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湾岸戦争73イースティングの戦いに見るM1エイブラムズの戦力と優れた戦術判断。ウクライナでも恐るべき威力を発揮する....



M1エイブラムス主力戦車31両がウクライナに向かい、本来の対戦相手のロシア戦車とどう戦うのかが、大いに議論されている。エイブラムスがソ連時代の旧型装甲車両に照準を合わせるのは今回が初めてではない。湾岸戦争の伝説的な73イースティングの戦いほど、戦力不一致をよく表している対戦はない。 

 


 
73イースティングの戦いは、20世紀の偉大な戦車戦の一つとしてよく知られている。M1A1エイブラムス戦車わずか9台が13台のM3A2ブラッドレー戦闘車、120人の歩兵と、訓練されたイラク共和国軍タワカルナ師団10機甲師団というはるかに大きな部隊と対峙する。 

 

数で劣るアメリカ軍にとってさらに悪いことに、イラク軍と装甲車は防御態勢のまま、実戦実績のないアメリカの戦車に歯向かうチャンスを待っていた。しかし、いざ戦闘が始まると、当時28歳のH.R.マクマスターの健全な軍事戦略と優れた軍事技術がイラク軍を蹂躙し、M1エイブラムス主力戦車とM3A2ブラッドレー戦闘車のワンツーが単に戦闘に有効なだけではないことを明白に証明した。まさに破壊的だったのだ。 

 
 

ウクライナは湾岸戦争とちがう 



73イースティングの戦いで何が起こったのかの前に、まず、適切な文脈で全体像を見てみよう。湾岸戦争は、米国主導で35カ国の連合軍が支援した大規模な軍事作戦だった。M1戦車3,100両以上を投入したアメリカは、連合軍戦闘機が支配する空域で活動しながら、アメリカと同盟国の巨大な兵站力の恩恵を受けていた。
 

 

エイブラムスは、起動だけで燃料約10ガロンを必要とし、1マイルあたり2~10ガロンの燃料を消費することで有名であるため、この点は重要だ。アメリカのM1エイブラムス主力戦車は、1970年代までにソビエト連邦が投入した新型戦車に対抗するため、特にヨーロッパでの戦争を念頭に置いて設計されました。しかし、この戦車は、地球上で最も裕福な国であり、強固なグローバルサプライチェーンを持つ国が運用する前提で設計されたも。 

 

言い換えれば、エイブラムスは技術的に高度な戦争機械であり、山ほどの資金を持ち、強固な補給線を維持するため必要な航空優勢を持つ国が使用してはじめて最高の効果を発揮する。 

 

ウクライナには、アメリカのようにエイブラムスを活用する資金も制空権もない。しかし、窮地に立たされたウクライナ軍には米装甲車両の技術的優位性でロシアの年代物の戦車を蹂躙するのに十分かもしれない。 

 

M1エイブラムスの威力 

 

アメリカのM1エイブラムス主力戦車は、就役から40年が経過した現在も、着実なアップグレードと改良の積み重ねにより、価値を保っている。 

 

最新型エイブラムスM1A2 SEPV3は、M256 120mm滑腔砲とM240機関銃を同軸上に搭載し、さらに共通遠隔操作兵器システム(CROWS)で操作する12.7mm機関銃も装備し、地球上で最も先進的で高性能な機甲システムだ。また、IFLIR(Forward-Looking infrared)光学系で目標を発見し、電子戦システム、アクティブおよびパッシブな各種防御手段を搭載している。 

 

しかし、現在の最新型エイブラムスも、1991年の湾岸戦争で活躍したアメリカの戦車も、イラク軍が運用するソ連時代のT-72やT-62と比べ、技術的にははるか先を進んでいる。そして、ロシアのウクライナ侵攻から1年以上が経過した現在、ロシア軍が大量に運用している戦車と同じものである。 

 

73イースティングの戦いは、アメリカのエイブラムスとブラッドレーの小部隊が、数的優位に立つイラク軍と対峙したもので、エイブラムスとロシア軍の戦車との比較について、興味深い洞察を与えてくれた。 

 

米側の訓練を受けたイラク指揮官との対決

 

1991年2月26日、M1A1エイブラムス戦車9両、M3A2ブラッドレー戦闘車12両、歩兵120人からなるH.R.マクマスター大尉指揮下のイーグル隊は、イラク陣地に向かい東進を命じられた。本来ならば、偵察ヘリコプターや、A-10サンダーボルトIIなどによる航空支援が必要だが、大規模な砂嵐が発生し、視界が極端に悪くなり、アメリカの航空戦力は足止めされた。 

 

マクマスターの命令は明確で、連合軍のキャンペーンマップの中心線から東に67km離れた東経67度まで前進し、直接交戦に持ち込まずイラクの防御陣地を特定することだった。マクマスターのイーグル隊は、イラク装甲車両を発見したら、その位置を報告し、後方から来る本隊を待つことになっていた。 

 

マクマスターとその部下が知らな買ったが、部隊のすぐ南の道路は、イラクのタワカルナ師団と第10機甲師団の旅団が占領しているイラク軍訓練場に直接つながっていた。イラク軍は、アメリカ軍の進撃を止めるよう命令され、戦いに備えていたのだ。 

 

「敵の指揮官モハメッド少佐の部隊は、同地を熟知していた。部隊は実弾射撃訓練で村を宿舎として使っていたのだ。ジョージア州フォートベニングの歩兵将校上級課程を卒業したモハメッドは、村を防衛にの理想的な地盤だと考えていた」と、マクマスターは戦闘を振り返る中で書いている。 

 

イラク軍には防御陣地というアドバンテージがあったが、重大な戦術的ミスを犯していた。地形のないイラクの砂漠を進むには、道に迷わないよう道をたどるのが普通だが、アメリカの先進的なエイブラムスやブラッドレーは、最新の全地球測位システムを搭載し、自由に移動できる。無自覚なままイラク軍指揮官は、道路に防衛線を向けたが、イーグル隊はその数キロ北側から接近し、ある程度の奇襲性を持っていた。

 

しかし、マクマスターは、モハメッド少佐の防衛戦略を高く評価した。村にZSU-23-4「シルカ」レーダー誘導式対空兵器を配備し、4基の巨大な23ミリ自動砲を水平線と平行に配置し、ジェット機ではなく陸上装甲車両を切り裂くために使うつもりだった。彼は、数十台の戦車とBMPを防衛陣地に配置し、その間に数百人の歩兵部隊をバンカーや急造の塹壕に散在させた。 

 

村そのものを防御力の高い蜂の巣にし、進撃してくるアメリカ軍を村の北と南に散らばらせ、そこに地雷を設置して進撃を止め、エイブラムスやブラッドレーが止まったら大火力で蹂躙する計画だった。さらに、アメリカ軍が防衛線を突破した場合に素早く対応できるよう、東側約3,000mにT-72主力戦車18両を円形に配置していた。 

 
 

イーグル隊の交戦開始 

イーグル隊は、赤外線照準器を覗きながらブラッドレー13両を先頭に、マクマスターのエイブラムス9両を後方に従え、猛烈な砂嵐の中ゆっくり進んでいった。やがて、イラク軍偵察隊が現れ、すぐ降伏し、イラク軍にアメリカ軍の進撃を知らせるまでには至らなかった。イーグル隊が前進すると、イラク軍BMP2両が戦車3両を従え偵察しているのを発見した。 

 

イラク軍が反応する前に、イーグル隊のブラッドレーの1台が停止してBGM-71 TOWミサイルで一番南の戦車に命中させた。数秒後、同じブラッドレーが2発目のTOWミサイルを発射し2台目の戦車に命中させ、3台目には25mmM242 Bushmasterチェーンガンで攻撃した。 

 

イーグル隊が北東のイラク軍に注意を向ける間に、南東にある小さな建物群に隠れていたイラク兵が発砲した。マクマスターは、その建物を素早く評価し、攻撃者の中に民間人が隠れている可能性は低いと判断した。彼はエイブラムス9両すべてに、120mm滑腔砲で建造物を攻撃する命令を下し、小銃による攻撃は開始と同時に終了した。 

 

その直後、イーグル隊で前進するブラッドレーのすぐそばで爆発が起きた。ブラッドレーの指揮官は赤外線光学系を覗き込み、約800m先にT-72戦車1両を発見した。TOWミサイルで応戦しつつ、2台目のブラッドレーと一緒に停止を命じた。遠くでは、T-72戦車の砲塔が、ジャック・イン・ザ・ボックスのように飛び出すのが見えたが、これはウクライナ戦ではよく見られる光景だ。 

 

主砲の弾薬を砲塔後部に収納するエイブラムスと異なり、ロシアのT-72は砲塔と車体の間に砲弾40発を円形に収納する。そのため、この部分に命中すると、連鎖的に全弾が爆発し、戦車から砲塔が吹っ飛ぶ。 

イラクの戦車4両とBMP2両がくすぶる中、マクマスターには戦いが始まったばかりであることがわかっていた。 


 

戦車隊、前へ 

マクマスターはスズメバチの巣を蹴ってしまったと気づき、無線でイーグル隊に陣地転換を呼びかけた。 

 

「イーグル隊、戦闘配置につけ。イーグル隊、戦闘態勢に入れ、戦車は先頭に立て、戦車は先頭に立て」と命令した。 

 

ブラッドレーが減速し、9両のエイブラムスが楔状に前進すると、イーグル隊にはさらに前進して70イースティングまで押し進めるよう命令が入った。その直後、マクマスターはモハメド少佐の罠の始まりを発見した。戦車5両が隣り合わせに配置され、北側にさらに3台が控えていた。マクマスターのエイブラムスのレーザー距離計は、距離を1,420ヤードと読み取った。41ポンドのM829A1徹甲弾の発射を指示した。この弾は、劣化ウラン貫通弾でフィン安定化がつき、敵の装甲を短時間で破壊するため特別設計されている。この弾は時速3,500マイルで最初のイラク戦車に命中し、わずか3秒でエイブラムスは2発目のサボ弾を発射し、もう1台のT-72をスコアカードから消した。 

 

残る6台の戦車は一斉に砲撃を開始し、エイブラムス9両が小高い丘の頂上に到達すると、125mm戦車弾をイーグル隊に浴びせかけた。周囲に爆発音が鳴り響く中、マクマスターは恐ろしいことに気がついた。 

丘の上からは、さらに39両のイラク戦車と54台の装甲車、歩兵数百人が見えたのである。決定的な交戦をしないよう命じられていたにもかかわらず、マクマスターのイーグル隊は今、砲撃を受けており、しかも多勢に無勢だった。 

 
 

「ごめん」 と伝えてくれ 

イーグル隊が自分たちの置かれた状況を理解したとき、無線で呼びかけがあった。 

 

ジョン・ギフォード中尉が、マクマスター大尉に「聞きたくないでしょうが、前進の限界です。70イースティングに到達しました」と無線交信してきた。 

 

これ以上前進すれば、命令違反になるだけでなく、イーグル隊が前方に出過ぎて、増援が間に合わない可能性がある。イラク軍の規模が大きければ、包囲される可能性さえある。しかし、マクマスターは、イラク軍のT-72が自分の部隊を十分に射程圏内に収めていることも知っていた。今や選択すべきは、戦うか、尻尾を巻いて逃げるかだ。 

 

「止まるなと伝えろ。連絡は取れているので、この攻撃を続けなければならないと伝えろ」。マクマスターは、「申し訳ないと言ってくれ」と答えた。 

 

イーグル隊の上空で爆発が続く中、13台のブラッドレーと9台のエイブラムスすべてが射撃し、積極的に前進した。イーグル隊が敵陣に到達するまでに、T-72を15両撃破した。 

 

ZSU-23-4対空システムが4連装23mm砲で攻撃してきたが、ブラッドレーの1両がTOWミサイルを発射し、すぐ無力化された。残りのブラッドレーは、M240機関銃と25mmブッシュマスターチェーンガンで歩兵陣地を攻撃した。 

 

イラク軍はイーグル隊に命中させることに成功した。しかし、T-72の125mm滑腔砲主砲がエイブラムスのチョバム複合装甲の前面に直接命中しても、弾丸は跳ね返されるだけであった。 

 

イーグル隊はイラク戦線に突入し、予備で待機中のT-72隊を発見した。互いに接近していたため、標的捕捉が容易となり、イーグル隊はわずか数秒で編隊を全滅させた。 

 

イーグル隊は23分で東経73度まで攻め込み、数的に優位かつ要塞化されたイラク陣地を完全に破壊した。イーグル隊は合計で戦車47両、装甲車34両を蹂躙し、しかも自軍は車両や兵器システムを一つも失うことなく、これを成し遂げた。 

 

マクマスターのイーグル隊は、イラク共和国軍の一個大隊をまるごと破壊したのである。■ 

 

Alex Hollings | March 22, 2023 

 
 

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