英海軍が大型空母二隻を整備する理由がよくわかりません。グローバルな打撃力を実現するとしてもF-35Bが12機程度しか搭載できないのであれば片手落ちでしょう。結局米海兵隊機材を搭載するのであれば図体は大きいのに中途半端な存在にならないでしょうか。むしろ艦を建造し運用は余裕がある同盟国に任せる賃貸物件のオーナーのような立場になるのでは。日本から見ればF-35B運用の実際を見てみたいところですがね。あらためて防衛力整備には強力な経済力が必要だと痛感させられますね。今後の日本が心配です。
USN
Royal Navy's New Supercarrier Trains Alongside Its US Counterpart For The First Time 英海軍新造超大型空母が米海軍と初めて訓練に加わった
The training mission off the coast of Scotland offers the first glimpse of future Royal Navy carrier operations. スコットランド沖合での訓練から英海軍の空母運用構想が垣間見えた
- 英海軍の新鋭超大型空母HMSクィーンエリザベスが随行艦とスコットランド沖合で多国間訓練演習の最終段階に入っている。同艦は米海軍USSジョージ・H・W・ブッシュ以下空母打撃群2(CSG-2)と行動をともにし、将来の二国間合同作戦のモデルを示している。
サクソンウォリアー2017演習とは
- 艦船15隻と6千名がドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国、米国5カ国から北大西洋に終結し8月1日サクソン・ウォリアー2017演習の幕が開いた。目的は各国間の海軍作戦の共同実施で目玉は空母二隻が参加したことだ。
- 空母2隻は随行艦、各国水上艦と対空、対艦、対潜戦の他飛行禁止区域の執行を想定した各種演習をこなしている。
- 小舟艇多数が襲撃してきた想定での防御策や、英米それぞれの補給艦が交代に洋上補給し相互作戦実施の効果を確認している。
空母は完成したが搭載機がない
- 空母での固定翼機運用はHMSアークロイヤル退役の2011年以来行っていない英海軍には空母運用訓練が重要でだ。小型ヘリコプター空母HMSオーシャンは2018年に退役する。だが両艦ともクイーンエリザベスや建造中のHMSプリンスオブウェールズに艦の規模、複雑さで劣る。
- 「米海軍の空母打撃群との指揮命令訓練を英本土近海で実施したいと思ってきました」と英海軍大佐ケン・ホウルバーグ(空母打撃群参謀長)が語る。「HMSクイーンエリザベスが今年後半に戦力化すると自前で空母打撃戦力が生まれます」
- 英海軍にはサクソンウォリアー演習で航空戦力を完全搭載した空母との共同訓練の機会が大きな意義となる。今のところクイーンエリザベスの航空戦力は不在だが、英空軍がユーロファイター・タイフーンを飛ばし航空戦力を提供した。
- 英国防省はあくまでもクイーンエリザベスは航空部隊と2026年までに完全戦力化すると説明している。しかし同艦の完全戦力の意味するところは明瞭ではない。War Zoneでは同艦が海上公試に出港した2017年6月の時点でこう説明している。
F-35B調達の行方
- 英国が調達規模を縮小する可能性は相当高い。2017年6月初めにタイムズオブロンドンは英空軍のF-35A調達費用を確保すべくF-35B調達は削減されると報じている。B型は48機に減るという。
- F-35Bが48機になるとクイーンエリザベスおよびプリンスオブウェールズで攻撃力が完全展開できなくなる。英海軍はまずB型42機を2023年までに運用開始し、空母に24機配備し、残り18機を訓練に投入するとする。
- 英空母はカタパルトや拘束装置がなく、スキージャンプと垂直着艦運用のためF-35Bに適化している。F-35B調達が予定通り進まないと英海軍に代替策がない。英海軍はアークロイヤル退役を機にハリヤー全機を用途廃止し米海兵隊が購入したため再活用は無理だ。共用打撃戦闘機がないまま英海軍要員はF-35の取扱い訓練を実物大模型で陸上で行っている。
英米共同運用に向かうのか
- 「当方はすば抜けて幸運です」と英海軍ジェイムズ・キャップス少佐(佐草温ウォリアー2017で海軍固定翼機作戦士官)はブッシュ艦上で語る。「ここジョージ・H・W・ブッシュにて今後の英空母打撃戦力の方向性が見えてきますし、米国がどんな体制になっているかもわかります」
- 英米間の軍事交流はクイーンエリザベスが戦力化し初の哨戒航海に出る2021年には通常のことになりそうだ。2016年12月に英海軍は米海兵隊F-35Bの英空母艦上運用で合意している。英米両軍の要員は相互に事前訓練したうえで共同運用に向かう。
英海軍の考える空母打撃群構想
- 2017年7月に英海軍の次世代フリゲートとなる26型シティ級の建造が始まった。同級は23型デューク級に交代することになる。
- 新型フリゲート艦に45型ダーリング級駆逐艦が加わり将来の英空母打撃群を構成する。残念ながら隻数が不足し空母打撃群の遠征作戦の支援がむずかしい。米海軍の空母打撃群では少なくとも誘導ミサイル巡洋艦一隻、誘導ミサイル駆逐艦二隻ないし三隻さらに高速攻撃潜水艦一隻以上が加わる。補給艦を必要に応じて呼び寄せる。
- サクソンウォリアー2017ではデューク級HMSアイアンデューク、HMSウェストミンスターの二隻がクイーンエリザベスに加わっている。この二隻だけで23型フリゲートの6分の一に相当する。
- このため英海軍が米海軍に空母打撃群の共同運用を提案する可能性は十分あり、自国水上艦艇の負担を軽減するはずだ。その他同盟国にも自軍艦艇を提供する動きがある。演習の広報写真撮影でクイーンエリザベスは米海軍のジョージ・H・W・ブッシュと並列航行し英海軍のその他水上艦とタイコンデロガ級巡洋艦USSフィリピンシー、アーレイ・バーク級駆逐艦USSドナルド・クック、ノルウェー海軍フリチョフ・ナンセン級フリゲート艦HNoMSヘルゲ・イングスタッドも加わった。
- サクソンウォリアーは8月10日に幕を下ろすが、クイーンエリザベスはその後ポーツマスに母港を移し今月末まで留まると英国防省は発表している。その後さらに海上公試を行い、2018年中に艦隊に編入される。
- その時点になれば英海軍が新編成空母打撃群の運用方針が判明するはずだ。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com
軍事力としては英国海軍の寄与出来る能力はたかが知れていますが、しかし政治としては米国同調して、共同の作戦を展開する事は意味があるのでしょう。ただ英国としてはアメリカに恩を売りたいのかもしれませんが、あまりに過小な恩では・・
返信削除