スキップしてメイン コンテンツに移動

★米海軍>SM-6が対艦ミサイルに転用できることを実証



少ない予算で状況の変化に対応すべく既存兵装に手を加え多用途対応させていこうという米海軍の現実的な工夫です。攻撃力を再度重視せざるを得ないのは新しい情勢評価に基づいているのでしょう。それにしてもスタンダードミサイルというのは使い勝手の良い装備のようです。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

Anti-Aircraft Missile Sinks Ship: Navy SM-6

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on March 07, 2016 at 4:41 PM

Wikimedia Commons
実験では除籍ずみフリゲート艦USSルーベン・ジェイムズの撃沈に成功した。
超音速SM-6スタンダードミサイルが海上試験で標的艦に命中し、同艦は沈没した。退役ずみフリゲート艦ルーベン・ジェイムズがハワイ沖で1月に沈没していたことが本日明らかになった。試験は米海軍は分散撃滅威力構想Distributed Lethalityで進める攻撃力再建策の一環として実施された。対空防御用のミサイルを攻撃用に用途変更するというのはペンタゴンがめざす最小追加費用で既存装備を別用途に充てる動きに呼応する。
  1. ソ連崩壊(1991年)以降の米海軍は敵艦隊との戦闘から陸上攻撃に中心を移した。空母打撃群の防空や弾道ミサイル防衛も優先順位が高い任務になった。そのため、駆逐艦、巡洋艦はトマホーク陸上攻撃ミサイルや防御用のスタンダードミサイルを多数搭載し、対艦兵器搭載の余地がどんどん減った。さらに現在利用できる艦ミサイルはハープーンのみで、新型ロシア製兵器やそのコピー中国装備に性能が見劣りしている。ロシア海軍の再登場や中国海軍の台頭で対艦兵力の不足が痛感されてきた。
  2. SM-6はレイセオンのスタンダードミサイルファミリーの最新型だ。原型のSM-2対空ミサイルには水上艦対応モードもついていたが、より強力なSM-6が対水上艦で威力を発揮したのはこれが初めてだ。派生型SM-3は大気圏外弾道ミサイル迎撃用に開発されている。SM-6も弾道ミサイル迎撃に成功しており、多様な可能性を証明している。
  3. SM-6は対艦ミサイル、弾道ミサイル迎撃手段としては理想的な手段ではないが各種用途に投入できれば柔軟な戦闘運用が可能になる。海軍はトマホーク改良型のテストで海上では移動艦船、陸上では固定目標にそれぞれ対応できるか試している。トマホークはSM-6より遅いため撃墜される可能性もあるが、対艦トマホークは有効射程が長く補完効果を示せる。両方の兵装で対艦攻撃能力が手に入れば、海軍艦船は陸上攻撃、対艦攻撃、対空・ミサイル戦すべてに対応できる。しかも二種類のミサイルだけで。これだけで相当の火力増となりミサイルの有効活用につながる。
  4. 柔軟運用への動きはもう一つあり、協調型交戦能力 Cooperative Engagement Capabilityと呼ばれ見通し線外の目標に対し他艦あるいは航空機のレーダーデータをもとに攻撃を加える構想だ。同じ1月にUSSジョン・ポール・ジョーンズがUSSグリドレイからのデータで記録破りの長距離から標的5個の撃墜に成功していたことも今回明らかになった。
  5. 海軍が最終的に目指す分散型撃滅威力構想では、敵がこちらの空母攻撃をする前に艦隊の各艦がもつ威力を無視できなくさせるのが狙いだ。また敵位置を探知した艦が一隻でも艦隊の全火力を集中投入させる。この威力で敵への抑止力が期待できる。■


コメント

  1. 航空機搭載の対艦ミサイルはどうなっているのでしょうか?

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ