スキップしてメイン コンテンツに移動

★★朝鮮戦争2.0開戦の兆候はこう読み取れ





開戦は近づいているのか遠ざかっているのか。今の段階は政治上のレトリック合戦ですが、以下指摘するような事象が認められれば開戦はまじかでしょう。北ICBM実験を迎撃する構想は面白いですね。事前警告の上実施すれば先制攻撃にならないでしょうが、失敗のリスクが怖いのも事実なのでしょう。

Korean War 2.0? The Signs To Watch

これが朝鮮戦争2.0の兆候だ

 By MARK CANCIANon August 15, 2017 at 1:45 PM

グアム島周囲にミサイル四本を打ち込むぞと脅かしをかけた北朝鮮の太っちょ指導者金正恩は今日になって一歩引き下がったようだ。北朝鮮通信社が以下すばらしいツイートをしている。「卓越した将軍様金正恩は米植民地グアムに執行猶予を海中生物の懸念を理由に与えることとしたがロサンジェルスの運命は未定のままだ」
LAは北の脅威にさらされたままのようなので以下戦略国際研究所のマーク・カンシアンによる優れた原稿を掲載し、開戦の兆しの読み取り方をお伝えすることとした。編集部
ランプ大統領と金正恩の言葉の応酬から開戦が近づいているとの観測が強まっている。
ただし戦争は可能性が低いようだ。在韓米軍はじめ太平洋各地の米軍は平時体制のままだからだが、本当に戦争が近づいてきたらどうやってわかるのだろうか。
情報機関は攻撃の兆候と警戒(I&W)を見逃さないと目を光らせている。機密情報に触れる資格がない私たちは開戦が近づく様子はどんな形のI&Wとしてあらわれるのか。以下は過去の米国における戦闘前準備から引き出した要注意事象のリストで、1991年の砂漠の嵐作戦、1999年のセルビア内戦、イラク侵攻(2003年)に加えOPLAN5027と呼ばれる朝鮮半島内戦闘構想で判明している事柄をまとめた。
いかなる紛争の前にも五種類の行動が先行する。最初が外交攻勢で北朝鮮対抗連携を形成する。政治的団結を示す声明文を出すことが米国内の支援とともに国際的に理解されるため必要だ。近年の軍事衝突ではいずれも何らかの形で軍事連合が成立しており、各国をつなぐ目に見える努力が米国には必要だ。
韓国国内で休暇を取り消され配置先に呼集される隊員が増えれば開戦はまじかだろう。海軍部隊が増強され、太平洋上の配備が延長されたり、あらたな派遣艦船が増える。
韓国内に暮らす米軍属20千名は国外退去が必要となる。米国は韓国に60年以上駐留する間に学校、売店ふくむ地域社会そのものを持ち込んでいる。これを閉鎖するのは目立つ。最後に北朝鮮の対応への準備態勢がある。このうちミサイル防衛の強化があり、ペイトリオットミサイルとTHAADが陸上で、海上では海軍が弾道ミサイル防衛艦の配置地点を変更するはずだ。また韓国民間防衛拠点の活動状況も目に入ってくるはずだ。
軍事衝突の種類でI&Wも変わる。
空戦: 理論上米韓連合軍は開戦と同時に北朝鮮の標的を空爆・ミサイル攻撃するはずだ。米軍は韓国に100機を待機させており、韓国空軍には戦闘爆撃機が500機以上あるので相当の戦力だが第五世代機は皆無だ。米軍は日本にトマホークミサイル運用可能な艦船を配備しており、ミサイル攻撃はシリアの例のように事前警告なしではじまるかもしれない。艦船は日本が攻撃対象にならないよう日本近海から離れた地点まで進出の必要がある。
しかしながらこの攻撃は繰り返し実施できないことが多い。備蓄に限度があることと一部標的は強固かつ隠蔽されたりミサイルでの破壊が困難だからだ。このため航空機による反復攻撃が必要となる。米軍はステルス機を開戦段階で投入しリスク最小限で敵防空網を撃破することが多い。そうなるとF-22が米本土から移動すればすぐわかるはずだし、海兵隊のF-35Bが揚陸強襲艦へ移動するのが開戦近しと分かる目安になる。
B-2爆撃機を朝鮮半島上空に飛ばす必要はないだろうが、平時はホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)から長時間をかけているのでグアムまで前方配備され移動時間を短縮することはありうる。が、奇襲効果を上げるべく投入されるかもしれない。
核攻撃:米国が核兵器を投入するとしたら北朝鮮の使用後に限られるはずなのでその動静で開戦は占えない。米国が核兵器を使うとすれば無警告発射となるだろう。核兵器は奇襲攻撃を受け迅速投入する前提だからだ。ただし条件はロシア、中国が米国の核攻撃を自国に向けたものと誤解しないことだ。このため、ICBMを米本土から発射する可能性は少なく爆撃機を使うだろう。その場合米本土を発進させるはずで外部から兆候を知ることは困難だ。
ICBMの迎撃破壊:北朝鮮のICBMテスト発射を撃破する可能性を専門家が検討しているのは北朝鮮本土を攻撃せずに金正恩の核開発をとん挫させられる効果があるからだ。その場合に韓国内配備のTHAADを使う可能性は低い。韓国から攻撃を加えたと北がとらえる危険があるためだ。かわりに弾道ミサイル迎撃能力のあるイージス駆逐艦を使うだろう。米海軍の駆逐艦の半数がこれに該当する。駆逐艦は北朝鮮沿海を遊弋しICBM発射の瞬間を待つ。北朝鮮の行動を予期し護衛部隊をつける。(1968年に発生したUSSプエブロ捕獲事件はいまだに米海軍の悪夢であり、北朝鮮沿岸で単独行動は許されない。)国際公海上に位置するため米海軍は自由に艦船を進出させられるが、艦船数隻の行動や出港準備は通常と違うと受け止められるはずだ。
全面的侵攻あるいは防御: 全面戦となると50万名の米軍兵員が北朝鮮を攻撃することとなり事前準備が相当必要となり目に入ることとなる。その場合の行動の一部は以下の通りだ。
  • 空輸輸送機の活動が増える:C-17、C-5あわせ270機が遠距離空輸用にあるが韓国への配備用に普段使わない機材が現場に呼び戻される。
  • 事前集積物資の出荷:米軍は戦闘継続用の物資を海外各地の貯蔵施設や艦船に備蓄しており緊急時に迅速な供給を狙う。このうち韓国内の物資は多数が大邱の集積場にあり、到着部隊用に払い出しが忙しくなる。事前集積船はグアムに停泊することが多く、韓国へ向け出港するはずだ。
  • 予備役の呼集:ベトナム戦終結後の米陸軍は方針を変え第一線部隊を多数とし、支援部隊を予備役に回している。当時の陸軍参謀長エイブラムズ大将はこれを意図的に行い将来の戦闘で予備役隊員の平時の生活を中断する政治的に微妙な措置を大統領が確実に行えるようにしたのだろう。このため師団規模以上の作戦遂行となると陸軍は一部予備役も呼集することになり、大規模戦になれば数十万名が呼集されるかもしれない。
  • 筆者の考える先行事象はこれだ:戦争捕虜を扱う警務隊。捕虜対応を任務とする部隊が展開しても敵を怯えさせる効果はないが実際の戦闘開始に備えて必要な措置だ。米陸軍には警務旅団二個が予備役部隊として準備されている。第300および第333警務旅団だ。
結論:米軍事行動は始まるだろう。(北朝鮮の動きは予測不可能) そのため上記を参考に報道を追ってもらいたい。上記のI&Wのいずれかが目に入れば、緊張して注意すべきだ。そうでなければ安心してよい。■


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...