スキップしてメイン コンテンツに移動

ロシアはなぜシリアで乱暴な無差別爆撃を実施しているのか


シリアで何が起きているのか正確に把握している方は日本では少ないのではないでしょうか。なじみがない話ではありますが、遠い地とのんきに構えている余裕は実はないのですが。やりたい放題のロシアに各国はなんら手を売っていないというのが現実です。この事態を生んだのもオバマ政権の失策です。
War Is Boring
Russian Su-25 attack planes take off from Hmeymim air base in Syria. Russian Ministry of Defense photo

Does the Russian Air Force Even Know What Is Going On in Syria?

The Kremlin either has poor military intelligence or different — and far more disturbing — priorities in mind

by TOM COOPER

ロシアはシリア介入を始めた昨年から一貫して無差別に住民を標的としている。シリア政府への反抗勢力を一掃する戦略目標なのは明白だ。
  1. ロシアは同じ戦法をチェチェンで実施ずみで、今度はシリアというわけだ。公共施設、学校、病院、食料貯蔵所、給水施設を巧妙かつ継続して空爆し、敵対勢力の統治効果を減衰させ、地元住民に恐怖感を煽り居住地を離れさせ、反乱勢力の力を下げるねらいがある。
  2. ただしロシアの「価値減衰」戦術が2016年10月ほど激烈に行ってきたことはなかった。
  3. 同月にアルカイダ系列のジャバト・アル・ファタ(JAF)勢力がアレッポに移動してきた。さらにJAF勢力が補給品をトルコ国境付近から運送してきたがロシア機の姿はどこにもなかった。
  4. 10月25日になり自由シリア軍の中央師団がイドリブからアレッポに移動したが空爆はさして心配でなかった。
  5. 一方、ロシア航空宇宙軍VKSはアレッポ東方やイドリブの市町村を集中爆撃し、市民に多数の死傷者が発生した。
  6. 10月26日、JAFがアレッポ西方のシリア軍陣地を攻撃しはじめ、275千名の一般市民、11千名の戦闘員の包囲状況を解放しようとすると、ロシア機がイドリブで学校を空爆し、少なくとも22名の学童、教員6名が死亡する一回の空爆でシリア最悪の記録となった。
A Russian air force Su-24M over Hass, Oct. 26, 2016.
  1. シリアアラブ共和国の空軍はこれとはちがう行動をしている。小学校爆撃の同日にSyAAFは自由シリア軍集団の司令部をホム自治区で空爆している。
  2. その結果、自由シリア軍のショキ・アヨブ・アボ・イブラヒム大佐、副官ファイサル・アウド中佐も含む指導層が死亡した。
  3. 10月26日には興味深い写真がインターネット上で浮上し、アサド派のアレッポ軍区司令官ザイド・サレ少将が悪名高い民兵組織砂漠のタカの指揮官モハマド・ジャバと写っている。
  4. 二人の背後には地図があり、シリア軍がJAFの現在位置とアレッポ西方からアルアサド地区への展開作戦を情報収集しているのが分かる。
Major-General Zaid Saleh (centre) with Mohammad Jaber (left)
  1. ロシア軍はどこまで正確で有益な戦場の状況の情報収集をシリアで行っているのだろうか。
  2. 正しく信頼できる情報こそいかなる戦闘で成功要件となる。そのためロシアも努力している。
  3. まずロシアは偵察衛星を使い、シリアの戦場を監視していると公表している。ロシア軍の日刊紙ではシリアではロシア軍は「ネットワーク中心の戦闘」として情報収集と高度通信技術を応用して迅速に敵を突き止め撃破する原則で実施しているとする。
  4. ロシアが構築したシリア内の「ネットワーク」にはイリューシンIl-20M偵察機一機がまずフメイミン基地にあり、70機近くの偵察ドローンが大きいものはヤコブレフ・プチェラ-1から小型のオリアン-10、エレコン-3SVやグラナット-4まで配備されている。
  5. またスパイ機としてツボレフTu-214Rがあり、ロシア最高性能の偵察機といわれる。クレムリンが地上配備の前線航空指揮官を配備しているのはまちがいない。
  6. だが問題がある。VKSが繰り返し、シリア反抗勢力の指揮命令所や司令官の排除に失敗している。ジャバト・アル・ファタやイスラム国対象の作戦も失敗している。
  7. 2016年2月にはTu-214Rがアレッポ上空を飛行したが、イスラム国の大部隊が砂漠を横断しカン・ナシルとアレッポを結ぶ道路に近づくのを探知できなかった。
  8. この失敗により聖戦主義武装勢力が政府軍少数部隊を壊滅させ、その他2万名のシリア政府軍部隊やイラン革命防衛隊向けの補給線が一週間近く切断された。
  9. 一方でシリア政権に近い筋は反乱勢力指導部への空爆はSyAAFが実施しているのであり、ロシアVKSの関与はないと強調している。
  10. シリア空軍情報部は空爆実施に先駆け情報を入手し無線で爆撃機乗員に伝えているがVKS機は目標を変更していない。
  11. 同筋によればロシア情報集能力はシリア国内で不足しており、SyAAFへSu-22M-4Kに使用後40年経過のKKR-1カメラポッドを搭載して送るようロシア空軍が要望しているという。
  12. このためロシアの情報収集能力への疑問が生まれている。ロシアはシリアで何の情報を集めているのか。イスラム国については大した情報は集めていないようで空爆実施は2016年10月は十数回にも満たない。■
  13. シリア国内の主要反乱勢力についての情報収集力が十分でないことは明らかだし、アルカイダ系列のJFSでも同様だ。
  14. クレムリンが考えるネットワーク中心戦はこれから姿をあらわすのかもしれないが、実は全く違う意味に解釈しているのかもしれない。■

コメント

このブログの人気の投稿

★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…