ウクライナ国防省情報本部
ウクライナ軍国防情報局に元米軍のUH-60Aらしき機体が登場した
ウクライナ軍は、S-70/H-60ブラックホークシリーズのヘリコプターの最初の機体を受領したようだ。同機は、ロシアとの戦争において、国境を越えたヘリコプター襲撃など、数々の大胆なミッションを指揮してきたウクライナ国防情報局の航空部門に配備されたようだ。ブラックホークは、ウクライナにこれまで寄贈された機体より近代的で、今後の納入に道を開く可能性もある。
ウクライナ国防省情報本部が本日ウェブサイトに掲載した記事には、格納庫にあるブラックホークヘリコプターの写真が2枚掲載されている。1枚は、2人組の武装ヘリ隊員が機体の前でポーズをとる写真。もう1枚は、ブラックホークがウクライナのMi-24ハインドと一緒に写っており、こちらもクルー2名と4名の特殊作戦部隊らしき隊員が写っている。
ウクライナ某所の格納庫で、新たに確認されたブラックホークとMi-24、情報本部の兵士たち。 Main Directorate of Intelligence of the Ministry of Defense of Ukraine
添付文章を機械翻訳すると、次のようになった。「ウクライナの国防情報航空は、我が国の防衛の最前線で働き続けている。偵察機のパイロットは別の戦闘任務から戻ったばかりで、戦闘用ヘリコプターは情報本部の特殊部隊の能力と特殊作戦の有効性を大幅に向上させる。情報主管庁のパイロットは、戦線のあらゆる地域で敵を撃破し続けている。」
明示されていないが、この文言は、ブラックホークとMi-24が、長官直属部隊に新たに加わったことを示唆している。過去には、ウクライナ軍のヘリ(主にソ連・ロシア製のMi-8とMi-17ヒップ)を臨時使用していたことが判明している。航空資産を持つことが大きな利点になるのは明らかだ。
ウクライナのMi-8 Hip。後部クラムシェルドアが取り外されており、情報局ミッションで飛行したものと同じ。 Ukraine MoD
写っているブラックホークの塗装は、グロスブラックにブルーとシルバーのチートラインが胴体下部とエンジンハウジングの上部に入る独特のもので、ウクライナの丸マークと国旗も描かれている。
この塗装は、米国アラバマ州ガンタースビルに本社を置くエース・エアロノーティクスAce Aeronautics, LLCが過去に運用したUH-60Aと類似しているように見える。エースエアロノーティクスは、S-70/H-60ファミリーを含むエイビオニクスのアップグレードを中心に、実験飛行試験、訓練、メンテナンス、修理、オーバーホール(MRO)などのサービスを提供している。
このうち同社のUH-60Aは、同社ウェブサイトや下のビデオに登場する、ウクライナ機とほぼ一致する。過去には米国の民間登録番号N60FWで運用されており、連邦航空局によれば、同番号はまだ有効とある。「ブルー」の愛称で親しまれる同機は、かつてアメリカ陸軍の所属で、シリアルナンバーは80-23455だった。エースは、米軍からUH-60Aを購入し、顧客の仕様に合わせ再塗装や手直しを行った上で販売するサービスを行っている。
N60FWの経歴を調べると、11ヶ月前まで売りに出されていたが、その後、掲載が削除された。最後の飛行記録は昨年11月28日のジョージア上空で、その時点ではまだエース航空の所有として掲載されていた。ウクライナのヘリコプターの塗装は明らかにN60FWと似ているが、もちろん、これは同じカラーリングで塗装された別の機体の可能性もあり、おそらく、オーダーメイドの再塗装サービスを提供する同社によるものだと思われる。
エース・エアロノーティクスが過去に入手したUH-60Aには、青ではなく赤のチートラインが入った機体や、黒一色の機体があり、それぞれN60DKとN451VKの登録がある。
エースエアロノーティクス UH-60A N60FWとN60DKが一緒に飛行した。 Ace Aeronautics
2枚の写真を見る限り、ウクライナ情報局が運用するUH-60Aには、電気光学センサーや武器、自己防護システムなど改造が施されていない。しかし、将来改造が行われば理想的なプラットフォームとなる。実際、エース・エアロノーティクスはN60FWを、胴体片側のスタブパイロンに外付けミニガンシステムと模擬空対地ミサイル2基を搭載し兵器化構成のテストベッドに使用していた。
ウクライナ軍が受領したブラックホークがN60FWまたはその同系機なら、オリジナルのUH-60Aより多くの改良が加えられている可能性がある。N60FWに搭載されたガーミンG5000Hコックピットはタッチスクリーン操作のフルグラスコックピットで、ウクライナのMi-8やMi-24に見られるアナログ計器よりはるかに高度なものだ。
N60FWの以前のコンフィギュレーションと比較して、現在確かに欠けているものとして、昨年まで機首下に装備されていたセンサー・ターレットがある。しかし、このタレットマウントはエース・エアロノーティクスが開発したもので、将来的にセンサータレットを取り付けることは十分に容易で、L3Harris WESCAMやFLIR Systemsなどエイビオニクスプロバイダーのタレットと互換性がある。
本誌はエース・エアロノーティクスとウクライナ情報筋に、同ヘリコプターの譲渡の詳細と、それで国防情報局の任務がどう支えられているか問い合わせた。ブラックホーク・シリーズのヘリコプターがウクライナに譲渡された、あるいは譲渡される計画については、これまで報告はない。
我々は過去に、ロシア領内に潜入して重要な標的を攻撃する特殊作戦部隊「シャーマン大隊」 Shaman Battalion など、ウクライナ国防情報局の活動について幅広く報じてきた。
シャーマン大隊の1人は、昨年7月の『The War Zone』インタビューで、「本当に重要なのは、優れたヘリコプターパイロットだ」と語っている。「必要なすべての詳細を考慮した、非常に正確で、非常に書き込まれた計画を持っている人たちです。彼らはスーパーパイロットだ。強く、知的で、非常にモチベーションが高い」。
低空飛行中のウクライナのMi-8ヘリコプター。Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images
こうしたヘリコプターパイロットの部隊配属は、明らかになっていない。特殊部隊任務の訓練を受けたウクライナ陸軍航空隊の乗員で構成されていたようだが、ブラックホーク、Mi-24の少なくとも各1機は現在ウクライナ情報局所属と思われ、軍から移籍した独自の航空隊員がいるようだ。
また、アゾフスタル製鉄所への補給に使われた16機のMi-8ヘリコプターを含む情報総局の任務についてもこれまで報告した。情報局長キーロ・ブダノフ准将Brig. Gen. Kyrylo BudanovがThe War Zone独占インタビューで語ったところによれば、ロシア軍の防空網と敵機によりヘリコプターの2機は破壊された。
ブラックホークは、米陸軍特殊作戦司令部での活躍で知られるように、特殊部隊の支援プラットフォームとして実績がある。中でも「ナイトストーカーズ」として知られる第160特殊作戦航空連隊(SOAR)は、大きく改良されたMH-60Mブラックホークを飛ばしている。
とはいえブラックホークが1機でも納入されたことは、ウクライナの軍事航空能力にとって大きな進展であることに変わりはない。キーウの同盟国から約40機のヘリコプターが提供されたが、これまではほとんどがソ連時代の機体でMi-8/17やMi-24が中心であった。欧米の軍用ヘリコプターはこれまで、ウクライナ海軍に旧イギリス海軍のシーキングを数機寄贈したのみである。
ウクライナは西側およびNATO標準の装備を採用したいとしており、ブラックホークは回転翼機近代化で当然の選択肢だ。このクラスで最も広く使用されている西側軍用ヘリコプターS-70/ブラックホークは、軍のストックだけでなく、エース・エアロノーティクスなどサードパーティサプライヤーからも豊富に提供されているし、ヨーロッパをはじめ、世界各地で使用されている。
そう考えると、ウクライナの格納庫にユニークな塗装のUH-60Aが登場したことは、同国の回転翼機の能力を高め、主にソ連時代の機体を置き換える大規模な取り組みの始まりである可能性がある。少なくとも、ブラックホークがウクライナの国防情報局の主要な機体となることは間違いない。■
UH-60 Black Hawk Unexpectedly Appears In Ukrainian Military Service
BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED FEB 21, 2023 3:01 PM
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