Brookings Panel: Improved China – Russia Relationship is a Marriage of Convenience
By: John Grady
March 24, 2016 12:43 PM
習近平とウラジミール・プーチンが共同海軍演習に参加した中露海軍関係者を出迎える。上海、2014年5月20日。Xinhua Photo
ここ数年で中国とロシアの接近が目立つが、その関係は便宜上の結婚のようなもので両国にとって最重要な外交関係国は実は米国である。
- ブルッキングス研究所主催のフォーラムがワシントンDCで開かれ、九州大の益尾知佐子准教授は「中露関係は強いが永続しない」と述べた。
- ロシアにとって「中国は信頼できるただ一つの友好国」で貿易相手国としても大きな存在だ。ロシアの軍需産業基盤を支援する形で中国はロシアから高性能ミサイルや航空機を購入しており兵力投射能力を向上させている。
- ただ益尾准教授は両国関係でほころびが明白になっているとも指摘。中央アジアではロシアが歴史的に安全保障で強力な役割を果たしてきたが、今や中国が経済面で上海協力機構の仕組みを使い旧ソ連共和国各地で重要度を高めているという。
- これに対しユーラシアグループのデイヴィッド・ゴードンが追加コメントした。「ロシアは次々に自らが二番目の役割を演じていることに気付いている」と二国関係では中国が経済力を背景に強大になっていることを言及した。「両国が協力しながらも競争する場面が増えている」
- 中露関係が密接になったのは2014年にロシアがクリミア半島を併合し、ウクライナ東部の分離主義勢力を軍事的に支援したため米国、EUからの厳しい経済制裁を受けたことがきっかけで中国へ天然ガス売却の合意が成立したことだ。「このヘッジはうまく機能しているとはいいがたい」(ゴードン)
- 「エネルギー問題は今後も両j国関係に影響を及ぼす」が、両国の二国間協力は「まだ始まったばかり」とゴードンは述べ、ロシアはまだ中国からエネルギー生産で大規模投資を受けていないが、極東部や北東部での開発や中央アジアを縦断するパイプライン建設へ期待があることを指摘した。
- このためロシアは「引き続きヨーロッパ市場への依存」を「受け入れざるをえなくなり」経済の浮揚を図るだろうとゴードンは見る。「ロシアは資源面で中国の付属品と見られることにあきあきしはじめている」
- 北海道大学の岩下明裕教授はロシアと中国は長年に及ぶ国境紛争を経て利害対立点は実は少なく、「ともにライバル視する必要がない」ことに気付いたと解説。岩下教授は両国は「『疑似同盟』を受け入れ維持すること」にしたのだという。
- 岩下教授は中露関係で日本の視点は米国と大きく異なると指摘。日本政府にとって両国は隣国だが、米政府はロシアはヨーロッパの延長として、中国はアジア太平洋で台頭する大国と見るというのだ。
- 中国の陸上国境線はインド除きすでに各国と合意ずみであり、平和が確立しているため、中国政府の懸念は海上国境線に移っており、沿海部が「多くの国に囲まれている」という被害妄想が強くなっている。このため南シナ海での埋め立て工事を強行し軍事施設を設置することで脅威に対抗しようとしているというのだ。
- ブルッキングス研究所のトーマス・ライトは中国が「域内での発言力を増やしたい」と望んでいると解説する。中国の視点では「金融危機を機に環境が変化した」と2008年のリーマンショックをあげ、米国の指導力に従う必要はなくなったと判断している。
- ウラジミール・プーチン大統領率いるロシアは欧州連合やNATOの「弱体化をねらいあえてリスクを取る決意」があるが、中国は南シナ海へ積極的な進出を図りつつ、自国影響力の強化策では「多様な選択肢」があり、特に経済面が強い。「中国の戦略は平和であってこそはじめて機能する」とライトは解説し、中国にとって都合のよい世界秩序にむけて「段階的な再構築につながる施策を採択する」と見ている。■
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