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トルコへF-35は引き渡さない、トランプの決定と米トルコ関係の今後

Trump Blocks Fighter Jet Transfer Amid Deepening U.S.-Turkey Rift 米トルコ関係が荒れる中、トランプがジェット戦闘機引き渡しをストップへ

The decision is a blow to Ankara but could also complicate matters for Washington. 今回の決定はトルコに打撃だが、米国にも事態の複雑化につながる可能性も

BY LARA SELIGMAN | AUGUST 13, 2018, 6:08 PM


U.S. President Donald Trump speaks with Alan B. Norman, director and chief test pilot, and Marillyn A. Hewson, the chairman, president, and chief executive officer of Lockheed Martin, next to an F-35 at the White House on July 23. (Photo by Brendan Smialowski / AFP)
7月23日、ホワイトハウスへ持ち込まれたF-35の横でロッキード・マーティン会長兼社長兼CEOマリリン・ヒューソン、同社主任テストパイロット・アラン・B・ノーマンと話すドナルド・トランプ大統領(Photo by Brendan Smialowski / AFP)

ナルド・トランプ大統領が署名した国防政策法案ではトルコ向けのF-35計100機引き渡しを凍結する内容が含まれ、トルコでの米人宣教師拘束をめぐり悪化した両国の関係を反映したものになっている。


今回の決定はトルコ政府にさらに手痛い結果になる。トルコはトルコ産アルミ・鉄鋼製品に対する関税二倍増というトランプ決定で打撃を受けていた。トルコは今後10年かけて同型機導入を計画し、世界三位のF-35運用国になるはずだった。


ただし今回の措置で米国にも問題が複雑になる。同機の主要部品でトルコ企業も参画しており、国防総省推定ではトルコ企業を締め出し新たに信頼に足る部品メーカーを探すのに二年かかるとする。一方でF-35のエンジン補修作業のヨーロッパでのハブはトルコ北部のエスキシェヒルEskisehirだ。


トルコは米宣教師アンドリュー・ブランソンを約二年前から投獄している。軍事クーデターが失敗した後の大規模検挙の一環だった。トルコ政府はブランソン(トルコ在住20年間)はクーデター実行犯とつながりがあると主張。


トランプ政権は交渉で緊張緩和とブランソン解放を働きかけると見られる。だが交渉は先月物別れに終わったという。


トランプ自身は米トルコ関係醸成に配慮してきたが、裏切られたと感じ報復を目指しているとアナリスト陣は見る。


「トランプはトルコとの関係改善を目指して自身も相当力を注いでいた」とアトランティックカウンシルでトルコ情勢に詳しいアーロン・スタインは解説する。「だが今はトルコ側が合意を破ったと感じ、米国は最後通牒を出さんばかりの姿勢だ」


在ワシントン・トルコ大使館は今回の決定への言及を避けているが、トルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンはニューヨーク・タイムズへ寄稿しトランプによるトルコへの懲罰的行動は最終的に米国で逆作用を生むと警告。


「世界に悪がはびこる今、トルコへの一方的措置を米国が取れば両国間の長年に渡る同盟関係は逆に米国の利権と安全に悪影響を与えかねない」「一方的措置の流れを食い止め相互尊重を取り戻すことため我が国は別の友邦国同盟国を模索せざるを得ない」


これまでのところトルコ側に悪影響が出ている。トランプによる貿易課徴金値上げはトルコ製アルミ・鉄鋼製品を狙い、トランプはツイッターでこの措置を発表し、結果としてトルコ製品は米国内市場で姿を消し、トルコ・リラは先週金曜日に新たな底値をつけた。「この段階で事態がこうなったのは望ましくないが、大統領に別の選択肢がない」とリンゼー・グラム上院議員はツイッター投稿している。
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だがジェイムズ・マティス国防長官含め米政府高官にはトルコをF-35事業から締め出す措置に警句を示している。
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トルコは地政学上も重要なパートナーでありNATOの屋台骨でもある。さらに南部のインジルリク航空基地がイスラム国作戦含む中東方面への主要拠点だ。また米B61核爆弾の集積地としてヨーロッパでの核抑止力の重要要素だ。トルコはシリア再建でも西側の重要なパートナーであり、ロシアやイランが内戦で分断された同国を狙う中で無視できない存在だ。


F-35のトルコ向け販売が特に物議の的であるのは同国が高性能ロシア製S-400対空ミサイルの導入も目指しているためだ。関係者によればS-400をF-35やNATO防空網に組み入れると厳重に守ってきた米はじめ同盟側の軍事機密が漏れる可能性があるという。


「残念ながら今は両国指導者のエゴが前面に出ており、それだけ状況の修復が難しくなっています」とレキシントン研究所アナリストのローレン・トンプソンが説明する。同研究書はシンクタンクとしてロッキード・マーティンはじめ国防産業企業から資金提供を受けている。
トランプの署名で成立した法案には7,170億ドルで国防政策を実現する内容が盛り込まれトルコには抽象的だが、今後の議会審議で具体的内容が追加される可能性がある。


法案でトルコ向けF-35売却の凍結はペンタゴンが影響評価報告書を提出するまでとあり、とくにインジルリク航空基地での米軍作戦を意識しつつ米トルコ関係を全般的に俯瞰している。議会にはペンタゴンに対してトルコのS-400装備購入を再考させるよう求める動きもある。


国防歳出法原案の追加条項では戦闘機売却関連の予算措置を禁じており、原案は今後数週間以内に上程されるとみられる。


コメント:トルコがどこに向かうのか予断を許さない状況ですが、米国としてもみすみすロシアやイランに有利な状況を作りたくないはず。今回のF-35引き渡し拒否も永続的な措置ではなく、あくまでも条件つきですが、もともとトルコは最初からF-35共同開発国であり、ここにきて同国が排除されれば事業全体の進捗が狂いますから、水面下で両国は関係修復を図り、シンボルとしてF-35はトルコに引き渡されると見ています。ただしS-400は厄介な存在ですね。トルコが本当に同ミサイルを導入してもネットワーク接続を許されないのであれば意味がありませんし、サンプルを米国が入手して技術調査をするのでは。あくまでも推測ですが。

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