まあエアフォースワンはともかく、F-35と核攻撃兵力の整備でトランプ大統領がどんな判断をビジネス感覚で出してくるか注目されます。産軍複合体の後ろ盾なく当選できたので業界としても不安な面持ちであることは確かなようです。1月の大統領就任式までは観測がさかんになるでしょうね。自分のお金があると色々自由になっていいですね。747から派生したもう一つの重要機材E-4については後継機構想はまだ浮上していないようです。
Will Trump Be Satisfied With Plans for a New Air Force One?
President-elect likes luxury and has criticized plane maker Boeing
by JOSEPH TREVITHICK
大統領選で一年以上にわたりドナルド・トランプは米軍拡充を曖昧に語ってきた。トランプ政権が発足後に構想を現実にしていくと期待したい。
- トランプは既存の国防事業で責任も引き継ぎ、その中に新型技術向上型エアフォースワンも含まれる。2016年1月に米空軍からボーイングに「大統領ミッション用の」747を3機製造する契約を交付したと発表があった。
- 空軍は新型機投入は2024年以降と見る。その時点でトランプが再選されていてもホワイトハウスの主でいられるのはわずかだろう。
- そうなるとアメリカの新指導者が同機を利用することは少なくなる。トランプはエアライン経営に失敗したものの航空分野に熱意を持ち、なんでも「一番」がいいと公言するナルシストである。贅沢を好み、選挙期間中はボーイングに批判的だった。
- ペンタゴンが大統領一行の移動用に専用機材を確保するのは1944年以来の伝統であり、大統領が搭乗した機材は「エアフォースワン」のコールサインとなる。
- 2016年現在、空軍にはボーイングVC-25Aが二機あり、747-200B旅客機を改造した各機は大統領移動用に待機している。ボーイングがホワイトハウス同様に同機の各種装備については口を閉ざしているのは理解されよう。
- 最新の通信機材、防御装備、他が搭載されているはずだ。ホワイトハウスによれば各機に医療室があり緊急時対応の医師が待機しているという。乗員30名で70名超の乗客に対応する。キッチンは100名以上の食事を提供できる。
- ただし機体は老朽化が進んでいる。ボーイングが両機を納入したのは1990年12月のことだ。
- そこでペンタゴンは最新式の747-8を選定し、新型エアフォースワンを取得することとした。新型機の最大の改良点はエンジンだ。
- 2016年度現在でVC-25の運航費用は一時間あたり180千ドルを超えており、B-2ステルス爆撃機の二倍の水準だ。新型エンジンの燃料消費率改善がこの経費を押し下げそうだ。ジェネラル・エレクトリックの次世代エンジン四発を搭載した747-8VIP仕様は無給油で8千マイルを飛行できるとボーイングは説明。VC-25同様に空中給油能力も備えるだろう。
- また無線通信能力もその他装備同様に引き上げるのだろう。2016年7月時点で空軍はまだ詳細を詰めている段階だった。
- 2016年9月29日に空軍はボーイングに25百万ドルを交付し、機体の「非公開要求内容」用とした。その時点で同社は168百万ドルを事業費として受領している。
- ペンタゴンは機体単価を発表していないが、ボーイングは民生用の747-8のVIP仕様改装費用は360百万ドルを超えると発表している。空軍は新型機は最低30年間の供用に耐えることを期待している。
- トランプがホワイトハウスを去るまでに新型機が登場する可能性はないが、トランプが新型エアフォースワンに注文を加えボーイングの納入に影響を与えることはありえる。VC-25はロナルド・レーガン大統領がホワイトハウスを去る1990年1月に発注している。
- レーガンは生前に新型機に乗る機会はなかった。2004年6月の死去で一機が遺体をワシントンDCへ搬送した。
- トランプから新型エアフォースワンについて言及は今までないが、明らかに本人には独自の趣向がある。2016年大統領選中に自家用ジェット機で各地を飛び回っていた。
- 報道陣はトランプの専用機ボーイング757を「トランプフォースワン」と呼んでいた。747より小型だが100百万ドルする同機は45名までしか搭乗しなかった。
- 同機にはエアフォースワン並みの暗号化無線装置、対空ミサイル用おとり装置、緊急医療設備こそ搭載されていないが、純金装飾が各所につき、木材パネルが多用されている。
- 「シートベルトはじめあちこちが24k金メッキ」とトランプ選対広報のアマンダ・ミラーが解説している。「客室部分は全部が木の内装です」
- 驚くようなことではないが、トランプの家紋がヘッドセット、枕、他機内あちこちについている。エアフォースワンの大統領専用寝室にはそこまでの装飾調度はないと想像できる。
- トランプの贅沢好きがエアフォースワンに影響をあたえるだろうか。報道によれば次期大統領はホワイトハウスでの暮らしを極力回避しようとしているという。
- 「トランプ氏は深夜遅く飛んでも自分のベッドがあるトランプタワーに戻りたいとする外泊嫌いで、側近とホワイトハウスで眠るのは一週間で何回にしようかと相談している」とニューヨーク・タイムズが報じている。「本人からは今まで通りのやり方のほうが良い、とニューヨークにこだわっていると話が出ている」
- 前例もある。ボーイングがVC-25製造を開始した1980年代に当時のファーストレイディのナンシー・レーガンが口を出した。長年カリフォーニアに暮らした同夫人は南西部風の内装意匠を求めた。
- トランプも大きく内容を変えさせる可能性がある。なぜならボーイングのビジネス慣行には批判的だからだ。同社の中国、イランとの取引、米輸出入銀行との交渉をきびしく口撃した選挙演説もあった。
- 「ボーイングは中国に巨大工場を建設中だ」とトランプは今年2月のサウスカロライナ州集会で述べている。同州にはボーイング工場がある。「気をつけて欲しい。工場が完成して二年もすれば皆さんの仕事はなくなる。でもトランプ当選となればそうならない。でも気をつけていて欲しい」
- 名指しで批判されたボーイングはトランプ当選直後に事態を和らげようと声明文を発表している。「大統領に当選したトランプならびに新たに選出された議員各位に祝意を送り、今後一緒に働くことを期待」とポール・バーグマンはボーイング商用機部門の広報として11月9日に声明を出した。「米企業はおしなべて国家安全保障におけるアメリカの指導力を維持する手助けをします」
- もちろん大統領専用機事業を取り仕切るのはペンタゴンであり、トランプが自身の「腹心」に事業を任せる可能性はある。ボーイング株価が大統領選挙後に連続で上げているが、他の防衛企業同様である。
- 2017年1月20日をすぎれば本当の変化が見えてくるし、トランプの気性が次期エアフォースワン含む各種事業にどんな影響をあたえるかもわかるはずだ。■
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