The Air Force retired its F-117 Nighthawks, but they are still mysteriously flying over Nevada — and may be the key to the US' next-generation aircraft F-117ナイトホークは米空軍で退役したはずなのに今も秘密のうちに飛行している。次世代機開発のカギになっているのか
David Cenciotti,
- 2008年に第一線を退いたF-117ナイトホークステルス機がまだ飛行しているのは謎だ
- 旧式ステルス機の同機は各種テスト開発用途に投じられているのだろう
- 新型レーダーあるいは赤外線捜索追尾装置の開発の他、新型SAM装備、新型RAM機体塗装、さらに第六世代戦闘機あるいは新世代のAEW機材開発が関係しているのだろう
ここ数年にわたりF-117ナイトホークジェット機がネヴァダ上空を飛行しているとお伝えしてきた。同機は公式には2008年に退役になったがミッションは続いている。
2014年に入り映像画像がオンライン上に出回り、米空軍も同機が「タイプ1000」保存機としてトノパ・テスト施設(TTR)に保管されている事実を認めた。この分類は実戦に呼び戻されるまで保守管理の対象となる機材のことだ。米国は同機は現在の想定でも十分使い勝手があると見ており、その後も飛行ミッションに投入しているのだろう。ミッションのねらいは乗員(複数筋によれば米空軍隊員ではなくロッキード・マーティン社員だという)の習熟度維持と機体の飛行可能性の維持にあるといわれる。ネヴァダ砂漠の環境はステルス機の維持管理に理想的とされ乾燥気候のため機体腐食の可能性が低い。このためTTRを舞台に同機が活動をしているのだろう。
だがこれで謎がすべて解けたとはいいがたい。
2016年7月に本誌は二機のF-117が編隊飛行する画像を公開した。撮影箇所は距離の離れた丘陵地でトノパ演習場の端だった。画像分析した読者はさらに二機のF-117が滑走路にあり、うち一機は通信アンテナらしきものを機体上部に立てているのがわかったはずだ。もう一機のナイトホークにはそのようなアンテナはなかった。新型アンテナなのか。何のためなのか。遠隔操縦F-117なのか。如何せん画像の解像度が低くなんとも断言できなかった。
昨年米空軍から発表があり同型機は完全に廃止するとあった。「2017年国家防衛予算認可法に準拠し、空軍は毎年四機のF-117を廃棄し最終的に全機を処分する」とオリアナ・ポーリクが昨年伝えており、今年は一機、その後は毎年四機のF-117が姿を消すとあった。
2017年11月13日、F-117の一機がトレーラーに乗り高速95号線を移動する様子が目撃された。場所はクリーチAFB(ネヴァダ南部)だった。この目撃は2017年末までに一機のF-117を処分するとの発表と符合していた。2018年からは毎年4機を処分するという内容だ。言い換えればトレーラーに乗せられていた機材は飛行機の墓場への移送途中だったのだろう。だが翌日の11月14日に、別のF-117がネヴァダ州レイチェル北方で目視され、チェイス機はグルームレイク所属の複座型F-16だった(おそらく同機はその後スターウォーズキャニオンを飛行したのと同じ機体だろう)。
一気に2018年7月26日に話を飛ばす。Youtubeユーザーの"pdgls"がF-117二機がまたもやトノパ試射場上空を飛ぶ映像を投稿した。
映像ではF-117二機がナイト(NightまたはKnight--第9戦闘機隊コールサイン)17、19として離陸している。試射場上空でブラックジェットの特徴がよく見える。
ただし交信記録に興味をそそられる。
以前の目撃事例と違い、今回は視覚聴覚の両面から興味深い詳細情報が見られる。離陸後のF-1172機編隊はシエラ98と呼ばれるKC-135給油機(フェアチャイルド空軍基地所属)から給油を受けている。F-117がストラトタンカーから給油を受けるのは通常ではない。その後編隊を説いている。ナイト17はテストミッションへナイト19はトノパ試射場へ戻っている。注意したいのは17が途中でコールサインを変更してダガー17になっている。ダガーはステルス機部隊で知名度の高いコールサインだ。410試験飛行隊が使っており、ロッキードと空軍がグルームレイクで使うコールサインだ。
The War Zoneのタイラー・ロゴウェイも同時に指摘している。
「コールサイン変更の前にブルーバード、ブロンドガールの名前が呼ばれており、なんらかの管制部隊の名称なのだろう。その後F-117が『ラムロッド』RAMRODとチェックのあとテストを開始している。ラムロッドがF-117に『スピン』開始を告げており、通常は飛行経路パターンの開始を意味するが、このバイアは暗号付きのテストカードの実施の指示が聞こえる」
ラムロッドというのは何らかのセンサー装備のことだろう。可能性が高いのはDYCOMSレーダー断面積測定施設のことでエリア51にあり飛行中の機体のレーダー特性を各種角度で測定する地上センサーのことだ。また別の可能性としてラムロッドが飛行中に同様の特性測定を行う機材なのかもしれない」
ダガー/ナイト17が何らかの地上レーダー関連施設と共同作業している間にナイト19は別の任務として低空接近を繰り返しILSローカライザーアプローチで探知アンドゴー他を実施している。通常任務につかない機材がよく行う一連のパターンだ。
ADS-B記録からはKC-135ストラトタンカーの支援内容の中身がわかる。同機#58-0086は前日(7月25日)もEAAエアヴェンチャー・オシュコシュで飛行しており、ワシントン州フェアチャイルドAFBを出発し6時間超のミッションに投入されている。同時間帯にシエラ98が別の機材にも給油しているかは不明だ。保存中の機材二機には通常ミッションとはいえ相当の支援であったことは間違いない。
ナイト17,18を支援したKC-135はGPS位置情報を発せずMLATによる表示に出てこない。トランスポンダーから判明したのは機体番号58-0086のみだ。@CivMilAir
言うまでもなくF-117のフライトは謎のままだ。ナイト19が基本パターンの飛行をしていることから機体の飛行状態の維持が目的なのだろう。一方ナイト17は複雑な飛行を始めるに当たりコールサインをダガー17に変更していることからブラックジェットで何らかの別の作業が進行中のようだ。The Aviationistで度々お伝えしているようにレーダー探知されにくい機体としては「レガシー」といわれるF-117だが今でも各種テスト開発業務に投入できるのだ。新型レーダー、赤外線探知追尾装備、新型SAM地対空ミサイル、新世代AEW早期警戒機の開発等だ。ステルスUCAVの研究支援も可能性があり、以前指摘があったように一部機材が無人機に改造されているのかもしれない。さらにナイトホークがアグレッサーとして実際の演習やシミュレーションに投入されている可能性も排除できない。これがレッドフラッグと関連しているかはわからないが大規模LVC(ライブ仮想構造)のシナリオでは実機を仮想機材と一緒に運用する。
読者の皆さんはどう思われるだろうか。■
F-117Aは米空軍で最も息の長いステルス機であり、その被探知特性などについて十分な蓄積があるので、かかる性能に関わる新技術等のテストベッドとしては適しているのだという指摘に賛同します。
返信削除同じ理由で航空自衛隊がなぜX-2を廃棄するとしたのか理解に苦しみます。
被探知性が謳い文句通りなら自衛隊早期警戒システムの仮想敵としてもうってつけの筈で、同じ仕事はF-35Aでも可能とはいえF-35には戦闘機としての仕事があります。
ただでさえ戦闘機の数が不足しているなかで、X-2のような機材はまだまだ働ける機材だったと思うのですが、実験プログラムが完了したら即廃棄というのは、それほどまでに維持費が高いのでしょうか。
いずれにせよこうしたステルス機材を様々な実験や試験のために投入できる(F-117Aの運用目的が実験や試験ならば、ですが)のはうらやましい限りです。
X-2は実験機ですから飛行寿命が短い可能性があります。
削除実験終了時には寿命が到来したのではとの声が散見されました。
またX-2の部品は一点ものの可能性が高く、量産されたF-117と比べるのは難しいように思います。