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次期海軍作戦部長のリチャードソン大将はこんな人



次期海軍作戦部長(海軍トップ)にリチャードソン大将が内定しました。潜水艦勤務の経歴を中心に直近は原子炉部門長のため今回の人事はやや驚きをもって受け止められているようです。まずUSNI Newsは以下のように伝えています。これは国防長官の発表後の配信です。

Naval Reactors Director Adm. Richardson Named Next CNO

May 13, 2015 10:02 AMUpdated: May 13, 2015 2:23 PM

Chief of Naval Operations Navy Adm. Jonathan Greenert and Navy Adm. John Richardson, director of the Naval Nuclear Propulsion Program. DoD Photo
海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将とジョン・リチャードソン大将(海軍核推進事業部長) DoD Photo

アシュ・カーター国防長官からジョン・リチャードソン大将 Adm. John Richardson(現海軍核推進事業統括責任者)が次の海軍作戦部長(CNO)に就任すると発表した。

  1. 人事はオバマ大統領が承認ずみで、つぎは上院の承認を求めることになる。
  2. リチャードソンはエネルギー省との協同事業である海軍原子炉部門 Naval Reactors(NR)に2012年11月異動となり、8年間の任期を全うすると見られれていた。通常の人事異動が2年から3年であるが、高度の技術内容である事業のため任期が長くなっている。
  3. 原子炉部門出身者が海軍トップに就任する初の事例となる。
  4. 「ジョン・リチャードソン大将は正しい選択だ。果敢に決断するずば抜けたリーダーであり、海軍の多くの厳しい課題で頼りになる人物となっており、オハイオ級後継弾道ミサイル潜水艦問題から内部統制・倫理問題まで幅広く扱ってきた」とカーター長官は評した。「重宝がられる人物でエネルギー省長官から引き抜くのに苦労した」
  5. 現CNOのジョナサン・グリーナート大将も潜水艦部隊出身でオハイオ後継艦事業こそ海軍の最優先事項だと強調していた。同時に最大の予算規模にもなる。リチャードソンは同事業に詳しく優先順位を高くしたまま予算も全額確保するだろう。
  6. リチャードソンは海軍兵学校を1982年卒業し、物理学学士号を取得。USSパーチ Parche (SSN-683)、USSジョージ・C・マーシャル George C. Marshall (SSBN-654)とUSS ソルトレイクシティSalt Lake City (SSN-716)の各潜水艦に勤務した後USSホノルルHonolulu (SSN-718) 艦長として James Bond Stockdale Leadership Awardを受賞している。
  7. また大統領付き海軍補佐官、太平洋艦隊潜水艦部隊で艦長候補の訓練、米合同司令部で戦略政策部長を歴任している。

これに対してBreaking Defenseはやや辛い見方を示しています。この記事は国防長官による発表前に配信されています。


Worries Surface As Carter Picks Submariner As CNO; It’s All About Nuclear Reactors

By COLIN CLARK on May 13, 2015 at 1:11 PM

WASHINGTON: 次期海軍作戦部長に海軍原子炉部門長が抜擢されたことに人事発表前から疑問の声が上がっている。問題は本人の業績ではなく現時点の職責だ。
.
  1. ハイマン・リコーヴァー提督が海軍原子炉部門(NR)の長の任期を8年と定めた時は議会と海軍の圧力を遮断する意味があった。
  2. 「リチャードソンについて良いことしか思い浮かばないし、すばらしいCNOになるのは疑いがない。だが先例から上院がすんなりと承認するとは思えない」とある議会スタッフは言う。
  3. 海軍原子炉部長のポストはこう理解されている。重要な職責に8年間も使える。任期中に異動や圧力を心配しなくても良い。裁量権が広く、退任までそのまま。
  4. もうひとりの議員スタッフは先例よりもリチャードソンが水上艦艇や航空部門で経験が乏しいのを気にしている。「CNOとは水中部隊のためだけではない」と本人の指揮経験が潜水艦関連であることに言及している。また海軍内部の各組織からも潜水艦を優遇していないか疑念がかけるはずである。ただ本人が大統領付き補佐官を務めた事実も注目すべきだ。
  5. 海軍にとって最重要議員と言って良いランディ・フォーブス下院議員は声明を発表し、同大将に海軍全般に目を配るよう求めている。
  6. 「リチャードソン大将はこれまで潜水艦部門で抜きんでたリーダーシップを発揮しており、就任は確実と見ているが、新ポストではより広い視野で海軍兵力全体を把握するよう、また水上艦艇の戦力強化に励むとともに海軍航空戦力の方向性を示してもらいたい」
  7. カーター長官はオハイオ級原子力潜水艦の後継艦選定は重要な課題であり、抜群の信用力で強力な推進役が必要だと決めたのかもしれない。SSBN-Xオハイオ後継艦事業(ORP)の単艦費用は49億ドルと最新結果は伝えているがコスト上昇は必至だろう。
  8. リチャードソンはオハイオ後継艦についてこう発言している。「6台のバスが編隊を組んで同じ間隔を明けて高速道路を走行するのと同じで走っている間に6台に同時にペンキを塗るようなものだ」
  9. For a glimpse at Richardson the commander, here’s what Sydney wrote when Richardson took the Nuclear Reactors job, which he was to hold until 2020:
  10. リチャードソンの指揮官の資質については原子炉業務に異動になった際にこう評されている。
  11. リチャードソンはリコーヴァーと同様にまた現NR責任者カークランド・ドナルド大将と同様に潜水艦で経歴を築いてきた人物だが、普通控えめな潜水艦乗りとは一線を画し、ブログを書き、兵学校のカンニング騒動、アブグレイブ刑務所での拷問スキャンダルやプラトンの国家論まで幅広い話題を取り上げている。
  12. 上院での任命承認手続きでは上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン議員(海軍航空士官出身で長く続く海軍軍人の家系)が本人の人格及び職務上の資質を厳しく見ると予想する。マケインがリチャードソンを疑わしく思うだろうか、あるいは神聖なる海軍原子炉での職務またはその両方で疑義を上げるだろうか。まだ予測がつかない。■

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