スキップしてメイン コンテンツに移動

2016年の北朝鮮経済動向が明らかになったが、国連制裁効果は僅少



去年までは中国の後ろ盾があり制裁効果がなかったことがわかります。今年の影響がどう出るかは来年の今ごろにはわかるでしょう。(それまで同国が存続していればですが)
North Korean leader Kim Jong Un gives field guidance to the newly built Ryugyong Kimchi Factory in this undated photo released by North Korea's Korean Central News Agency (KCNA)
稼働開始したリューギョン・キムチ工場を視察する金正恩。Korean Central News Agency / Reuters
North Korea 2016 Economic Growth at 17-Year High Despite Sanctions 北経済制裁の中、朝鮮の2016年は17年間で最大の経済成長を達成していた
   
BY: Reuters
July 21, 2017 2:13 pm
By Christine Kim and Jane Chung
SEOUL (Reuters) — 2016年の北朝鮮経済は17年間で最大の成長を実現したと韓国銀行(韓国の中央銀行)が7月21日発表した。核兵器開発を続ける同国は国際制裁を受けている。
  1. 国内総生産GDPは3.9パーセント増で干ばつと産品価格低迷に苦しんだ前年から大きく成長した。けん引役は鉱業とエネルギー部門で6.1パーセント増記録(1991年)を更新した。
  2. 輸出は4.6パーセント増で北朝鮮の最大貿易相手国は中国だ。
  3. ただし一人当たり国内総所得は150万ウォン(1,342米ドル)と韓国の5パーセント未満にすぎない。
  4. 北朝鮮は経済統計を公表していない。韓国銀行は統一院や国家情報院はじめ政府機関統計をもとに北朝鮮GDPデータの公表を1991年に開始している。同行の推計は国際機関や研究者が利用している。
  5. 北朝鮮はミサイル、核開発のため2006年から国連制裁の対象で、安全保障理事会は核実験5回、長距離ミサイル発射二回を見て制裁内容を強化してきた。
  6. 核・ミサイル開発事業が順調な経済成長の一因と韓国銀行は見る。ミサイル部品製造がGDP統計の一部だ。2016年の発電量も増えたがミサイル製造と関連は不明だ。
  7. 2月に中国が北朝鮮産石炭の輸入を停止し、北朝鮮向け石油輸出でも制限を課した。石炭は北朝鮮の重要輸出品。
  8. 米国は北朝鮮と取引中の中国企業・銀行に新たな制裁措置を検討中で国連安保理で一層厳しい制裁措置の支援をロシア、中国に求めている。
  9. 2016年の北朝鮮貿易では中国が92.5パーセントを占めた。この統計はKOTRA大韓貿易投資振興公社が21日に発表した。
  10. 今年の北朝鮮経済は中国が石炭輸入を全面禁止した影響が避けられないと韓国統一院は見ている。北朝鮮は迂回策を模索するだろうが、密輸は困難で移動はすぐ探知されると統一院は説明。
  11. 制裁効果が昨年出てこなかったのは韓国が米THAAD装備導入を決めたため中国が規制を緩めた効果が高いと韓国国際経済政策研究所の研究部門長Lim Soo-hoが説明している。「制裁拡大で今年は経済減速リスクが昨年より増えます。中国が燃料売却をさらに削減すると北朝鮮の重工業や製造部門は深刻な影響を受けます」
  12. 韓国銀行は中国の石炭受入停止と国際制裁強化で北朝鮮経済が今年どんな影響を受けるかについてはコメントを避けている。
  13. 北朝鮮のGDP(2016年)は32兆ウォン(2,850億米ドル)と韓国銀行はまとめており、韓国経済の1,508兆ウォン(1.34兆米ドル)の数パーセントの規模だ。
  14. 北朝鮮産業で鉱業、製造業が33.2パーセント(2016年)と大きな比重を占めている。
  15. 北朝鮮の輸出総額は韓国向け除き昨年は4.6パーセント増で28.2億米ドルになり、水産品が74パーセント増でけん引役になった。輸入総額は4.8パーセント増の37.3億ドルで生産財と繊維製品が中心だった。
  16. 南北間交易が昨年一気に87.7%の減少を見たのは南北共同工業団地の閉鎖が大きく、北の貿易量に変化がないことが統計からわかる。
  17. 開城工業団地閉鎖は北朝鮮が国連決議を無視し長距離ロケットを発射したのが理由だった。■

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...