F-35の数字ゲームはどんどん変化していきますが基本的にインフレを期待しているとしか思えない内容です。日本のように20年以上デフレでインフレ経済拡大の概念を忘れかけている国には数字がどんどん変わっていくのは脅威ですね。
F-35 Costs Rise; U.S. Marines Sign Up For 13 More
F-35経費が上昇中の中、米海兵隊は13機追加調達へ
Photo:F-35: U.S. Air Force
- ロッキード・マーティンF-35の調達総合経費が昨年比で7パーセント近く上昇している。主原因は米政府が同機調達のペースを落としていることだとペンタゴン最新試算が明らかにした。
- 価格上昇にもかかわらず米海兵隊はF-35B調達機数を13機追加し353機にしている。この事実はこれまで公表されていなかったが2016年版特定調達事業報告書(SAR)で明らかになった。
- ペンタゴンのF-35総合調達経費は2014年から2015年にかけて(当時のドル価格で)121億ドル減少しており3.2パーセント減だったが2016年にふたたび上昇に転じ275億ドル(6.8%)上昇したと最新のSARが説明している。予定2,456機のF-35の調達経費は研究開発試験評価(RDT&E)分や調達・施設建設(Milcon)含め4,065億ドルになっている。
- 増加の理由として米政府による同機調達の減速が今後続くことがあるとF-35統合事業運営室(JPO)は説明。米空軍は年間調達機数の上限を80機から60機に減らしており、調達期間を6年延長した。このため最終調達は当初2038年度だったが今は2044年度になっている。
- この延長に年間生産機数の削減が加わり調達経費の総額が増加したとJPOは説明している。
- SARから調達の減速から機体単価にも影響が出ているのが分かる。これについて予算強制削減でF-35の調達機数が減速すると価格上昇につながるとロッキードとペンタゴンは繰り返し警告していた。2016年度版SARによると空軍向けF-35Aで加重平均機体単価を供用期間全体で試算した数字は当時のドル価格で100.6百万ドルだったのが111.3百万ドルに増加している。海軍向けF-35Cでは110.7百万ドルが112.4百万ドルになった。F-35Bでは逆に下がっており、123.4百万ドルが122.9百万ドルになったのは13機追加調達のためだ。
- F-35A、B、C各型の最新の生産バッチ単価は当時のドル価格でそれぞれ94百万ドル、122百万ドル、121百万ドルだった。
- 総合事業経費には60年供用の前提で運用、維持を想定しており、1.8%つまり275億ドルと微増し、最新のペンタゴンが把握する費用合計は1.53兆ドル(約173兆円)である。
- RDT&E経費は比較的安定しており、上昇幅は400百万ドルにすぎない。この原因として開発段階の修了に伴う追加経費が上乗せされているとJPOは説明。
- 反面、運用支援経費試算が353億ドル増加しているのはペンタゴンの最新燃料価格予想と同機の海外転換構想の変更によるものが大きいとJPOは述べている。■
例えば冷戦期のセンチュリーシリーズのように多種多様な機種を別途開発・調達・運用するのとJSFでは、どちらが総額として負担が大きくなったでしょうか。
返信削除過去にない程の統合化を進めた戦闘攻撃機ですから、当初の見込みが法外に楽観的すぎた、と言えるのではないかと思っています。
事業を機種の位置付けに不釣り合いなほどコンパクトに迅速に進めようとした結果、無茶が祟って色々なところに歪みが出てしまい、結果的に無駄な金と時間を浪費してしまっているように思えてなりません。
とはいえF-35は他に類を見ない優れた機材ですから、事業規模が肥大化し続けていることを理由に今更これを捨てるという議論もありますが、それは些か乱暴すぎる議論かとも思います。
PCAやF/A-XXでは同じ轍を踏まぬよう、この反省を生かすべきだと思います。