World Economic Forum
中国が人口減少を発表し、メディアが注目した。報道は、世界経済をリードする中国の野望を人口減少が脅かすかもしれないと推測した。報道の多くは、理由や原因を明確にしていないものの、的を得ている。人口動態の動向を詳細に検討し、その理由や原因を考えれば、中国の人口動態はここ数十年で最大の経済的出来事となり、中国の発展ペースを大幅に遅らせる。中国を経済的に巨大な存在としてきた認識は変更を迫られるだろう。
中国の公的統計機関が発表した数値は、表面的とはいえ十分印象的だ。前回の国勢調査から約85万人減少している。この数字から、国連の人口統計学者は、現在14億人の人口が、2050年に13億人になり、今世紀末には8億人程度に減少すると予測している。そして、この流れを止めるため中国ができることはほとんどない。さらに重要なことは、このトレンドが中国の経済的展望に及ぼす影響を緩和するため北京ができることも皆無に近いことだ。
人口動態における決定的な経済要因は、総人口の動向より、労働年齢人口の深刻な不足だ。北京が過去45年間、数十年にわたり中国家庭に一人っ子政策を押し付けてきたため、中国は現在、巨大な退職世代に代わる若い労働者の深刻な不足に直面している。2010年以降、15歳から64歳までの生産年齢人口はほとんど伸びていない。しかし、定年退職を迎える高齢者人口は、2010年の総人口の9%から、直近で13%へと53%も増加している。その結果、退職者1人あたりを養える現役世代は、2000年の約6.5%、2010年の約5.5%から、現在は3.5%になった。そして、2030年までに2.3%を下回り、その後数年間はさらに下がる予想がある。
このような状況の経済的な意味を把握するために、労働者3人の負担を考えてみよう。彼らは自分自身と扶養家族、そして退職者が必要とするすべてのものの3分の1を養わなければならない。少なくとも平均して、3人の労働者がこの必要性を担えるほど生産的であることはない。なぜなら、高齢化が進むと、輸出、機械、消費財など日常的な生産から、高齢者が必要とする医療や介護サービスに労働力が吸い上げられるからである。このような人手不足の深刻化は、中国のみならず他国経済が発展するために必要な投資、特に中国を有名にし、目覚しい成長に大きく貢献してきた大規模プロジェクトを行うため必要な余剰生産と富を奪う。
さらに問題なのは、人口動態が財政的に与える悪影響だ。退職者の年金ニーズは、北京だけでなく、地方政府にも大規模借金を強いることになる。中国はすでに、米国を含むほとんどの国よりも多額の債務を負っている。最終的には、公的、私的な負債を合わせ約52兆ドルで、経済規模の3倍にも達する。 確かにワシントンの債務負担は北京より大きいが、それは北京がインフラ支出などに必要な借入を地方政府にオフロードしているため年金の負担はさらに増え、これまで中国の発展に大きな役割を果たしてきた成長促進プロジェクトが混同されるのは避けられない。
このような弊害を補うため、北京ができることはほとんどない。数年前、当局は一人っ子政策の潜在的な経済的ダメージにようやく目を覚ました。法律を撤廃し、大家族を容認した。しかし、仮に中国人が自由な環境をすぐに利用しても、国内の生産年齢人口の相対的な規模に影響を与えるには15年から20年かかる。現状では、法律が施行されても出生率が上がることはない。また、労働年齢人口を増やすために、優秀な移民が殺到することもないだろう。それどころか、中国では移民流入よりも流出が多いのが常だ。
そのため、労働者の生産性を向上させることが唯一の解決策となる。北京は人工知能(AI)やロボット工学の開発・導入に力を入れている。実際、中国はこれらの分野で世界のリーダー的存在になっている。やがて、これらのトレンドがアルゴリズムやコンピュータ、機械を労働に置き換え、限られた労働人口を今より生産的にするのは間違いない。また、AIやロボティクスが肉体労働の必要性を減らすことで、高年齢で働くのに役立つ。しかし、実現には多額の投資資金が必要で、労働人口に無理がある中国には困難だ。
中国の成長ペースはすでに著しく鈍化している。情報筋は、昨年の実体経済成長はわずか2%と見積もっている。中国経済の歴史的な拡大ペースからすると、ここまでの急激な減速の責任は、金融引き締めにある。しかし、一過性の景気変動の裏側に、人口動態の弊害が再び現れるだろう。この現実の中でも中国は大きな経済規模を維持していくだろうが、絶対的な規模や成長のスピードでは、かつて言われた「力強い成長モメンタムに支えられた中国が経済を支配する」とする展望の実現はないだろう。■
China’s Economic Base Is Dwindling
February 25, 2023 Topic: China Region: China Tags: ChinaXi JinpingEconomicsDemographicsOne Child Policy
https://nationalinterest.org/feature/china%E2%80%99s-economic-base-dwindling-206248
Milton Ezrati is a contributing editor at The National Interest, an affiliate of the Center for the Study of Human Capital at the University at Buffalo (SUNY), and chief economist for Vested, the New York-based communications firm. His latest books are Thirty Tomorrows: The Next Three Decades of Globalization, Demographics, and How We Will Live and Bite-Sized Investing.
CCP中国は、他国とどの程度差があるか、公表されない独自の国力評価基準を持っている。評価する項目は、経済力や軍事力等もあるが、重要なのは人口であると推定される。
返信削除人口は、経済力や軍事力の源泉であり、その多さの順位が潜在的な国力の強さを示している。このためCCP中国は、人口を粉飾しても世界首位を獲得したかったと推定する。
しかし、そのような誤魔化しも限界があり、人口数の首位は今やインドである。
今までCCP中国は、人口のみならず、内実は別にして、数値での経済力や軍事力の増強を誇り、米国を追い越そうとしてきたが、そのピークは既に過ぎ去り、これから急速な高齢化や目がくらむ債務の問題に追われることになる。
だが、米国に取って代わる世界覇権の獲得を諦めきれない習は、まだそのチャンスを狙っているだろう。毛の悲願である世界覇権の獲得は、毛の後継者になりたい習の願望でもある。世界覇権獲得を目指す習にとって台湾併合は、小さな夢でしかないのかもしれない。
ところで話は変わるが、現在、中国で流行している武漢肺炎は、数億人の感染者が出るだろう。そうなると今までの世界流行の累積感染者数並みとなり、今までと同様なウイルス変異が起きると予測される。
毒性が低ければ問題ないが、感染力も致死率も高い場合もあり得る。また、CCP/PLAは、このような変異株を既に持っている可能性も高い。再度の「間違い」による研究所からの漏洩もあるだろう。「過誤」による世界流行がまた起きるかもしれない。注意し過ぎることは無いということだろう。