これまで何度もお伝えしているように強力な国防力の源泉は経済力です。ロシアはもともと経済力が劣りこれからも先行きが不安です。これに対して中国はどうか。このため現在は中国経済への風当たりが強くなっているのでしょう。もちろんグローバル化で中国を弱体化させれば西側にも影響は必至ですが、それも覚悟の上なのでしょう。
Russia's weakened military now surpassed by China's — and it leaves a trail of paper tigers ロシア軍事力の衰退、中国に追い抜かれたロシアは張子の虎なのか
- ロシアは軍事大国として君臨しサイバー、電子戦、核非核戦力で脅威ではあるものの今や最強の立場ではない。
- 米国防文書は中国を主要脅威ととらえるのには十分は理由がある。
- 中国は真の意味で革新的な兵器装備を整備し大量生産に必要な経済力を有している。
- ロシアも強力な兵器コンセプトを生み出したものの経済不振で生産に移せない状況だ。
ロシアはソ連時代を含め常に巨大な軍事力を保持し第二次大戦後は米国の主要対抗国になったが国民の福祉より核兵器含む装備整備を優先させたものの結局米国を凌駕することはなかった。
ロシアはサイバー戦能力、通常戦兵力、恐るべき核兵器、電子戦で世界有数の水準を整備しつつある。
とはいえ米国の最大の軍事脅威はロシアだと言い切る向きは皆無だ。それは中国だからだ。
ドナルド・トランプ大統領の下で米国は国家安全保障を新規制定したが中国とロシアを主要脅威とし、テロ活動や気候変動より上位に掲げている。中国を先に記述し、随所にその名前が出ている。
ロシア衰退の原因は経済不況だ。
ロシアの脅威は数量に頼るものだ。ロシアが2014年に不法にもクリミア半島を併合したが、周辺国に対する横暴な動きは長きにわたっている。
ロシアが新型核兵器で米ミサイル防衛をかいくぐる策に出ている、というが新しい技術進歩ではない。米国では1970年代のミニットマンIII核ミサイルで同様にロシア防衛網を回避する能力を実現していた。
東欧周辺に配備中のロシア装備はNATOを凌駕する有効距離があるが、通常戦ではロシアは苦戦に追いやられそうでウラジミール・プーチン大統領の選択はハイブリッド戦であり、他国の情報網に入り込み陰謀を進める外交努力にある。
ではロシア軍事装備に真の意味で技術革新が見られるのだろうか。ロシアはSu-57を登場させ、米F-35やF-22に対抗するステルス戦闘機とされるが、資金不足で12機しか発注できていない。同様にT-14アルマータ戦車はNATO戦車を撃破すると豪語したものの本格生産に入っていない。
T-14、Su-57ともに原油価格が下がり、米国による制裁措置が重なり経済不振が続くため犠牲になっていると言える。
中国はロシア製装備を購入あるいはリバースエンジニアリングし自国軍事力整備の基礎を作ったが今やハイエンド戦分野ではロシアをしのぐ存在だ
米国の独壇場だったステルス戦闘機に初めて挑戦した他国はロシアではなく中国の成都J-20だった。またソフトウェアやコンピュータ分野でも急進展を示しており、量子コンピュータ、人口知能がその一例だ。
プーチンがクリミヤ併合でロシアの地図を塗り替えたように北京は南シナ海で軍事拠点を整備し一層強固な主張を繰り広げている。
中国は新型ミサイルも整備し米海軍の負担を強めようとしている。中国はソ連時代の空母を導入し訓練艦としたが、三隻以上の空母を建造し兵力投射能力を実現しようとしている。半面でロシアは一隻しかない空母もタグボートの力を借りないと航行できず2022年まで使えない状況だ。中国はみかけだけだが米国との技術競争に打ち勝つ印象を与えている。
ロシアではなく中国が米軍の標的だ。人口でロシアの10倍の規模で米国から世界一位の経済規模を奪おうという中国に対してロシアの軍事力が話題になることは少ない。
ロシアは西側民主体制のゆさぶりとともに衛星国家群への働きかけをつよめるだろうが、半面で中国は米国と対等に対抗できる軍事力を全方位で整備しようとしているのだ。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。