海兵隊総監ロバート・B・ネラー大将(右)が3Dプリンターの作動状況を見ている。
中央軍任務地にて。 June 18, 2017. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Samantha K. Braun)
Marines Send 3D Printers to Combat Zone to Fix Gear Faster
米海兵隊が戦闘地帯に3Dプリンターを持ち込み装備修理を迅速に進めている
- 各国共同でイスラム国戦闘員集団と対決する戦闘も三年になり、最前線は厳しい環境に置かれている。イラク、アフガニスタンとはちがい大規模な前線基地や大部隊はともに姿が見当たらない。この環境で米海兵隊が3Dプリンターを現場に持ち込み、新技術で補給活動を加速化し故障した装備を早く現場に戻そうとしている。
- 「3Dプリンターを戦闘地帯で使うのは海兵隊が初めてでしょう」とハワード・マロット中佐が述べる。海兵隊で付加製造、3Dプリントの実施で先端を走る中佐がMilitary.com取材に答えている。「特殊部隊ではプリンターを使っていますが、扱ったのは技術専門職でした。海兵隊は海兵隊員がプリンターを使っており、運用しながら訓練も行っています」
- 海兵隊関係者はプリンター設置先や設置数については語ってくれないが、マロット中佐は卓上サイズのマシンが中東各地に配備されており、海兵隊危機対応タスクフォースが使っていると紹介してくれた。ただし戦線の背後地に配備しているという。各軍も3Dプリント技術の軍事応用を模索しているが、海兵隊が同技術導入に一番熱心で実戦部隊の一般隊員にまで使用させている。2016年9月の海兵隊内メッセージで各部隊指揮官には運用中装備の修理部品製造で3Dプリント技術利用が認められた。
- マロット中佐によればこれまで3-Dプリンター40台が導入されており、需要は伸びる一方で今年秋には60ないし70台に増えると見ている。
- 戦闘地帯でプリンターを使うことで重要部品を素早く製造し、本国の集積地あるいは遠隔地にある国防兵站庁の物資集積場からの配送を待たなくてもよくなったとマイケル・デイナ中将(海兵隊物資集積補給副司令官)は述べている。
- 「プラスチック部品を使う無線機が故障したとしましょう。今は部品をブリントして無線機に使い機能を復活させています」とデイナ中将はMilitary.comに語ってくれた。「欲しい時に欲しい部品を文字通り数時間で手に入るようになりました。最悪でも数日です。従来は本国に在庫を照会するだけ数日数週間かかり、もっと長い場合もありました。このため新技術には魅力があります」
- 無線装置以外に海兵隊は81mm迫撃砲用特殊レンチ、添木など医療部材もプリントしているとマロット中佐は紹介してくれた。さらに可能性が広がりつつある。
- 6月には専門誌Defense Systemsが海兵隊が3Dプリンター製造の4軸回転翼式ドローン「ニブラー」を戦闘に投入する準備中と伝えている。
- 「いつも海兵隊員から優れた発想が出てきます。いつも革新的です。いままでは現場で製造する能力がなかったのですがね」とマロット中佐は述べた。「今や3Dプリント技術で海兵隊が頭の中の革新性を具体化する手段が生まれたわけです」
- 他方で海兵隊は付加製造技術で遠隔地補給処に頼らずに戦闘を続けさせられないか模索している。
- 「付加製造、3Dプリント技術はサプライチェーン肥大化を防ぐ効果を生む可能性があります。現在のサプライチェーンでは工場依存になっていますが、工場の場所は遠隔地の米国本国であるのが普通なのです」(ディナ中将)■
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