ミサイル防衛の整備は当然必要ですが、陸上配置型イージスシステムの導入を日本がまだ発表していない段階で米議会がこの動きをしたのは水面下で日本が導入を決めて米側と交渉している証拠なのでしょうか。また、東欧で先行して導入する施設は米軍が運用するのに対して、日本設置施設は日本単独あるいは日米共同運用と想定が異なっていますね。問題は設置箇所でしょうね。
House Paves the Way for Japan to Buy Aegis Ashore; Adds Anti-Air Warfare to European Sites
By: Megan Eckstein
May 18, 2015 4:45 AM • Updated: May 17, 2015 9:09 PM
海上自衛隊のこんごう級誘導ミサイル駆逐艦JDSみょうこう(DDG-175)、パールハーバー・ヒッカム合同基地施設から出港し、リムパック2012演習に向かうところ。 US Navy Photo
国家防衛認可法案National Defense Authorization Act が5月15日に下院を通過し、米軍のイージス陸上型ミサイル防衛システム(陸上イージス Aegis Ashore)の性能向上とともに同様のシステムの同盟国向け売却が含まれている。
- 下院軍事委員会(HASC)の戦略兵力小委員会の委員長マイク・ロジャース議員(共、アラバマ州)が修正案を議場に堤出し、国防総省に陸上イージスの日本向売却を急ぐよう求めた。
- 「日本政府が陸上イージス導入を決定すれば、同国がすでに海軍艦船でイージス武装システムを導入していることから、相互運用能力ならびに対空、対ミサイル防衛の統合が密接な同盟である同国と更に進む大きな機会となり、戦力増強効果が生まれることから、多用途装備への配備を緩和する効果が期待される」と修正案は述べている。
- この措置は国防法案の一部としてHASC所属の共和、民主両党議員が賛同した。
- この修正案で日米のミサイル防衛がさらに強化されると内部筋がUSNI Newsに語った。日本はイージス艦を運用中であり、米軍のミサイル防衛用レーダー施設を二箇所に受入れており、米国とはスタンダードミサイル3ブロックIIA迎撃体を共同開発中。
- 日本は陸上イージス導入を正式に決定していないが、消息筋によると有償海外軍事援助では陸上イージスの販売はできないという。
テスト用の陸上イージスシステムの建屋、太平洋ミサイル試射場にて。 Jan. 8, 2014. US Navy Photo
- 同筋によれば米海軍は売却案を一年以上前から検討中だが修正案で売却が遅延している理由を問われる格好だという。海軍がHASCと連絡をとっているのを認めつつ、FMSが進まないのは「お役所仕事のせい」と同筋は見ており、銀行借入の例にたとえる。大口借入れ審査が通った申請者なら自動車程度の借入れなら簡単に処理するべきだという。
- 修正案は海軍にすべての手順順守を求めつつ迅速な処理を求めている。
- これとは別に法案に以下の条項が入っている。「政策担当海軍次官ならびに国務長官は協力して陸上イージスあるいは追加陸上イージス導入のための資金づくりで障害を取り除くものとする。そのための検討内容、としてその他連邦政府省庁機関と適切な調整をすること、受入国による運用または米国と受入国の共同運用の実現可能性を含むこととする」
- さらに「大統領は陸上イージス設置箇所につき受入国と協定を結び、もし設置箇所が作戦司令部の要求に合致すれば必要に応じ共同財政負担ならびに共同開発でも協定するものとする」とある。
- 現在企画中の陸上イージス設置場所はルーマニアとポーランドで、同法案ではこの双方に防空能力の追加を求めている。このうちルーマニアは今年後半に稼働開始するので2018年までに装備追加する必要がある。またポーランドでは建設前から能力追加した上で、2018年に稼働開始する。
- 同上筋によれば法案中のこの部分はHASC内で超党派的支持を受けており、一部反対の理由はロシアを刺激することだったという。東欧二箇所のミサイル防衛施設は中東から飛来する弾道ミサイルからヨーロッパ同盟各国を防衛することが目的だが、ロシアは脅威だと受け止めている。
- 同上筋によればロジャーズ議員、戦略兵力小委員会、HASC所属議員多数が在外米軍部隊の防衛は道義上必要と感じ、可能な手段はすべて使うべきだとしている。ロシアが東欧の両施設を脅威対象と認識するのであれば、同施設運営に当たる数百名の米軍要員の防護手段が必要となる。
- なお下院法案は上院軍事委員会が賛同しないと成立しない。
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