現在は価格が暴落しているので産業界にも危機感がないようですが、レーザーなど記事が指摘するように新技術の生死を決めかねない材料が中国に多いというのはなんという皮肉でしょう。レアアースはレアメタルよりさらに特殊な材料のようですね。実は日本近海が有望な開発地点として注目されており、今後中国がここに目をつけて日本の海洋主権に挑戦してくる可能性も出てくるでしょう。
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Pentagon Fails To Act On Crucial Rare Earth Minerals
このたび刊行された政府会計検査部門GAOの報告書では国防総省DoDがレアメタルの国家安全保障上の意義を理解していないと叱責している。レアメタルは中国が世界市場を支配しており、米国に必要量を確保する案を作成していない、関連部門の連携が取れていないと指摘している。これについてBreaking DefenseがDoDに照会したところは過誤はないとしながら善処を約束した。
- 「GAOによるDoDが重要資源獲得に尽力していないとの指摘に賛同しかねるが、継続改善の考えによりGAO報告書の提言は受け入れる」と報道官エリック・バジャー空軍中佐が述べた。
- ペンタゴン、防衛産業その他企業がレアアースで国防向けは100パーセント、民生用で85パーセントの供給を中国が支配している事実を都合よく無視しているという議論は低調なままだ。2010年に中国はこれを武器として日本向けレアアース供給を停止しレアアース価格は急騰した。
- 「南シナ海、東シナ海の状況を見ていると、中国が重要原材料を実行支配しているのを知る人がほとんど皆無なのは何とも皮肉だ」とテキサスレアアース資源会社 (TRER)のアンソニー・マーチーズ会長は指摘する。同社は投資元を募り、レアアース鉱脈を米国内で唯一の供給源テキサスで探査中だ。
- レアアースとは特殊な物性を有する17種類もの金属・成分で、強力な磁力や高度の耐熱性などを発揮できる。分類上は「軽い」レアアースと「重い」ものにわかれ、イットリウム、ネオジウム、ジプソジウムといった奇妙な名前がついているが、いったん不足すれば笑っていられなくなる。「最近の研究ではレアアースがないと米軍事装備の生産や運用ができなくなると判明」とGAOは述べている。「必要な資源に確実なアクセスを確保することがDoDに必要だ」
- ペンタゴンにとってこの資源がどうして必要なのか。(2012年度国防予算認可法で詳しく説明しているので引用する)
- SSN-774ヴァージニア級原子力高速攻撃潜水艦一隻でおよそ9,200ポンドのレアアース材料が必要
- DDG-51イージス駆逐艦では5,200ポンド
- F-35共用打撃戦闘機なら920ポンド
- 精密誘導弾、レーザー、衛星通信、レーダー、ソナー他装備にも必須と議会調査局が2013年に追加している
- 「レアアースは文字通り希少とは限らないが、地球表土で濃度が低いことが多い」と議会調査局は説明している。つまり採掘と処理が高価格になり、処理も多工程を必要とする。鉱石から酸化物成分に分離し、金属成分に精錬し、金属成分を合金に処理し、合金をデバイスや部品に加工し永久磁石として共用直接攻撃弾(JDAM)にの誘導部分に組み込むのは一例だ。
- GAOによればDoDで三部門がレアアースを所管している。国防補給局(DLA)の戦略物資室、生産産業基盤政策 (MIBP)室、戦略物資保護委員会 (SMPB) で、それぞれの製作方向性が「ばらばら」で「必須の」レアアース材料の定義でも共通認識がないという。GAOはSMPBが「国防安全保障上で必須なレアアースを定義し」供給がストップした際の影響をあらかじめ分析させたうえで「供給確保につながる戦略を展開させる」べきとアシュ・カーター国防長官へ提言している。また国防長官は「MIBPに対して確実な供給源を把握し、相当の期間にわたり確実な供給を確立するよう指示すべき」としている。
- 今回のGAO報告書はこの問題に関する政府報告書の最新版にすぎないが、これまでの報告書でも国防総省に迅速な行動をとるよう求めていなかった。またこの件に関し国防産業に対しても同じ姿勢だ。
- 「フォーチュン企業番付大手100社の主要企業と話しましたが、皆同じことを言っています。『何が問題なのか。必要なレアアースは低価格で調達するのに何の問題もないぞ』というのです」(マーチーズ) TRERは国防補給局が交付した契約により同社のラウンドトップ山(エルパソ南方)のレアアース鉱脈の時価評価を行っている。同社はイットリウム、イッテルビウムその他DLA指定のレアアースの分析用標本を製造しており、契約により秘匿条件を守っている。マーチーズによればラウンドトップ山から「将来のDoDレアアース材料の100パーセント供給は確実」だという。
- ただし、この問題を正しく認識すれば。■
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