力を評価するには同時に指導部の意向も評価することが必要だが、情報の透明度が低いことが邪魔をしている。ペンタゴンからは「中国軍の装備や戦略的意思決定の透明度が低いため中国の意図に関し周辺国が懸念を増大させている。透明性がないままPLAの装備近代化が進めばこの懸念はさらに大きくなる」と指摘している。
- 米国と中国を同一視している。中国指導部の価値観や信条は大きく米国と異なる。「こちらと同じ価値観や信条を相手も持っていると想定すると正確な評価が妨げられ真の意図も見誤る結果になる」
- 積極的防衛策、宇宙空間の先制攻撃。中国の軍事戦略では開戦時に主導権を握ることを重視する。「PLAはサイバーと宇宙を近代戦の『決戦場』ととらえ、敵の情報網を攻撃する。中国軍は各種作戦を展開し、運動力兵器や電子戦で米軍の衛星群を狙うはずだ。中国が開発中の対衛星先制攻撃兵器は広範囲に及び、大気圏外を飛行する極超音速無人機もその一部。中国にとって先制攻撃が望ましいと考えるのはその後の戦闘で有利な展開につながるためだ」
著者ラインハートは2012年からCRSに勤務するが、その前にアジア安全保障に関連する各種機関東西センターやワシントンCOREなどでの経験もある。■
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