これまでもドイツ軍(連邦軍)の装備供用状況におそまつな点があることをお伝えしてきましたが、軍を巡る根本的な社会の問題があるようです。ヨーロッパ有数の大国となったドイツの国防体制がこれでいいのでしょうか。
Germany's military has a manpower problem, and its solution may be foreigners and teenagers ドイツ軍の人員問題解決策は外国人、未成年の採用だ
- ドイツ軍が装備と人員確保で長年苦しんでいる
- 人員確保では若年層の採用も含め対策を検討中
- 18歳未満隊員には制約もあるが国防軍は人員確保に走る
ドイツ連邦軍が組織面、技術面で苦しんでいる。装備が十分確保できない、国防予算を巡る論争、さらに隊員の欠員がある。
特に人員不足が連邦軍につきまっており、冷戦終結後に規模縮小し徴兵制も2011年になくなったが歯止めがかからない。
1960年台中頃に585千名まで増えたドイツ軍は2018年の現在179千名を下回る規模に減った。2017年には欠員が21千名あり、現在の隊員も半数が2030年までに退官する。
2016年にウルスラ・フォン・デアレイエン国防相が連邦軍は「縮小傾向がずっと続く状態からの脱却」が必要と発言している。ドイツでは女性は2000年まで入隊を許されていなかった。
デアレイエン大臣は現在185千名の上限を7年かけて14,300名増員すると述べ、2017年に20千名増員へ変更された。
この方法は政府与党には概ね賛同されているものの資格要件は無視できない。国防専門家や政治筋には外国人が入隊すれば市民権を与えることになり、あげくのはてには「傭兵部隊」化するとの懸念もある。
もう一つ実施が始まっているのが18歳未満の青少年の勧誘だ。このため国防軍はメディア宣伝に熱心だ。
ドイツ軍の公式YouTubeチャンネルは購読者300千名を確保し、投稿映像は150百万ビューを数える。
国防軍専門チャンネルには6週間にわたる「Mali」のコンテンツもあり、国連平和維持活動で西アフリカに駐留したドイツ軍隊員を描いている。
ドイツ軍はフェイスブック、インスタグラム、スナップチャット他ソーシャルメディアも活用している。入隊勧誘関連の支出実績は2017年は40百万ドルと、2011年から倍増している。
その2011年からドイツ軍は未成年隊員の入隊も始めているとロイターが伝えている。2017年には18歳未満隊員は2,128名で全体の9%を占めるまでになり、前年比11.4%増になった。
その一人マーロンは18歳の誕生日直前に陸軍に入隊した。「なにか経験したくて自分の限界も知りたかった」と述べている。
だが年齢のため本人は母親の同意が必要だったが、母親は喜んで許可した。ロイターに本人はかだらしなかった息子が今はしっかりとしたことに母親も喜んでいると語っている。
第二次大戦の敗戦と冷戦中に国土を分断されたドイツでは軍事問題はいまだに国民の神経にさわる話題である。軍そのものを否定する向きが多く、まして軍事支出を認めようともせず、海外での軍事行動には慎重だ。
連邦軍は今でもナチ国防軍の負債と戦っており、極右過激主義傾向を有する隊員が軍と社会の関係に悪影響を与えている。一部軍幹部は後ろめたさを感じないよう私服通勤するくらいだ。
ドイツ国民には脅威を感じていない向きもあり国防問題となると意見がまとまらない。
だがこうした態度は若年層で変化している。
学生2万名への調査では軍での勤務は三番目に人気のある職業とわかった。(一位はアディダス、二番目は警察) 先程のマーロンは自動車工場より軍勤務が魅力的とロイターに語っていた。
だが未成年勧誘は議論を呼んでいる。
一部政治家や青少年の権利擁護派の批判は誤った政策であり悪しき伝統を残すという。
入隊勧誘数が記録的規模になったことからフォン・デアレイエン大臣は「良心のとがめは消えた」と見ていると非戦主義の左翼党エヴリム・ソマーは述べる。「成年になろうという若者を大砲の係に使うべきではない。未成年を軍務につかせるのであればドイツは他国を批判できる立場でなくなる」
未成年者の権利擁護団体のラルフ・ウィリンガーは青少年勧誘は「困った問題であり誤った印象を与える」とロイターに以下語っている。
「国際的な18歳の基準を下げることになり、他国も未成年入隊を認めることになる」というのだ。
ドイツ軍関係者は隊員勧誘は国際基準に則っており民間部門の採用活動と競いながら人員を確保する必要があると強調。
ドイツ軍では未成年者で許される業務の基準がある。教練は成年隊員と同じでも歩哨に立つ、海外派遣等は認められないし、兵器使用が許されるのは教育的意義がある場合のみだ。
国防省は青少年の場合は入隊後半年でいつでも除隊できるとも説明する。
ただしこうした規制があっても青少年対象の教練の根本的内容は変わらないと見る向きもある。
「これはまともな職業ではないですよ」と語るイルカ・ホフマンはGEW組合(教育・社会福祉労働者組合)は語る。「人の殺し方を学ぶ職業なんて他にありませんし、有事に死ぬ危険に直面する職業もこれだけです。大きな違いですよね」■
意見は多様であっていいのですが、民主社会には選択が必要です。その手段が選挙であり、健全な主張をする政党が勝利しなければいけません。皆さんもお感じと思いますがドイツの望ましくない世論は日本の状況にも似通うところがありますね。ただしドイツの左翼は一応論理がしっかりしている感じはするのですが。同じような日陰者のそしりをうけながら、数々の災害出動やPKOで着実に国民の支持を広げてきた自衛隊と何か根本的に違う感じがしませんか。
ドイツには二重の防壁(ポーランドとウクライナ)があるからなぁ・・・・・・
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