ブラックホーク後継機種として米陸軍、その先に各軍共通次世代ヘリを目指し、まずシコルスキーは革新的な同軸ローターのレイダーを自社開発しました。ボーイング・ベルはティルトローターで競合するはずですが、どうなりますかね。
Sikorsky S-97 Raider Achieves First Flight
By Joe Gould1:01 p.m. EDT May 22, 2015
WASHINGTON — シコルスキーS-97レイダーが5月22日初飛行に成功した。
同機はウェストパームビーチ(フロリダ州)の同社施設を離陸しおよそ1時間で予定の飛行運動すべてをこなした。今年中のテストで徐々に性能を試していく。
「新世代のヘリコプターの同機による初飛行はシコルスキー社のみならず航空業界全般で大きな一歩だ」とマーク・ミラー(同社研究エンジニアリング部門副社長)は述べた。「初飛行は毎日あるものではないが、既存製品と大きく異る新型機だと特別なイベントになる」
シコルスキーは同機が米陸軍の求める次世代垂直離着陸機(軽)ならびに武装偵察機の性能要求に答えるものと期待している。
同社関係者はレイダーは特殊作戦任務に有益だとし、今後陸軍が求める大型機の実証の役割もあるとする。陸軍は各軍共用多用途ヘリコプターの後継機を企画中で、ブラックホークに代わる機種を調達する。
ミラーはレイダーの性能に自信を示し、同機を単なる新型ヘリコプターとしては見ていないという。なぜなら同機は従来のヘリコプターではできないこと、想定もしていないことを実現するからだという。高速飛行、高高度上昇、高温環境での飛行、搭載量も拡大するという。「アパッチでは不可能な性能が多数あります」
ミラーによると同社は「同機に大きな賭けをしている」という。レイダー開発費用の四分の三はシコルスキー自社負担で残りは主要取引企業54社が負担している。
「航空業界はこれまで創造性に欠けるとか革新性がないといわれてきたが、この機体の技術は根本から性能を変える。ヘリコプターの二倍の速度で飛行し、ヘリコプターにはない性能も発揮できる」
レイダーの原型はX-2技術実証機で、これはシコルスキーが2000年代後半に開発したものだが、レイダーでは機体は11,000ポンドと二倍になり、6名の強襲任務隊員と装備弾薬を運ぶ。
同社パイロット、ビル・フェル Bill Fell によればS-97は「岩のようにしっかりと」しており、振動・騒音ともに低く、反応がよいという。副パイロットのケビン・ブレーデンベック Kevin Bredenbeck はX-2で主パイロットをつとめ、両名はS-97が通常のヘリコプターと異なる機体だと述べ、性能に好印象を持ったという。
同機のリジッド・ローターシステムにより「驚くべき量の機体制御」が可能になったとフェルは語る。「ロール、ピッチのインプットを素早く入れると遅延なく反応する」
もともと設計工程の完了後48ヶ月後に初飛行する予定になっていた。これでも防衛産業の常識では相当早いが、実際は数ヶ月遅れたという。新技術導入による製造面での追加作業のためだが、遅れた分は一年間のテスト期間中に取り戻せるという。
テストでは装備搭載状態で220ノット(約400キロ)を実現し、装備を外せばもう少し早くできるとアンディ・バーナード Andy Bernhard 技術主幹は言う。テストの目的はスピードと高G機体操作の確認だ。
テストには2機投入し、一機は性能確認用、もう一機は顧客向けデモ飛行のほかミッション装備・武装の搭載の可能性検証に投入するという。
「概念を根本から変える性能があり、顧客むけに体験飛行をし、性能を確かめてもらう準備中です」とミラーは言う。「試してもらえればわかってもらえるはずで、一刻も早く正式採用したくなるのではないでしょうか」■
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