LRS-Bへの風当たりが強く、空軍関係者から以下の寄稿があったようです。抑止力のおおきな構造要素としての爆撃機の運用能力の維持向上が必要との主張です。
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Why Bombers Are Key to Nuke Modernization; Think Russia, North Korea, China
B-2 with B-61 and other weapons
核兵器の改修事業に反対する向きは大統領選挙の行方に気をもんでいる。長距離スタンドオフ巡航ミサイル (LRSO) や核爆弾B61Mod12の耐用年数延長はじめ拡充事業を阻止する望みが消えつつあるためだ。核兵器の廃絶や段階的縮小を願う向きには残念だがオバマ大統領は核兵器改修を推進しており、2010年の新START条約の成立で共和党の支持を取り付けた際の約束を守っている。ロシア、中国、北朝鮮が一層活発な動きを示しておりオバマ政権は核兵器の近代化改修を継続している。
- ここに予算を投じることは税金の無駄使いではない。逆に核抑止力の維持で中心的な役割を果たす。爆撃機部隊がLRSOや B-61 Mod 12を搭載すれば、核兵器改修が目に見える効果を上げるのが一番よくわかるだろう。
- ここ三年で二回も米国は北朝鮮の危機エスカレーションに対してB-2やB-52による示威活動で対抗している。2012年12月に北朝鮮が長距離ロケット発射をした際、2013年2月12日に核実験を行った際だ。
- 当時、米韓合同演習の実施が迫り、北朝鮮は演習を核戦争準備ととらえ威嚇しつつ、1953年休戦協定は無効とまで言い切った。緊張が高まる中、B-2ステルス爆撃機2機が米本土から発進し韓国上空を飛行し、演習用爆弾を韓国内演習地に投下した。韓国空軍戦闘機の護衛つきで爆撃機は演習に参加し、緊張は緩和したが、一時的にすぎなかった。
- 金正恩生誕の二日前に北朝鮮が水爆実験した際には太平洋軍 (PACOM) がB-52一機を韓国に派遣した。
- 抑止効果は一回で完了するものではなく、正しい手段で事態がエスカレートし開戦にならないように日常から維持すべきものだ。このため、空軍がB-52やB-2を韓国へ派遣したのであり、各機が最新型の核巡航ミサイルや高精度の核爆弾を搭載していると敵側に知らせる必要がある。
- これが理解できなければ抑止ミッションは成功しない。PACOM司令官ハリー・ハリス大将がいみじくも言っている。「米側同盟国の韓国、日本へのコミットメントで米国に不動の決意があると示すとともに米本土防衛でも妥協の余地なしと伝えることだ」
- もっと大きな外交メッセージとしては米国が有するいかなる脅威にも対応する能力、意思を伝えている。北朝鮮と米国の関係が極めて複雑なため、何にもまして北朝鮮には米国が核兵器の行使を真剣に考えており、韓国防衛に責務を有していると理解させる必要がある。
- 核兵器の近代化とともに核運用可能な爆撃機の投入は北朝鮮に対してこちら側の能力・意思を伝えるだけでなく、その他国に対しても米国の言葉の重みを感じさせることにつながる。
- 爆撃機による核兵器ミッションというと都市破壊や大量殺戮の印象が強いが、このイメージがあるからこそ米国は間違いのない抑止力を確実に確保できるのだ。爆撃機は核の三本柱のひとつであり、敵対勢力にアメリカの意図を明瞭に伝えるがICBMや潜水艦発射ミサイルでは期待できない効果だ。近代化改修があってこそ大きな威力を発揮できるのであり、米国の発出するメッセージに重みがつく。
- 核兵器近代化や爆撃機部隊の存続に反対する向きは核運用爆撃機や兵器の近代化あるいは新型導入は不要と主張するが、厳然たる事実はかわらない。三本柱でアメリカの意思をこれだけ目に見える形で伝えられる手段は他にはない。北朝鮮がこちらの意思を試すことに執念を燃やす現状で爆撃機部隊に高性能核兵器を搭載しないでおけるだろうか。
著者クリス・ウィンクルプレック少佐は第608航空作戦センター勤務。またアダム・ロウサーは空軍工科大学高度核抑止力研究校の理事。著者の見解は米空軍、米国防総省、米国政府の公式見解や方針を必ずしも反映するものではない。
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