先日の空軍レーザー兵器開発の続報です。約4リットルの航空燃料で千回以上の照射ができれば夢の様な話で、空中戦の様相が一変しますが、一方で、大気中のレーザー減衰問題、高速度で飛行する標的への照準など技術上の問題もありますね。レーザーが万能薬ではなく、当面はミサイル、機関砲も搭載するのではないでしょうか。あるいはレーザー砲を装備した大型機を小型UAVが護衛する空中艦隊になれば面白いのですが。
Air Force Wants to Fire Lasers from Aircraft by 2023
by KRIS OSBORN on MAY 22, 2015
米空軍はレーザー兵器をC-17へ搭載し実証試験を2023年までに実施する。
- 高エネルギーレーザー(HEL)は空軍指向性エネルギー局がカークランド空軍基地(ニューメキシコ州)でテスト中だ。今年は地上テストを実施し、その後空中発射兵器への発展をめざすと、空軍科学主幹マイカ・エンズレイ Mica Endsley がMilitary.com取材に答えた。
- 地上テストはホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)で実施すると空軍報道官オサナ・ズックOthana Zuchが発表した。
- 「各種技術の成熟化に取り組んでいる」とエンズレイは述べた。「航空機に搭載し、実証を2023年までに行いたい」 一方、初の空中照射テストは2021年までに実施するとズックは述べた。
- エンズレイからは縮小化技術が実現するまではC-17のような大型機からレーザー照射を実施し、ゆくゆくはF-15、F-16,F-35の各戦闘機への搭載を目指すとの発言もあった。
- 航空機から照射するレーザーは空対空戦、近接航空支援、UAS対策、ボート対策、地上攻撃さらにミサイル防衛にまで拡大すると空軍関係者は見ている。
- 現在の開発の重点は出力増大、精度の確保、誘導方式にあるとエンズレイは説明。「これらをシステムに盛り込み、出力を10キロワットから100キロワットに拡大したい。そのため誘導、精度でさらに作業が必要だ」
- 機内のジェット燃料でレーザー用のエネルギーを確保し、数千回の照射ができるとエンズレイは述べる。「最大の利点は発射回数がたくさん確保できることです。現在のミサイルではせいぜい7発がいいところでしょう。指向性エネルギー兵器ではジェット燃料一ガロンで数千発の発射が可能になります」
- 米空軍がレーザーを航空機に搭載するのはこれがはじめてではない。以前はミサイル防衛の目的で化学レーザーを実用化しようとした。このエアボーン・レーザー(ABL)計画でボーイング747-400F貨物機にメガワット級化学酸化ヨウ素レーザー装置を搭載し、機首から発射するテストをしている。
- このABL計画は当時の国防長官ロバート・ゲイツにより2009年に中止され、予算と実現性で疑問があるためとされた。「ABLでは価格と技術問題が山積している。そこで提案通りの運用が可能か大いに疑問だ」とゲイツは当時述べていた。■
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