スキップしてメイン コンテンツに移動

★中国経済はいつ破たんするのか



中国経済の破たんを期待する向きは中国経済そのものが虚構であり、成長の持続は不可能と見ているのではないでしょうか。ある程度それは正しいのですが、ではXデーが来ないのはなぜでしょう。もちろん中国経済の大恐慌を歓迎する経済セクターはないわけですが、軟着陸も不可能と思います。世界秩序を乱す中国の動きを止めるには中国経済の破たんが有効ですが、ことはそんなに簡単ではないでしょう。まず経済事象を冷静に外部から見ていくことが肝要ですね。
U.S. Dollar and China Yuan notes are seen in this picture illustration June 2, 2017. REUTERS/Thomas White/Illustration

How Long Can China Ignore Its Growing Debt Pile?

中国はいつまで増え続ける債務の山を無視したままでいられるのか

July 28, 2017

.
  1. どの四半期でも中国発表の国内総生産は政府予想と完璧に一致する。世界第二の経済規模の中国の問題は債務増加が止まらない中で改革施策は国家主席の政治的野心のため後回しにされたままになっていることだ。
  2. 中国国家統計局によれば今年第二四半期のGDPは前年比6.9パーセント増でアナリスト予想の6.8パーセントを上回った。成長率は第一四半期と同様で工業製品出荷高(7.6%増)、固定資産投資(8.6%増)、小売り販売(11%増)が支えた。粗鋼生産は記録更新で、消費が今年上半期GDP成長の63パーセントを占め内需主導経済への切り替えを助けた形だ。
  3. 中国政府は2017年の年間経済成長率を6.5パーセント程度に定めており、秋に開催される全国党大会を前に習近平の地位は安定する。次回大会では習近平の任期を5年間延長する見込みで国家政策担当部門は経済成長の維持で社会的安定を図ることに躍起だ。
  4. ただしインフラの多くが人口まばらな西部砂漠地帯で、「どこにもつながらない橋」に政府支出が増える中、財政赤字はGDP比260パーセントを突破した。
  5. 社会支出に加え国債発行がある。中国の国債発行額は6月に15パーセント増加し5月の15.3パーセントに次いだ。6月の中国国内銀行の新規貸し出しは1.5兆元(2,270億ドル)で前月の1.1兆ドルを上回り、住宅価格の上昇につながっている。
  6. 不動産の全国平均価格が第二四半期で前年比16パーセント上昇したのは中小都市での上昇が大きい。ただし今や不動関連支出より食品酒類支出が大きくなっており、今後の住宅価格上昇で消費者は我慢を強いられそうだ。
  7. 「特筆すべきは今回のGDP成長が信用と固定資産投資で支えられている点です」と分析するのはクリストファー・ボールディング北京大学HSBCビジネススクール准教授でブルームバーグに語っている。「議論ばかりで中国の成長モデルは全然変わっていません」
  8. 「公式発表のGDP統計と当方の独自の経済活動指標の双方が成長の持続を示し、第三四半期にかけて減速の兆候は見えません」とキャピタルエコノミクスは述べるが同社はこれまで中国のGDP統計の中身を批判していた。「財政リスクを抑える政府の動きが経済成長に影響を出し始めるのは時間の問題と見ています」
  9. 5月にはムーディーズ投資機関向けサービスが中国の信用格付けをほぼ30年ではじめて引き下げたのは、債務増加の懸念が理由だった。
  10. 「引き下げは中国の財政余裕がこれから減少するとしているためで債務増加で経済成長が減速すると見るためです。改革が進めば経済財政構造が変化するはずですが、全般的債務そのものの上昇を食い止めるまでに至らず、政府の臨時債務は逆に増えるでしょう」ムーディーズ)
  11. 中国政府は引き下げに反論し「決定方法が不適格」としている。中国財務省報道官はムーディーズが「中国経済の困難を過大評価しながら中国政府によるサプライサイド構造改革努力さらに国内総需要の緩慢な拡大策を過小評価している」と批判した。
  12. ただしキャピタルエコノミクスのマーク・ウィリアムズによれば最近の中国経済の成長は「ゾンビー」企業の存続のため信用を緩く認めていることで支えられているのであり、新規産業の支援はあとまわしだという。2008年の世界金融危機の前の先進各国と同様の状況で、中国が銀行の不良債権救済策を取らざるを得なくなれば成長全体に大きな悪影響が出る。
  13. 住宅価格の低下が始まれば、建設企業デベロッパー企業は借入返済が困難となり、銀行に悪要因が増える一方で多額債務を抱えた消費者は支出を控えるだろう。
  14. 習近平は財務関連会議の席上で政府の優先順位は「財政セクターのシステム的リスクを抑えることと政府部門では国営企業の債務を減らすこと」と述べたとウォールストリートジャーナルが伝えている。
  15. ただしNational Interestが前に伝えたように中国の債務上昇に減少の兆候はなく、一方で政府は一帯一路のような野心的な支出事業に乗り出している。
  16. 国際通貨基金予測では中国の今年のGDP成長は6.7パーセントだが2020年にかけて6.4パーセント成長に減速する。この目標達成には市場の経済力が今以上に重要となり、政治的に触れたくない国営企業の改革は避けられない。中国政府がこの課題にこれまで及び腰だったのは国民の不興を買いたくないためだった。
  17. 2008年不況を予測できなかった信用格付け機関はムーディズだけでなかった。今回の中国格下げは過去から学んでの結果だとしても中国政府も教訓を得ているだろうか。
Anthony Fensom, a Brisbane, Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries. You can find him on Twitter: @a_d_fensom.
Image: U.S. Dollar and China Yuan notes are seen in this picture illustration June 2, 2017. REUTERS/Thomas White/Illustration.

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ