スキップしてメイン コンテンツに移動

★★あまりにひどいF-35の現実にトランプ大統領はどんな判断をする?



「F-35事業は15年にわたる失敗、遅延、予算超過の一大叙事詩」----す、すごい表現ですね。しかし一体どちらが正しいのか。メーカーや運用する米空軍等は楽観的な見方をする一方でペンタゴンの評価部門は極めて厳しい評価をしており、事業推進責任部門にも厳しい目を向けています。大きすぎてつぶせない、というF-35事業ですが、ビジネスマンのトランプ大統領がどんな判断を下すのかが来年の大きな話題になるでしょう。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to
An F-35A takes off from Mountain Home Air Force Base in Idaho. U.S. Air Force photo

The U.S. Military Will Bring F-35s Into Service Without Finishing Them

Program office cuts development short

by DAN GRAZIER
戦闘対応の準備ができていない状態でしかも開発が完了しないままでパイロットがF-35共用打撃戦闘機を操縦することになりそうだ。
  1. 「このままでは実施できない」重要なミッションがあるとペンタゴンの武器試験部門トップも警鐘を鳴らしている。
  2. Project On Government OversightはこのたびDTO&E作戦試験評価部長マイケル・ギルモアの作成したメモを入手したが、共用打撃戦闘機推進室がF-35開発期間を切り上げることで日程・予算ともに予定通りと取り繕おうとしていると批判している。

開発テスト打ち切りでさらに予算超過する

  1. 契約企業各社、JPO、ペンタゴンともに同事業を予定通り進行することに失敗しており、今回は開発試験や技術修正が必要なのに予算がなくなったようだ
  2. 失敗を認める代わりに関係者は開発期間を短縮し次の作戦テスト製造段階用に確保しておいた予算に手を付けようとしている。
  3. 遅ればせながら推進室は追加予算で開発を完了しつつ議会には中途半端な開発のままの量産機の追加購入を求めているが、後年度に大幅かつ高額の改修が必要になることは承知の上だ。
  4. 現行の410機まとめ買い案では340億ドルから540億ドルの規模になるという差は、ペンタゴン公表の楽天的な数字と控えめな数字の違いだ。
  5. 不完全なままF-35が実戦配備される可能性が出てきた。戦闘投入されればギルモアを引用すればパイロットの生命が「大きな危険に」さらされる。
  6. ギルモアからは推進室の主張通りになれば、F-35が実戦テストに合格しない可能性もあると警告が出ている。その場合は高額な費用で修正を加えてからテストを全部やり直すことになる。この費用は納税者に3億ドルの追加負担となり、技術的な解決を図り、搭載でさらに高額の費用がかかるだろう。
  7. ギルモア作成のメモがブルームバーグで記事になるとジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)が上院軍事員会委員長として書簡を国防長官アシュトン・カーターに送り、ペンタゴンが同委員会に対して事業の進展状況で正しくない理解に導いたとの懸念を表明している。
  8. マケイン委員長は推進室長クリストファー・ボグデン中将が先に出した開発は2017年末に完了するとの報告に疑念を示し、空軍長官デボラ・ジェイムズから必要な予算は確保ずみで開発は予定通り完了するとの発言があったことにも疑いの目を向けている。テスト部門のメモが火に油を注いだ格好だ。
  9. 「性能の不調、繰り返される遅延、コスト超過の常態化」を理由にマケイン議員は国防総省の主張する2,433機が必要との見積もりは現実的かつ実現可能との見解に反発しており、かわりにペンタゴンは現実のコストと日程から調達規模を見直すべきと主張している。
  10. 議会内とペンタゴンのF-35推進派は巨大すぎて失敗が許されない同機事業を何としても温存し生産することのほうが実戦でどんな威力を発揮するかより重要と考えているようだ。
  11. ペンタゴンが追加調達の要望を議会に送ったが、下院では超党派推進支持派70票がさらに11機の追加を求めている。
Airmen refuel an F-35 at Hill Air Force Base, Utah in November 2016. U.S. Air Force photo

ミッションソフトウェアが不完全なまま

  1. 機体構造、空力特性、エンジン、信頼性と問題が山積みのところに日程をさらに遅らせているのはミッションシステムのソフトウェア問題だ。
  2. ミッションソフトウェアはパイロットが得るインプットすべてを制御し、脅威対象、標的、武装、ミッション内容全般に関係する。空軍は繰り返し、ミッションソフトウェアでステルス性能とともにF-35の優位性が最大化すると説明してきた。
  3. ソフトウェア初期版のブロック2Bと3iが機材に搭載されており、今可能なのは基本的な飛行に加えレーダー誘導ミサイル一種類と誘導爆弾一型式の運用だけだ。
  4. ただし初期型でも開発テストに合格できない事態が発生しており、現時点で戦闘能力は極めて限られている。
  5. そこで実戦能力の実現には新型ミッションシステムのソフトウェアが必要だ。近接航空支援や深部侵攻爆撃、空対空で必要となり、各種名称で今後改訂され大幅な手直しが行われる。
  6. 各型には追加装備がつき、初期型の欠陥を修正する。開発中のブロック3F改訂版5で運用兵装が追加となり、これまで多発していたコンピュータ作動中止が減ることが期待されている。
  7. ギルモアはコンピュータがクラッシュしたためミッション中のパイロットがレーダーを一度止めて再起動を迫られていたと書いている。
  8. この第五版の開発が完了してもF-35に求められる戦闘能力の一部しか実現できず、実践的な作戦テストとしても不十分だ。重要なテストのためにはさらにブロック3FR6が必要となるが開発はまだ始まっていない。
  9. 初期型ブロック3Fのテストでは近接航空支援、敵防空体制制圧・破壊、制空任務、対地攻撃はことごとく「受け入れられない程度の効果で性能、作動に大きな欠陥がある」と判明している。
All three variants of the F-35 over Florida in May 2014. U.S. Air Force photo

その場しのぎの対策ばかり

  1. 開発テストで不十分な結果の山積み状態だが、手直しに相当の費用がかかることが予想される中で開発室は開発テスト段階を短縮化し、未完のテスト項目、再テストは今後の運用テスト段階に持ち越すと決めてしまった。
  2. そこで残る開発テスト項目、再テストは運用テスト用の予算で実施することになるが、そもそも想定していないテストに予算が食われることになる。
  3. 運用テストを中断して問題点を手直しすることは本来開発テスト期間中に完了しておくべきことなので、運用テストとして念入りに計画した内容にしわ寄せが行く。運用テスト自体は四年前にすでに各軍と当部で合意しておいたものだ。(ギルモア
  4. ギルモアはこの方法ではリスクが高すぎると警句を発している。作戦テストを現実的かつ有益に活用できるようにすべく開発段階を完了させ開発テストを合格し、諸元に合致する装備を先に準備すべきだと言う。
  5. ウェポンシステムの戦闘テストを始める時点で開発期間中の補修がまだ必要なら危険が発生する。
  6. 中途半端なままのF-35を過酷な戦闘テストに持ち出してもあらたに設計上の瑕疵が見つかるだけだ。修正作業が必要となり、再度テストすれば工程が長期化するだけだ
  7. 作戦テストを途中で繰り返し中断して基本設計が原因の問題を解消していくと緻密に組んだ上に各軍とDOT&Eで合意済みの運用テスト日程が狂う。
  8. その結果でさらに遅延し、コストを引き上げることになるが、ギルモアへの批判筋やF-35弁護派はこういう事態を回避できるという。
  9. ペンタゴンがF-35事業を立て直したのが2012年のことだったが、同時並行による作業量を減らすために生産を一時延期してまで開発・運用テストを完全に終えようとしていた。今回推進室が開発期間を短縮すると逆にF-35の同時並行作業を増やすことになる。
  10. 同時並行作業の大義名分は日程消化を加速と費用節約だったが、実際の目的は調達費用の流れを確保した上でテスト結果の不調を理由に発注取り消しになることを防ぐことにある。
  11. さらに歴史上はこのやり方ではさらに遅延が加わり費用が高騰することがわかっている。

機関砲が運用できない

  1. F-35Aが内蔵する機関砲は近接航空支援、ドッグファイトの両方で重要な装備だが、問題が解決できておらずさらに開発努力が必要だ。ステルス性を確保するため通常は機関砲扉が開閉するが、これで抗力が増え機首が一方向に振られ照準が難しくなる現象が発生している。
  2. 技術陣は飛行制御ソフトウェアの改良でこの問題は解決できると見ているが、当然テストで実証する必要がある。
  3. もっと深刻なのが銃の照準を当てるための600千ドルもするヘルメット搭載ディスプレイだ。このヘルメットでの射撃精度テストは2016年10月に行われる予定だったが、ソフトウェア問題のため2017年まで先送りされている。
  4. ヘルメットの視野が機関砲の射撃精度性能と合致しないという技術問題がある。
  5. パイロットから報告があったのはヘルメットに表示される記号が眼球の動きに対応していない問題で特にタービュランスがある場合や機体に振動が加わる過激な機体操縦時に発生するという。機関砲が戦闘投入可能なのか判明するのは現実の条件に近い運用テストを待つ必要があり、結果が出るのは最短で2020年となる。
  6. 海軍と海兵隊向けのF-35にはもっと深刻な機関砲精度の問題がある。というのはともに機関砲は外部装着ポッドを使い、機内搭載砲と比べると安定度が劣るためだ。このポッドから発射すると反発力で機首が下がり、F-35Aの場合より悪い影響が生まれる可能性がある。
  7. こうした深刻な問題を克服できたとしても機関砲は当初の目標を達成できない可能性がある。25ミリ銃弾の仕様が途中で変更されたためだ。
  8. F-35Aは新たに非爆発性破砕型弾薬を使うことになったが、精度と威力は実証されていない。F-35BとC型は従来同様に海軍開発の半貫徹型高性能銃弾を用いる。開発室は「新規採用銃弾では精度面の要求水準は実現しないとわかった」としている。
  9. DOT&Eが指摘しているように推進室はこれらの課題を契約上の運用必要性能から削除することで解決している。しかも正式な承認を各軍やOSDから得ていないままだ。契約企業はこのため契約上は空対空、あるいは空対地での発射精度や命中威力の保証義務がないのだ。
  10. F-35搭載機関砲では目標に命中させられず威力がないと判明した場合、誰も責任を問われず、修正作業が実施されるまで使用不能のままだ。
An F-35A drops a GBU-12 laser-guided bomb onto a range in Arizona in April 2016. U.S. Air Force photo

兵装運用テストの遅れ

  1. 戦闘条件を想定した運用テストで搭載兵装の実力を確かめる前に、兵装投下の精度を確かめるテストが各装備で必要だ。F-35の性能諸元によれば「敵探知、目標固定、識別、追尾、標的確定、攻撃、評価」をすべて行えるはずだ。
  2. 一連の機能を確かめてからストレスの多い戦闘条件を再現するテストで「キルチェーン」が機能するか検証することになる。この運用作戦テストは複雑かつ費用がかかるので通常のの技術テスト条件でさえ標的を外すような兵装をいきなりテストしても意味が無いのだ。
  3. F-35開発テストでは極めて高い精度を証明した場面もあったが、DOT&Eによれば全般成績は芳しくないという。実際にテスト現場で成果を上げるために「制御室からの介入」が必要となったという。
  4. その例としてメモによれば長距離用AIM-120レーダー誘導空対空ミサイルのテストで地上要員からパイロットに発射タイミングを教示していた。F-35搭載レーダーとコンピュータが敵攻撃のタイミングを表示できなかったためだ。
  5. さらに予定していた開発段階兵装の精度確認テスト13種類が未実施のままだ。推進室はテストをすべて実施しないことにするのか、開発段階中にすべて完了させるのかそれとも運用テスト段階に先送りするのか明らかにしていない。
  6. 兵装テストが完了しないままと未確認の不良を放置することとなり、修正の後に再テストする必要があるのだ。
  7. 兵装テストの日程を再度調整し必要な予算を手当し開発段階を完了しないままなら運用作戦テストに悪影響が生まれるとギルモア部長は警告する。結果として日程がさらに狂い、経費超過を招き、F-35の戦闘能力の妥当性そのものが評価できなくなるという。
  8. もともと合意ずみの大日程通りに兵装開発テストをすべて完了してから運用テストに望むのが技術上、倫理上ともに正しい選択のはずだ。
  9. 残念ながらそうすれば推進室と長官官房関係者は一層の費用と時間が必要だと認めざるを得なくなり、すべての問題は解決済み、価格は低下中という前言を覆さざるを得なくなる。
An F-35A during a preflight inspection in Idaho in February 2016. U.S. Air Force photo

テストを短縮して機体は完成と言えるのか

  1. F-35事業はこのままでは戦闘に送り出せない問題をかかえている。この見解は空軍自体が内部評価で認めている。”
  2. 空軍はF-35が戦闘投入可能と公言したが、同日に空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドファイン大将は「本日のIOC宣言はF-35Aが完全な戦闘能力を獲得する道筋の大きな一歩だ」と述べている。
  3. 同大将がこう表現したのはテスト工程がさらに遅れを加えているさなかだった。最新のDOT&Eメモによれば、2016年9月末現在で65パーセントの飛行テスト項目しか消化していない。
  4. 推進室は2017年早々に予定されていた飛行テストを実施しないと決定し、ブロック3F開発が同時に完成予定だったがなりゆきに任せるとした。
  5. 今年8月のIOC宣言までに確保しておくはずだった戦闘性能では数点が開発フライトテストをこの度初めて開始している有様だ。その他にはまだそこまで到達していない項目もあり、2017年に想定していた運用作戦テストの開始が時期尚早になったのも事実だ。

不十分な準備体制

  1. 不完全な設計だけが貴重な運用テストの効果を危うくする要素ではない。ギルモア部長は推進室がおそらく意図的に戦闘テスト用機体に十分な予算をつけなかったのではと疑っている。
  2. 量産型で戦闘投入用のF-35の機数が運用テスト開始で考慮すべき要素だ。試験評価の大日程案ではDOT&Eと推進室が同意のもと18機が必要としており、各機に試験装備を搭載してテスト開始するとしていた。
  3. だが推進室はその通りにテストを開始するつもりはないようだ。関係者はテスト機材を確保する準備をまだしていないが、もともとテスト前に7年もの時間があったのだ。
  4. 対照的に納税者には不完全でテストのおわっていないF-35に61億ドル追加が必要だと説明するのに懸命だ。
  5. 推進室は運用テストの完了に必要な事項を無視しており、極めて現実条件を考慮した人員介在ミッションのシナリオのシミュレーションや脅威環境での電子装備の機能シミュレーションを軽視している。これが評価できないままF-35の戦闘能力全部をテストするのは不可能だ。
  6. 例えば、テスト中にステルス性能と対抗措置が作動するのか不明なままではミサイルは発射できない。F-35の性能を多面的に試す唯一の方法はヴァーチャルに再現した環境を使うことだ。というのは飛行試験空域では実際の戦闘で遭遇する可能性のある状況全てを再現できないためである。
  7. このため運用テスト用の機材を確保する努力を怠る推進室へギルモア部長は厳しく批判している。
The U.S. Capitol Building in Washington, D.C. Stefan Fussan photo via Flickr

F-35の政治的な意味

  1. 大型装備整備事業では常に政治が背後にあり、ことに今年は大統領選挙の年である。F-35とて例外ではない。
  2. 当初から関係者はF-35を予算削減の対象にさせないよう懸命に動いてきた。同機の部品は全米45州で生産されている。
  3. 生産企業を分散させることでF-35支援者を議会内に多数確保するようにしたのだ。
  4. 議会にF-35支援議員があることで、ペンタゴン内関係者はF-35向け予算を増やす圧力を感じている。
  5. こうした支援派は結束してF-35の追加調達で合意を取り付けようとしている。
  6. 下院共用打撃戦闘機を支援する議員の集まり70名が署名した書簡では下院国防歳出小委員会へ上院によるF-35先行調達1億ドル追加案を支持するよう求めている。
  7. この先行調達予算は空軍にF-35新造機体の部品を購入させ、2018年に完成機体を納入させようとするものだ。
  8. 実施されれば該当機材のコストを二年間にわたり分散させ、納税者の観点からは機体を先に導入する効果があるが、運用テストの結界如何ではF-35が本当に戦闘状況で実力を発揮できるか不明のままだ。
  9. ただしこの観点は何故か書簡には盛り込まれていない。
  10. 予想通り、大統領選挙費用を分析したCenter for Responsive Politicsによると署名議員はほとんどが国防産業からの寄付を受けている。
  11. 議員団幹事をつとめるケイ・グランジャー(共、テキサス)とジョン・ラーソン(民、コネチカット)両議員は144千ドル、43千ドルをそれぞれ国防産業大手や労組から受けている。
  12. 議会にF-35推進派がある中で、ペンタゴン関係者がF-35関連予算を可能な限り増やせとの圧力を感じているのは疑う余地がない。
An F-35A takes off from Mountain Home Air Force Base in Idaho in February 2016. U.S. Air Force photo
さらに墓穴を掘るのか
  1. F-35の開発・テスト状況はこのように悲惨な状況なのだが、推進室はブロック4の「完全性能」機体をさらに高額で多数調達する契約を2018年に交付する準備に入っている。
  2. ブロック4の詳細は未定だが、ブロック3のIOT&Eが始まる前に契約だけ交付することになる。
  3. 今後新たな問題点がいくつ見つかるか不明なままで初期作戦能力は宣言したもののあたかも片足で歩くようなものだ。推進室および支援派は一貫して現行の実現不可能な日程案のままで機体購入数を増やそうと言うが、これでは既知、未知の問題点を多数抱えることになるのは必至だ。
  4. ブロック3機材のテストが完了しないままブロック4機材を多数生産することは、建設会社が基礎工事を中途半端なままで超高層ビルを建てるようなものだ。
結語
  1. F-35事業とは15年にわたる失敗、遅延、予算超過の一大叙事詩と言って良い。
  2. ロッキード・マーティンへの契約交付のは2011年9月11日のテロ事件の数週間後のことで、当時の同社は空軍、海兵隊に新型機の初飛行は完全な性能を備えた形で2008年に実施すると約束していた。その後海軍向け機材は2010年に初飛行としていた。合計2,866機を総額2,000億ドルで生産する目論見だった。
  3. だが2016年現在で、2,457機生産で3,900億ドルになり、機体単価は二倍になり、409機減っても2,000億ドルを追加支出することになった。
  4. ペンタゴンで調達技術開発ロジスティクスを担当する副長官フランク。ケンドールはF-35調達について機体完成前に「調達の悪しき事例」と言っていた。この発言は2012年のことだったが、その後本人は意見を後退させている。
  5. ギルモア部長のメッセージは明瞭だ。F-35は戦闘で実力を発揮できず、米軍兵士の生命を危険にさらす。その回避のために今こそ大胆な策をうつべきだ。
  6. 開発テストを切り上げ運用テスト用機材の予算を確保しない現行案を先にすすめようという議会とペンタゴンはF-35の実戦での有効性を試すための実戦テストを事実上妨害しているようなものだ。
  7. 予算を十分つけないと回避できる問題を見つけ修正することができなくなり、パイロットは戦闘で危険な目にあう。
  8. 新しい大統領、新しい議会、新しい国防長官は官僚主義の妨害工作を止めるべく必要な対策を講じるべきだ。手始めに、F-35購入規模の拡大傾向を止めるべきだ。
  9. それで浮いた予算は開発段階、開発テストの完了に流用し予定通りの工程を完了させるべきだ。完璧までに現実に即した作戦テスト用に予算を当初通り確保した上でペンタゴンの作戦テスト評価部長が厳しく誠実に統括して難易度の高い工程を完了させるべきだ。
  10. 機体を繰り生命を賭ける男女にこの作業がなんとしても必要なのだ。■
Dan Grazier is the Jack Shanahan Fellow at the Project On Government Oversight, where this article originally appeared.



コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...