スキップしてメイン コンテンツに移動

F-35機体価格が上昇中、総経費は170兆円超へ


F-35の数字ゲームはどんどん変化していきますが基本的にインフレを期待しているとしか思えない内容です。日本のように20年以上デフレでインフレ経済拡大の概念を忘れかけている国には数字がどんどん変わっていくのは脅威ですね。
Aerospace Daily & Defense Report

F-35 Costs Rise; U.S. Marines Sign Up For 13 More

F-35経費が上昇中の中、米海兵隊は13機追加調達へ

Jul 11, 2017Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report

Photo:F-35: U.S. Air Force
  1. ロッキード・マーティンF-35の調達総合経費が昨年比で7パーセント近く上昇している。主原因は米政府が同機調達のペースを落としていることだとペンタゴン最新試算が明らかにした。
  2. 価格上昇にもかかわらず米海兵隊はF-35B調達機数を13機追加し353機にしている。この事実はこれまで公表されていなかったが2016年版特定調達事業報告書(SAR)で明らかになった。
  3. ペンタゴンのF-35総合調達経費は2014年から2015年にかけて(当時のドル価格で)121億ドル減少しており3.2パーセント減だったが2016年にふたたび上昇に転じ275億ドル(6.8%)上昇したと最新のSARが説明している。予定2,456機のF-35の調達経費は研究開発試験評価(RDT&E)分や調達・施設建設(Milcon)含め4,065億ドルになっている。
  4. 増加の理由として米政府による同機調達の減速が今後続くことがあるとF-35統合事業運営室(JPO)は説明。米空軍は年間調達機数の上限を80機から60機に減らしており、調達期間を6年延長した。このため最終調達は当初2038年度だったが今は2044年度になっている。
  5. この延長に年間生産機数の削減が加わり調達経費の総額が増加したとJPOは説明している。
  6. SARから調達の減速から機体単価にも影響が出ているのが分かる。これについて予算強制削減でF-35の調達機数が減速すると価格上昇につながるとロッキードとペンタゴンは繰り返し警告していた。2016年度版SARによると空軍向けF-35Aで加重平均機体単価を供用期間全体で試算した数字は当時のドル価格で100.6百万ドルだったのが111.3百万ドルに増加している。海軍向けF-35Cでは110.7百万ドルが112.4百万ドルになった。F-35Bでは逆に下がっており、123.4百万ドルが122.9百万ドルになったのは13機追加調達のためだ。
  7. F-35A、B、C各型の最新の生産バッチ単価は当時のドル価格でそれぞれ94百万ドル、122百万ドル、121百万ドルだった。
  8. 総合事業経費には60年供用の前提で運用、維持を想定しており、1.8%つまり275億ドルと微増し、最新のペンタゴンが把握する費用合計は1.53兆ドル(約173兆円)である。
  9. RDT&E経費は比較的安定しており、上昇幅は400百万ドルにすぎない。この原因として開発段階の修了に伴う追加経費が上乗せされているとJPOは説明。
  10. 反面、運用支援経費試算が353億ドル増加しているのはペンタゴンの最新燃料価格予想と同機の海外転換構想の変更によるものが大きいとJPOは述べている。■

コメント

  1. 例えば冷戦期のセンチュリーシリーズのように多種多様な機種を別途開発・調達・運用するのとJSFでは、どちらが総額として負担が大きくなったでしょうか。
    過去にない程の統合化を進めた戦闘攻撃機ですから、当初の見込みが法外に楽観的すぎた、と言えるのではないかと思っています。
    事業を機種の位置付けに不釣り合いなほどコンパクトに迅速に進めようとした結果、無茶が祟って色々なところに歪みが出てしまい、結果的に無駄な金と時間を浪費してしまっているように思えてなりません。
    とはいえF-35は他に類を見ない優れた機材ですから、事業規模が肥大化し続けていることを理由に今更これを捨てるという議論もありますが、それは些か乱暴すぎる議論かとも思います。
    PCAやF/A-XXでは同じ轍を踏まぬよう、この反省を生かすべきだと思います。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ