スキップしてメイン コンテンツに移動

米空軍のF-15Eを半減する計画。各方面で重宝される機材で、迎撃任務までこなしているのに半減。ますます気になるF-15EXの配備先。

 F-15E Strike Eagle Fleet To Be Slashed By Over Half: Report

USAF


計画では、米空軍は、F-15Eで推力が低い機体から退役させるとあるが、同機には安定した需要がある



新報告によると、アメリカ空軍は、すでに小規模になっているF-15Eストライクイーグル部隊を、10年末までに約54%削減すると検討している。F-15Eは、速度、航続距離、積載量、乗員数、その他の能力が非常に優れているため、最も需要のある戦術ジェット機の一つであるにもかかわらず、このような事態を招いている。

 Aviation Weekは昨日、空軍が2028会計年度までに218機のF-15Eを119機へ削減する検討をしていると最初に報じ、同軍の幅広い将来の戦力構成と支出の優先順位を入手したとする情報を引用した。The War Zoneは、これを確認するため空軍に連絡を取り、F-15Eフリートに関する空軍の計画についてより多くの情報を得た。



アメリカ空軍のF-15Eストライクイーグルが並ぶ。アメリカ空軍


119機のF-15Eは、Pratt & Whitney F100-PW-220Eターボファンエンジン2基を搭載し機体で、各エンジンの推力は約23,500ポン。残る99機は、より強力なF100-PW-229を搭載し、1基あたり推力は29,000ポンドだ。F100-PW-220E搭載機は、ストライク・フリートの中でも古い部類に属し、1988年に初めて就航した。


地上試験で稼働中のPratt & Whitney F100-PW-229ターボファンエンジン。アメリカ空軍


F-15Eは、コンフォーマルフューエルタンクを搭載し、戦術機で最大の航続距離と積載量を誇る。新しいB61-12核重力爆弾を含む、空軍の航空発射精密誘導弾とスタンドオフ弾の大部分を運用できる。各種の武器を一度に多数搭載できる。また、主翼や胴体下に大型の弾薬用のスペースがあり、将来の極超音速ミサイルやその他新兵器のプラットフォームとなる可能性もある。

 さらに、F-15Eはセンサーや自己防衛能力も高いのが特徴だ。現在進行中のアップグレードプログラムにより、F-15Eには高性能なAN/APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーが搭載された。空軍は、これらの航空機にイーグル・パッシブ/アクティブ警告・生存システム(EPAWSS)を追加するプロセスを進めている。

 また、ここ数年、F-15Eのミッションセットに電子戦を含める話も出ている。海軍の次世代ジャマーのポッド型ファミリーのバリエーションや派生型をストライクイーグルに搭載する可能性が出てきた。さらにEPAWSSで自己防衛を超えた素晴らしい、拡張可能なEW能力を与えることになる。

 重い荷物を積んでも、ストライクイーグルはかなりのスピードと航続距離を持ち、前方展開の場所から戦域全体の不測の事態に比較的迅速に対応する能力がある。F-15Eは、過去20年間、アフガニスタン、イラク、シリア、リビアなどの戦闘で、能力を日常的に発揮してきた。2021年のアフガニスタンからの米軍最終撤退でもカバーた。

 今日に至るまでストライクイーグル飛行隊6個のうち1つがほぼ常に中東に配備され、必要な場合に備えている。F-15Eは、ここ数年、シリアにいる米軍とそのパートナーへの攻撃で重要な抑止力となっている。特に同国での作戦の過程で、敵対する地上部隊と交戦し、イランの無人機を撃墜してきた。

 本日、米中央軍のマイケル・"エリック"・クリラ陸軍大将は、上院軍事委員会で、シリアにおけるロシア空軍の攻撃的かつプロらしからぬ行動が「著しく急増」していると明らかにした。これには、米軍を基地上空を、完全武装したロシア軍機が最近飛行したことも含まれる。この情報開示は、ロシアのSu-27フランカー戦闘機の1機が黒海上空で空軍のMQ-9リーパー無人機と衝突し、後者の航空機が墜落したわずか2日後のことだ。

 F-15Eパトロールもヨーロッパに前方展開しており、インド太平洋地域にも定期的に展開している。各機は大規模演習に参加し、これらの地域で発生する重大な危機に米軍が対応する能力を強化している。

 このようなことから、5年でストライク・イーグルの半数を失った場合、空軍はどう補うつもりなのか、という疑問が湧いてくる。

 空軍が過去に提案し、The War Zoneが詳細に調査した、F-15Eを新しいF-15EXイーグルIIで再編することが、可能な行動であった。ちょうど昨日、空軍参謀長であるチャールズ・Q・ブラウン空軍大将が、毎年開催されるMcAleese Defense Programs Conferenceでの発言で、ストライクイーグルとイーグルIIは「同様の能力」を備えていると述べたとAir and Space Forces Magazineが伝えている。外見こそ似ているが、ボーイングが現在生産しているF-15で最も先進的な機体として宣伝しているイーグルIIは、実際にはストライクイーグルより能力が高いということを指摘しておく必要があろう。

 約2年前、ブラウン大将は戦術機群を最終的にF-35A統合打撃戦闘機、F-16C/Dバイパー、F-15Eストライクイーグル、F-15EXイーグルII、そして次世代航空支配(NGAD)計画で開発する第6世代戦闘機の4種類のみに縮小する計画を発表した。

 しかし、F-15EXプログラムはここ1年ほどで流動的になっている。今出てきている空軍の計画規模は、当初想定から大幅に縮小されている。

 空軍は2024会計年度にさらに24機のイーグルIIを購入することを検討しており、その場合、計画されている機材の総数は104機となる。これは、昨年空軍が検討していると言っていた80機体制より多いものの、当初購入するとしていた144機体制には及ばない。

 昨日のAviation Weekの記事では、空軍は2025会計年度にさらに24機のジェット機を発注することを検討しているが、これがイーグルIIの最終購入になると述べている。これにより、F-15EXの予想規模は128機となるが、追加分のイーグルIIがどこに行くかは不明である。

 現在のところ、104機のF-15EXは、国土防衛を任務とする空軍州兵部隊に配属中のF-15C/Dイーグルと交代するのに十分な規模だ。空軍はまた、現役のF-15C/D装備部隊の閉鎖を進めている。空軍は、旧型イーグルの退場で生じるギャップを、新型F-35Aジョイントストライクファイターが埋めると期待すると述べてい る。


 しかし、空軍は、昨年まで日本の嘉手納基地に配備されていたF-15C/Dの2機を直接置き換えるために、F-35A飛行隊を立ち上げる計画や、他の機体を装備する計画をまだ発表していない。つまり、24機のイーグルIIは、最終的に嘉手納基地に配備されていたイーグルの代わりとなる可能性がある。The War Zoneでは、F-15EXの購入拡大の可能性としてこのことを取り上げている。太平洋空軍の指導者も興味を示している。

 また、ストライクイーグル部隊に引き渡される可能性もあるが、F-15Eフリートの旧半数の損失を補うには十分ではないはずだ。この他にも、1月にThe War Zoneが報じたが、イギリスを拠点とするストライクイーグルは、同地域のF-15C/Dユニットの損失を補うため、特徴的なコンフォーマル燃料タンクなしで空対空任務で運用されている例もある。

 F-35Aが退役分のイーグルの代替機として到着し始めたことを考えると、英国のF-15Eがいつまで空対空任務に就くかは不明だ。ともあれ、ストライク・イーグルの任務が重くのしかかり、本来の攻撃任務から遠ざかっていることを物語っている。

 さらに、F-15Eを削減し、F-15EXを切り捨てることで、非常にニッチ部隊が2つ生まれ、訓練やロジスティクスの問題を本質的に抱えることになる。両機種をサポートするために、空軍は2つの独立ユニットを運営し、それぞれおよそ100機のジェット機を持つ2つ地域に訓練パイプラインを提供することになる。

 空軍は現在、F-15C/DやA-10のような戦術機を含む多くのレガシー機を今後数年で処分し、次世代型やその他の高性能機材で代替しようとしている。フランク・ケンドール空軍長官は今月、200機のNGAD戦闘機と、今後数年間でF-22ラプターをすべて退役させる別の計画に合致する1,000機の共同戦闘機(CCA)の最初のトランシェを含む将来部隊を計画していると明らかにしたばかりだ。

 空軍はCCAを、乗員付きプラットフォームと密接に連携することを目的とした、高度な自律性を持つ比較的低コストのドローンと大々的に説明している。空軍は、CCAはまず空対空任務が期待されると述べているが、将来は確実に攻撃任務に使用されるはずだ。空軍は、他の先進的な空中攻撃能力を公に探っており、機密領域でさらなる研究が進んでいる可能性がある。



General Atomics社のGambitファミリーの様々な先進的なドローンを描いたアートワークで、そのうちの1つが空対空ミサイルを発射しているところを見ることができます。GA-ASI GA-ASI


CCAがどう使われるのか、最終的な運用コンセプトはまだ固まっていない。1,000CCAという数字は、200機のNGAD戦闘機と300機のF-35Aに、それぞれ2機のドローンを組み合わせた場合のものであることが注目に値する。F-15EとF-15EXは、少なくとも現時点では、その協力関係の方程式に含まれていないようだ。

 全体として、F-15Eを大幅削減するとの決定は、空軍がレガシータイプを切り離すために動いているように見える速さから生まれる疑問を加えている。今後数年間の新機種購入は、少なくとも今のところ、かなり控えめなものになりそうだ。空軍は、この過渡期に主要任務を遂行するために、最小限の部隊構成と人員を維持する必要がある。

 どのような削減と同様に、議会は今回もF-15Eを削減する空軍を阻止しようとするだろう。議員たちは、航空機だけでなく、艦艇他のシステムの処分も定期的に阻止できるし、実際に阻止している。

 しかし、計画が許可されれば、多用されている同機が今後数年で劇的に縮小されることになる。■


F-15E Strike Eagle Fleet To Be Slashed By Over Half: Report

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 16, 2023 6:18 PM

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM