スキップしてメイン コンテンツに移動

宇宙装備の防衛体制強化をめざす米空軍、ペンタゴンの動きについて




Visit Warrior

Air Force Pursues Strategy to Defend Anti-Satellite Attacks

KRIS OSBORN
11/01/2016


中国の宇宙兵器開発にペンタゴンが懸念している。
  1. 空軍とペンタゴンは宇宙の軍事化に対応できる戦略づくりを進めており、対衛星攻撃からの防御策を目指していると関係者が明らかにしている。
  2. 今年始めに空軍は多面的宇宙防衛策をたてて、これまでの研究分析結果を活用している。2014年には宇宙戦略ポートフォリオ検討を行い、宇宙装備全般を検討した。2015年に空軍は「宇宙状況認識能力」を見直し、今後の戦略方針の基礎となる宇宙保安体制の主要問題に光を当てた。
  3. 構想では当然ながら米宇宙装備が今までより高度のリスクを伴う対衛星技術にさらされているのを前提とする。そこで空軍は今後五年間で55億ドルを投じる。
  4. 「潜在敵対勢力はこちらの宇宙活装備を無効にする実力を整備中で、一旦開戦となれば現実のものになる」とウィンストン・ボーチャンプ空軍次官(宇宙関係担当)がScout Warrior特別取材で答えてくれた。
  5. 中国の脅威がとくに目立つものとなっており、地上から運動性エネルギー兵器のSC-19ミサイルを発射し、衛星を標的にしたことが数年前に発生し世界の関心と非難の的となった。ペンタゴンは中国の技術開発は相当進んでいると見ている。
  6. 「2007年時点で中国はASAT(対衛星)兵器試験を低高度迎撃手段として実施している。標的は稼働を終えた中国気象衛星だったが、破壊でデブリが数万点飛散している」とボーチャンプは説明。「デブリの大部分は今も軌道上にあり、米国含む各国の軌道上装備に脅威となっている」
  7. 対応して米国の合同宇宙作戦本部が宇宙デブリから回避するよう各国に警告している。その後中国は衛星を標的とはしないもののASAT兵器の実弾テストを継続しているという。
  8. 米国が運用する通信衛星はAEHF(高性能超高周波)方式でアップリンクが44 GHz、ダウンリンクが20 GHzだ。
  9. そこで米国が進める宇宙防衛体制で多くは秘密になっているが、米空軍がめざす宇宙装備の「回復力」確保の片鱗が浮かび上がってきた。
  10. 技術要素の中で分解・多様化が特に注目されている。これは複数衛星で核・非核運用し、多様化戦術で複数衛星に同じ目標を実現させる。
  11. 「衛星は言われるほど脆弱な存在ではない」と空軍で同構想に詳しい筋がDefense Systemsに語った。
  12. その一環として「米軍はGPSとヨーロッパ開発のガリレオ航法の双方を使っている」と同上筋は述べている。そのため米国の衛星が中断あるいは敵攻撃で壊滅しても同盟国の装備を利用できるという。
  13. 分散戦略では衛星多数を分散配備し、攻撃を受けても中核機能を継続させる。また欺瞞戦術で敵対勢力には重要機能の中枢がどの衛星がなのかわからなくなる。「攻撃で弱点となる単独衛星は存在しない」と空軍高官も語っている。
  14. 一部の衛星は「SATCOM」(通信衛星)だが他にはGPSや空軍用語で「宇宙配備赤外線」(SBIR)衛星がある。SBIR衛星は大陸間弾道ミサイルの発射を熱探知しミサイル防衛の効率を高める存在だ。
  15. 戦略案ではこの他にも拡散と防御がキーワードだ。ここでは複数衛星が同じ任務に投入されて攻撃に対する「強靭性」を高める。ここで用いる技術は大部分が秘密だが、関係者によれば各種対抗措置が投入されており、リモートセンシング技術や制御戦術が活用されているという。
  16. 衛星の強靭化対策には電子攻撃環境での作動継続もある。また空軍と国防総省は宇宙開発のペースを早め、民間宇宙開発技術の「ルネッサンス」状況に正しく対応させる。
  17. 空軍長官デボラ・ジェイムズは国防宇宙協議会、空軍宇宙軍団を束ねる立場にあり、ミサイル防衛庁や国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)との協同活動を進めている。
  18. その例としてDARPAがハイテクで広角監視が可能な宇宙監視望遠鏡が正式に移譲された。同望遠鏡は危険な小惑星または攻撃の兆候を従来より遠距離から探知できる。
  19. 米軍活動はGPS技術に依存しており、共用直接攻撃弾のような爆弾や通信活動、無人機等装備までが活用している。このことを踏まえペンタゴンは「GPSが使えなくなった」状況でも作戦が可能となる位置航法技術や時間測定技術の開発に取り組んでいる。■



コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...