世界をチェス盤のように資源、通商、投資、人口などから冷徹に見る訓練が我々にはかけていますが、中国はその点で先を言っているようですので、ご注意。安全保障関連ではホルムズ海峡ばかりが例示されていますがもっと大きな視点がひつようですね。
Why the Chinese Navy is in the Mediterranean
By: Magnus Nordenman
May 14, 2015 5:48 PM
中国フリゲート艦濰坊は5月14日に黒海から出た。Photo by Yörük Işık
5月14日、中国人民解放軍海軍(PLAN)フリゲート艦臨沂 Linyi ・濰坊 Weifang の二隻はロシア海軍誘導ミサイルコルベット艦と黒海から地中海に入り初の中ロ合同演習海域に向かった。
- 演習は二国間の安全保障面でのつながりを象徴し、両国がグローバル段階に移行する努力のあらわれとなろう。
- またロシア海軍の活動が各地で活発化しており中国にも地中海で海軍作戦を展開する背景がある。なお、中国が地中海で演習をするのは今回が初めてではない。
- 中国にとって地中海はエネルギー安全保障と貿易の両面で関心地区である。
- 中国がめざす中央アジアからヨーロッパ・中東までを経済的につなぐ「海のシルクロード」の西の終着点であり、海運の効率をあげようと中国企業は地中海各地の港湾施設に相当の投資を注ぎ込んでいる。そのひとつにアテネ郊外のピレウスf Piraeus 港がある。
- 地中海とペルシア湾までの地帯が中国が必要とするエネルギー供給の重要経路だ。中国のエネルギー面での関心はさらにその先に伸び、東地中海で新たに石油・ガスが発見されている。
- また中東や北アフリカで混迷がつづいているが中国にとって意味がある。
- 中国はリビアのカダフィ政権への軍事力行使国連議決を棄権している。リビア国内で働く中国人の国外脱出を連合軍とNATO空爆開始前にPLANが実施している。
- 今年3月には同様にイエメンで中国市民の国外脱出作戦を実施した。
- 二例からアフリカ・地中海での中国企業・中国労働者の存在が大きくなっていることがわかる。多くがインフラ関連や製造業である。
- また中東アフリカでの不安定が中国の国内治安にも影響を及ぼさないか警戒している。中国にはイスラム教徒も少数だが存在し、中東アフリカの騒動が中国国内で同様の騒乱事件発生になることを中央政府は心配する。そうなると地中海に中国軍のプレゼンスを置くことは現地情勢を直接近くから把握するためと言って良い。.
- また地中海地区での軍同士の関係強化も進めている。海賊対策に派遣の中国艦船が地中海入りし、各地を寄港している。
- 中国とトルコが2010年に空軍演習をして、中国軍がNATO加盟国との初の共同演習になったことから、米国や欧州各国ではNATOと米軍の相互運用を空とミサイルで見直すきっかけとなった。イスラエルも中国と産業協力を長年維持している。イスラエルのUAVが中国に輸出され米政府の神経を刺激した。
- 戦略上の権益や長期間の商業、政治、軍事関係から中国は地中海諸国との関係構築に動いているのであり、今回の演習実施は一回のみに終わらないはずだ。
- 米国と欧州のNATO加盟国にも影響が出ている。
- 地中海はもははNATOの「我らが海」 mare nostrum ではない。
- 将来の地中海はいまより混雑した競争の場になるだろう。また地中海外の国家が遥か遠隔地から乗り入れてくるのは当たり前になる。
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