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低出力核兵器による新しい抑止力効果に期待する米軍



8月になると核兵器を巡る話題が増える日本ですが、戦争と天災を同様に受け止める日本人の感性では現実世界の核兵器の意義は理解不能です。ここでいうミニ核兵器も日本の良識では非人道的かつエスカレーションにつながる手段としてほぼ全員が排斥するのではないでしょうか。しかし相手側はそんな情緒的な対応は皆無で力による平和、自分たちの正当化を進めてきます。70年間以上も大戦が発生しなかったのも核兵器の抑止効果であり、抑止手段も多様化していいのではないでしょうか。広島、長崎の原爆投下で戦争終結が実現したという主張に日本は反発しますが、ここは現実を見直した方がよくないですか。

A depiction of what a 20 Kiloton bomb would do to Washington, DC
  1. 統合参謀本部副議長によれば低核出力兵器が将来の抑止力に必要だという。
  2. 将来の核兵器は大型で大破壊力よりも小型戦術用でも脅威となる方向に向かう。米空軍は「核出力調整型」爆弾の研究を始めており、ダイヤルひとつで近隣地区からもっと広範囲まで爆発範囲を変える方法を模索している。
  3. 空軍には低核出力に調整できる落下式爆弾がすでにあり、20キロトン未満の爆発効果を得られる。ワシントンDCの中心地に落下すればジョージタウンやフォッギーボトムに直撃効果は生まれない。だが300キロトン弾頭を搭載したミニットマンIIIミサイルだとワシントン中心部全体が壊滅するのみならずヴァージニア、メリーランド両州で第三種火傷の被害者が生まれる。
  4. 冷戦下のワシントン、とくにモスクワは核爆弾は大きければ良いと考えてきた。核出力が大きければそれだけ破壊力が増えるからだ。この考えでソ連は史上最強の爆弾、ツァーボムバ(100メガトン)を実際に製造しており、ワシントンDCに命中すればボルティモアまで全滅できた。
  5. だが核抑止力の将来は小型核兵器にあり、実際に使用することもありうると空軍大将ポール・セルバ統合参謀本部副議長がワシントンのミッチェル研究所主催イベントで講演した。相互破壊保証方式ではソ連相手の場合のような抑止効果は生まれないとセルバ大将は述べ、世界最後の日とまでいかずとも無差別大量殺戮も発生させなずに核攻撃を実施する能力が必要と主張した。
  6. 「低核出力攻撃を受ければこちらに対応できる兵器は核兵器しかない。通常兵器で対抗したら抑止効果は低くなり、『そちらが低出力兵器を使えばこちらも対抗するぞ』との脅かしが空虚に聞こえる。選択肢が大統領が受け入れられないような無差別大量殺戮を生む高核出力兵器しかなかったら、核攻撃に対応するオプションが提示できなくなる」
  7. 米国は核兵器の全般的近代化に取り組んでいるところで、新型ICBMの性能要求をとりまとめている。昨年12月に国防科学委員会がペンタゴンに対し低核出力、出力変更型再突入部を将来のICBMに採用すべきと提言している。セルバ大将は空軍の結論はまだ出ていないと当日述べた。
  8. だが議会内批判派はこのような兵器が出現すれば安全保障上マイナス効果しか生まれないと主張する。
  9. 「低核出力兵器の研究提案は実際の製造に向けた第一歩に過ぎない」とダイアン・ファインスタイン上院議員(民、カリフォーニア)が2月にRoll Callに語っている。「以前もこのような無分別な提案に反対してきましたが今回も使える手段はすべて使って反対します」
  10. 「限定核戦争というものは存在しないし、ペンタゴン諮問機関がそんな提言をするのは困ったこと」という同議員の主張は戦術核兵器全般への猜疑心と聞こえる。
  11. だが戦闘で超小型核兵器の利用を検討するのは米国だけではない。ロシアは今も超大型核威力兵器を保有しているが、同時に小型「戦術」兵器を演習で使ったと自慢している。また核を先制使用しないと公言していない。NATOが東ウクライナの親ロシア勢力を攻撃すれば低核出力核兵器の投入をロシア国会が脅かしてきたこともあった。
  12. .北朝鮮は水素爆弾のテストに成功したと昨年発表し、15千から50千トンの間の威力としたが、地下実験の解析では10キロトン未満で通常の核分裂爆弾と大差ないとわかっている。
  13. アメリカ科学者連盟の核情報プロジェクトを率いるハンス・クリステンセンは「回答が出ていない疑問が多々ある。どうして低出力弾頭が弾道ミサイルに必要なのか。既存の弾頭で不可能な攻撃とは何か。核爆発力が大きすぎるから大統領が自粛するか、相手方が有利な状況でこちらに低出力兵器がないと抑止効果が下がるのか。また既存装備でリスクを低く抑えられない理由は何か。疑問はたくさんありますが、答えは皆無に近い」と述べる。■

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