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アフガニスタンの米軍作戦を一括民営化する構想をひっさげ大統領へトップセールスを狙うプリンス

究極の民営化とも言える構想ですが一国内の米軍作戦全部を肩代わりしつつ大幅なコスパ改善をうたう提案ならトランプ大統領も思わず乗ってしまいそうですね。官僚が必死にそれを食い止めるので実現はしないでしょうが、小国が相手なら防衛活動を引き受ける企業が出てこないとも限りません。米軍向けの請負事業は細分化されていますが知見を有する企業が合併すれば総合軍事請負会社が生まれてもおかしくないでしょう。

 

Blackwater founder Erik Prince is pushing to privatize America's costly war in Afghanistan — and going on cable TV to persuade Trump ブラックウォーター創設者エリック・プリンスがアフガニスタン戦の民営化で経費節減を提案中、トランプ大統領説得に


Plainclothes contractors working for Blackwater USA take part in a firefight平服のブラックウォーターUSA社員が射撃戦に加わる Gervasio Sanchez/AP
  • 物議を醸し出した企業ブラックウォーター創設者のエリック・プリンスがドナルド・トランプ大統領を説得しアフガニスタンの米軍作戦を民営化しようとしている
  • プリンス提案はジム・マティス国防長官はじめ政府上層部に昨年に斥けられたが、再提案して聞かせる相手を検討中
  • プリンスによればアフガニスタン情勢の解決には数千名程度と35億ドルあれば十分という



ラックウォーター創設者にして富豪のエリック・プリンスにはアフガニスタンにおける米国の戦争の終結に展望を持つ。元海軍SEALでビジネスマンの彼によれば米国は同地で17年間も戦闘しているが終結のめどがいまだにないという。
ブラックウォーターはイラクでの契約事業で当局の捜査を受け活動を終了させたが、プリンスは新規企業を立ち上げ、現在は中国の保安部隊要員を訓練している。今度はペンタゴンの意見に反抗しアフガニスタン戦民営化を大統領に提案する。
米国は2001年から2017年にかけ7,140億ドルもの戦費を同地に投入しながら勝利をつかめていないとTask & Purposeが昨年伝えている。プリンスの狙いは民営化で同国内配備の米国人員を減らし最終的に支出そのものも減らすことだ。
プリンス構想は軍の兵士の代わりに民間軍事事業者を配備し大統領直属の特別代理の命令下で働かせるというもの。
「現在米軍隊員15千名および民間事業者30千名が同国に展開していますが、私の案では特殊部隊2千名と事業者6千名で十分です。ここまで絞れば人員と予算の大幅削減でしょう」とプリンスはMSNBCのホスト、アンドレア・ミッチエルに17日語り、さらに実施規模は35億ドル程度と昨年の実績額数百億ドルを遥かに下回ると述べていた。
プリンスは長期戦になったアフガニスタン戦を公然と非難して、米国は9/11直後の戦略に立ち戻る必要があると主張してきた。「9/11後にCIA要員若干と少数の特殊部隊と一部航空支援だけでうまく機能していた。それだけでタリバンを数週間のうちに追いやっていた」と述べ、その後の米戦略が凡庸であり失敗に終わったソ連戦略に似通っていたと非難。
「その後は負け戦ばかりだ」とし、小規模ながら前例にとらわれない作戦の必要をプリンスは主張。タリバンが先週はアフガニスタン各地で襲撃事件を起こしていることをとりあげ、米国には新しい戦術でアフガン軍をもり立てることが必要と力説した。
構想の売り込みは容易ではない。受け入れればトランプ大統領はマティス国防長官を飛び越すことになる。「決定を戦闘の観点だけでペンタゴンに任せれば戦争は永遠に続くことになりますよ」とプリンスは述べ、NBCに今度大統領に説明に行くと明かした。
プリンスは昨年8月からアフガン戦の民営化構想を提唱している。マティス長官は「おとなしく聞いていた」が結局提案を斥けた。そこで今回はもっと大々的にメディアを巻き込み大統領への直接売り込みを図る。プリンスによれば大統領自身もアフガニスタン戦の現場に不満を感じているという。
「大統領が不満感を持っていることは知っています」とプリンスは報道陣に語り、「ペンタゴンには欲しいものを与えたのに結果が出ていない」と説明している。
プリンスはアフガン戦民営化構想の再スタートにYouTubeを7月に利用した。
「エリック・プリンス提案などというものは検討対象ではない」と国家安全保障会議報道官がNBCに17日夜に語り、「大統領も国民多数と同じくアフガニスタンでより大きな進展が見られることを期待している。ただし、大統領は無分別にアフガニスタンから撤兵すれば同国がテロリストの聖地に戻り米国家安全保障や人命を危険にさらす事態になるとわかっている」
プリンスは以前にも英The Independent紙にマティス長官が「アフガニスタン問題の分析内容を認めたものの解決方法で意見が別れた」と述べている。マティス長官ならびにポンペイオ国務長官はアフガニスタンで進展が生まれているとの見解だ。
「こんなのはSoldier of Fortune 誌記事の発想だろう。実施すればあらゆる実務上の問題が生まれるし、法律・道徳・倫理上でも問題となる」と国防総省係官がThe Independent取材に7月に語っていた。
プリンスはトランプが新たに招いた上級役職者とくに国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンに提案を聞いてもらいたいと伝えられる。プリンスの売り込みが大統領まで届いているのか不明だが政府内にはトランプが提案に乗るのではとの懸念もある。

「大統領はアフガニスタン国内の武力衝突を政治的解決策で終了させたいと考えている」とホワイトハウス報道官サラ・サンダースは先週水曜日に発言。「今回も前に進むべく最善の道を模索していく」■

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