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★中国潜水艦隊を探知攻撃する高性能P-1は日本でしか運用できない機体なのか



なぜP-1はここまで一回も海外商戦に勝てないのでしょうか。性能があまりにも玄人むきなのでしょうか。


China Will Soon Have the World's Largest Submarine Force. And Japan Has a Plan to Stop Them in a War. 中国は世界最大の潜水艦部隊をまもなく完成するが日本は有事の対応策を確保しているAnd this plane is a big part of that plan. この機体がカギを握る

August 13, 2018  by Sebastien Roblin

本は潜水艦による経済破壊を経験した世界唯一の国だろう。世界大戦二回で潜水艦を動員し英国の補給線を大西洋で切断しようとしたドイツのほうが知名度が高いが、Uボートは最終的に連合軍の対潜戦の前に破れた。これに対して第二次大戦時では連合軍の潜水艦が日本商船隊の55%を沈めて日本帝国の伸び切った西太平洋内の補給線が寸断された。
この戦訓が自衛隊に残る中、中国人民解放軍海軍の潜水艦部隊が急速に拡充されており、作戦用艦船70隻を有する世界最大の潜水艦保有国になるのも時間の問題だ。大部分は短距離用ディーゼル艦やAIP動力艦だといっても日本に慰めにはならない。日本が各艦の有効半径に入り日本経済が海上交通路の確保に依存しているためだ。
対潜戦(ASW)では大型哨戒機材が鍵となり、日本はこれまで米製四発機のP-3Cオライオンを運用してきた。同機は長時間の海上哨戒飛行が可能で日本周囲で潜水艦含む各種艦船を追尾してきた。オライオンの稼働期間の終わりに近づく中、日米がジェット推進式の後継機をそれぞれ開発した。
この内米国のP-8ポセイドンはボーイング737-800旅客機を原型としつつ高高度哨戒飛行に特化させたが、川崎重工製P-1は2007年初飛行で完全な新型機で低空及び高高度哨戒を任務とする。P-1は双発C-2と並行開発され部品は重量比で25%を共通化している。
搭載するF7-10ターボファンエンジン四発で長時間哨戒飛行でも冗長性が生まれ、P-3Cのターボプロップより騒音が10デシベル低くく音響上のステルスにつながる。P-1は最大飛行距離が5千マイル・最高時速621マイルで対象地点までP-3より30%早く到達できる。その後は双発低速飛行に切り替え燃料を節約できる。
パイロット二名、ミッション専門員9名で任務を実施する。P-1は光ファイバーによるフライ・バイ・ワイヤ(フライバイライト)を初めて実用化した機体で信頼性に優れ搭載センサーからの電磁干渉に強い。
搭載する各種センサーのうちHPS-106アクティブ電子スキャンレーダー4基が特に重要で機体周囲360度が監視可能だ。海面をスキャンし艦船を探知し、潜水艦のスノーケルやセンサーマストも探知できる。一方で対空探知モードにすれば即席AWACS機にもなる。次に電磁センサーアンテナがコックピット上部にあり、情報収集や敵のセンサー・通信活動を監視できる。HAQ-2赤外線電子光学センサーのタレットが機体下部にあり艦船探知に使う。
仕上げがHQA-7音響処理装置で潜水艦のディーゼル音を聞きとり、さらにカナダ製ASQ-508(V)磁気異常探知機を尾部に装着し、潜水艦が生む磁気特性を低空飛行で探知する。
ただし潜水艦探知の基本手段は投下式ソナーブイでP-1は37本を投下装置に搭載し、これ以外に70本が機内にある。各種センサーのデータはHYQ-3戦闘指揮装置に統合され人工知能で潜水艦の動きを予測する。HYQ-3はSH-60K対潜ヘリなどその他対潜機材と情報を共有し、海軍データベースや衛星偵察データベースで敵の正体を判別する。P-1にはLink-16データリンクもありF-15JやE-767AWACS、イージス艦と情報を共有できる。
P-1が敵対空ミサイル発射の標的になった場合はHLQ-9ミサイル警報装置、電子対抗手段、チャフ・フレア発射機で敵攻撃を探知し無効にする。
同機は20千ポンドの兵装を合計16箇所のハードポイントに搭載し、コックピット後方の兵装庫が8箇所、主翼下が8箇所だ。マーク46または日本製軽量対潜魚雷、ハープーン、91式ASM-1C超低空亜音速対艦巡航ミサイル、AGM-65マーヴェリック精密誘導ミサイルを搭載する。
2018年現在はP-1は15機が海上自衛隊の第三対潜哨戒飛行隊で厚木基地、VX-51試験飛行隊で稼働中で、さらに20機超を発注している。運用実績はほとんど非公開だが、Aviation Weekに「P-3より長距離で中高度、低高度で潜水艦探知を普通に行っている」と関係者が述べている。
日本は最終的に60機ないし70機のP-1を導入しP-3C全機と交代させる。またP-1は10年ごとにセンサー類を性能向上させ、その他P-3をもとにしたEP-3C情報収集機(5機)、OP-3C光学偵察機(4機)、UP-3C・UP-3D試験・訓練機(4機)と交代する専用機材もP-1原型で調達するのではないか。
日本は2014年に防衛装備輸出ルールを緩和し、P-1の対外営業を始めた。ただしニュージーランド、英国でポセイドンに敗れている。P-1の機体価格は125-150百万ドルだが調達価格は250百万ドルだ。それでもタイ、ヴィエトナムが関心を示しており、日本はフランス、ドイツにもアトランティック哨戒機の後継機種としてP-1を提示している。ただし米軍事調達ネットワークの強みと737部品の入手が容易な中でP-1には分が悪い。
とはいえP-1にはP-8より優れる点があり、低高度飛行性能で優れ、移動中の最大速度が高いこと、ハードポイントが多い(P-8は11点)、四発エンジンならではの柔軟性、MADセンサー搭載(P-8ではインド海軍用P-8I除きすべて非搭載)がある。両機種の搭載するセンサー類の直接比較は実際の運用実績を見ないと困難だ。その稀な機会が2018年6月のマラバール対潜戦演習で日本のP-1が米、インド両国のP-8と参加した。
高性能対潜哨戒機が海外に販路を開けるかは別として日本はP-1とそうりゅう級大気非依存型推進式潜水艦で中国の増え続ける潜水艦部隊の脅威から防衛が可能と見ている。
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
Image: Creative Commons.
ここまで高性能のP-1が海外受注できないのは機体価格だけが原因ではないでしょう。日本の求める性能が高すぎるのであれば一部国には装備を省略した派生型を提示してもいいのでは。また装備売り込みを総合商社に任せてはいかがでしょうか。経済的動機がうまくはたらくといいのですが。MADをP-8が搭載しなくなったのは探知方法としてはもはや必要ないという米海軍の判断なのでしょうか。

コメント

  1. 引用文中に360度監視が可能とありますが、これはよくある勘違いで実際は前と横のみ見えるという事のようです。

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  2. 色々間違ってますね。
    大径ターボファンは停止させると抵抗が大きいので燃費向上に繋がらず無意味なので2発飛行はやらないし、レーダーも当初の噂とは違い後方象限は無しの3面です。
    それとMADは低空でないと意味が無いので低空哨戒しない(出来ない?)P-8には無意味な装備なのでしょう。
    P-8の場合は必要性から機能が決定されたのではなく、B737の基本性能の上で可能な機能を取り入れたので哨戒機としては不合理な部分が大きく対潜機材として最適とは言い難いと感じます。

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