スキップしてメイン コンテンツに移動

シャングリラ対話>カーター発言へ中国が反論した内容とは



論理には論理で対抗するのが国際社会の意見の主張の仕方です。中国は中国の見方をあくまでも主張するでしょうが、だれが見てもおかしい主張であると露呈してしまうでしょうね。ただし既成事実の積み上げというのが中国の狙いであれば、それを阻止しなくてはいけません。そのためには南シナ海での安全保障は日米豪主導で各国が参加する多国間枠組みに今後進展するのではないでしょうか。埋め立て工事は即時に中止してもらうか、今後続けても意味のないようにしていかねばなりませんね。

Carter: China "Out of Step" With Pacific

By Aaron Mehta 10:39 p.m. EDT May 29, 2015
SINGAPORE — アシュ・カーター国防長官は米国には太平洋における自由航行の権利があることを再度主張し、中国の行動を糾弾した。IISS主催シャングリラ対話の基調講演で各国が享受してきた域内バランスにとって中国は脅威になっていると指摘。
  1. 中国が2,000エーカー相当の埋め立てを続けており、中国は土地造成で領有権を主張しているが、米国は全く認めていない。
  2. 「中国は国際ルール規範を踏み外しており、アジア太平洋で守られてきた安全保障の枠組みに反している。また域内各国は外交による解決を優先することで意見は一致しており、力による解決には反対だ」と長官は原稿を読み上げた。
  3. 長官は域内国も監視施設など埋め立て工事で造成を行っている事実を認めつつ、中国による工事は前例のないほどの規模になっていると指摘。
  4. 「南シナ海で領有権を主張する国家のほぼ全部が監視哨を建設してきたのは事実で、スプラトリー諸島ではベトナムは48か所、フィリピンは8か所、マレーシア5か所、台湾も一か所を有する」「だがはるかに大規模かつ迅速に行動している国がある。中国だ」
  5. 講演内容はその前にハワイ真珠湾で行った演説と共通している。ハワイでは「合衆国は国際法が許す限り飛行、航行、作戦を実施する」と確約し、今回も再度言及した。
  6. 狙いが中国に向いているのは明らかだが、中国自身は埋め立て工事で主権主張が国際法で許されると信じている。
  7. 「すべての国家に自由航行の権利、上空飛行の権利があるからこそ世界の通商は中断されることなく維持されている。そのためすべての国家は自国の安全保障、経済活動を力の威圧を受けることなく自国で取捨選択すべきだ」
  8. 「この原則はすべての国家に共通の権利であり、単なる抽象概念ではなく、一国の好き勝手にまかされるものでもない。またある国に与えられた特権でもなく、勝手に解釈できるものでもない」
  9. 講演は明らかに中国を意識したもので、長官は域内連携の強化を謳った。
  10. そのために人道援助策と経済援助が役立っていると機長官は述べた。同時に中国とは軍同士の交流が重要との認識も示した。
  11. 「これこそ将来の安全保障を強化する道へつながる。将来とはすべての国が繁栄を享受できる姿のことだ」
  12. このくだりも中国へのメッセージである。ベトナム、マレーシア、フィリピンの海洋安全保障能力構築を強調するが、各国とも中国の南シナ海でのプレゼンスを警戒している。
  13. カーターはオバマ政権の一部として中国ときわどい線でやりあおうとしている。一方で域内友好国に対してアメリカの太平洋での役割を保証しつつ、他方で中国を追い詰めすぎて対立がエスカレートしないようにしているのだ。カーター発言はこの二項対立を背景にしたものだと専門家は分析している。
  14. 上海交通大学 Jiao Tong Universityで国家戦略研究所の副所長庄建中Zhuang Jianzhongはカーターのハワイ演説を「実に好戦的」としつつ、示威の意味が強いと見る。
  15. 「カーターは国内向けに強いことばを口にし、同盟国友好国も意識している」「美辞麗句だが行動は別。双方ともに行動に移る前にもう一度よく考えるべきだ」
  16. 一方で台湾のROC戦略研究学会の研究員Ching Changからは双方の意思疎通には一貫性が必要であり、飴と鞭を交えて対応する姿勢を見せるカーターはいつかしっぺ返しを食うとみる。米国の信用力が低下するか、米国のほうが問題児に見えてしまうというのだ。
  17. この意思疎通の問題が講演後の質疑応答で明らかになった。長官は中国の南シナ海観についての質問への回答を避け、同地区へ力づくで進出する国への米国がどう対応する方針なのかは回答しなかった。
  18. 会場は司会が中国人民解放軍代表を指名するとざわついた。同代表は「上級大佐」"Senior Colonel Zhao."とのことだった。
  19. は予想通りカーターによる中国の行動への言及を取り上げ、中国が視点を短時間で説明した。
  20. 「これまで同地域が平和安定な状態にあったのは中国の自制があってのことだ。したがって中国による活動はご合法的、合理的かつ正当なものだ」
  21. さらに米国による「厳しい批判」が南シナ海の「対立問題を解決するのに役立つ」はずがないと述べた。
  22. カーターは当然このような質問が出るのを予期し、中国による埋め立て工事は「前例のない」規模であるとし、工事の中止を求める姿勢だ。また長官は南シナ海政策方針に変化はないと繰り返し声明している。
  23. 「米国は南シナ海上空の飛行、航行をこれまで数十年実施しており、いかなるかたちでもこれを継続する。これは従来と何ら変更はない」■


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...