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北朝鮮が核兵器を投入する四つのシナリオ


核シリーズの今回は現実問題です。北朝鮮の存在を抹消したいと考えるイデオロギー対応ではなく、現実を見て金正恩の欲しいアメを与えればよいという趣旨ですが、これでは永遠に日本は北朝鮮の核兵器を意識して生きていくことになり、受け入れられないと考える方も多いかもしれませんね。それがイデオロギー教条的態度です。どちらにせよ今後の朝鮮半島情勢からは目が離せませんね。

North Korean leader Kim Jong Un meets scientists and technicians in the field of researches into nuclear weapons in this undated photo released by North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) in Pyongyang March 9, 2016. REUTERS/KCNA.

4 Frightening Ways North Korea's Nuclear Weapons May Actually Be Used 北朝鮮が核兵器使用に向かう4つの恐ろしい可能性


August 5, 2017

  1. 金正恩がまた動いている。ICBMを再度発射し、米国を挑発する言葉の攻撃を加えた。にもかかわらず米国および同盟国は今のところ北朝鮮の核攻撃を受けていない。金正恩は冷静な演技者であり、すべてはひとつの目的すなわち自らの生き残りのためだ。米国あるいは同盟国を核攻撃すれば報復核攻撃を受けるか政権転覆につながる侵攻を受けるのは必至だ。National Interestでロバート・ケリーが言うように「平壌は攻撃に踏み切っても得られるものがないのを承知している」のだ。
  2. だからといって世界が北朝鮮の核攻撃から安全であることにはならない。同国が核兵器投入に踏み切るシナリオ4つが想定できる。外部侵攻、国内騒乱、原子力事故、テロリストによる入手だ。
シナリオ1 外部侵攻
  1. 金正恩が核兵器使用をためらうのは高い代償のわりに得られる結果が少ないためだが、トランプ政権が軍事行動で反応すれば情勢は一気に変わる。金正恩は権力基盤とともに自身の生命が危険になったと判断し核兵器投入を決断する。攻撃軍に対する最後の手段として使い、軍装備を壊滅させるとともに政治的意思の減衰を期待するか、敵国本土への報復として使うだろう。
  2. だが金正恩が果たしてこの通りに行動するか測りかねる。近年の介入事例ではサダム・フセインを放逐した米国、ムアマ・カダフィを退位させたNATOがあるがともに攻撃対象の政権は大量破壊兵器を数年前に廃棄していたからだ。もしそのまま保有して自らの最後が来たと知れば核兵器を使っていただろうか。答えはわからない。
  3. そこで第二次大戦末期を見るとアドルフ・ヒトラーが敵に圧倒された場合に占領地多数の自軍に破壊命令を(通常兵器でだが)出している。そのうち二例が有名だ。パリを「がれきの山に」変える、ワルシャワを「まっ平に」する命令を出しいる。ヒトラーは連合軍の進軍を遅らせる効果があると考えたのだ。またドイツが確保できないのなら地球上から消してしまえばよいと考えた。破壊を命じても連合軍の報復は受けないと考えた。
  4. パリの現地司令官はナチ党員でなくヒトラーの精神状態を疑っていたので命令を無視した。ワルシャワではイデオロギーに忠実なSS高官が司令官で命令を執行し、ワルシャワ市街を破壊し150千名から180千名が死亡した。北朝鮮では軍部隊が政治的に洗脳されており、政権に服従しているので金正恩の命令を受けた指揮官はワルシャワと同じ行動を採るだろう。
シナリオ2 国内蜂起
  1. 北朝鮮国内が反乱状態となると金正恩の理性も消える。極度の治安締め付けで国内蜂起の発生はきわめて考えにくいが一度起これば金正恩も最悪の可能性と直面せざるを得なくなる。深刻な危機であり核兵器投入もやむなしと考えるかもしれない。対象は反抗勢力の国民あるいは外部で反乱を支援支持する対外勢力になるだろう。
  2. 国内騒乱の鎮圧に核兵器を使った国はないが、他の大量破壊兵器なら使用実績がある。サダム・フセインは1988年と1991年の二回にわたり自分の統治を脅かす反乱勢力に化学兵器を投下している。もっと最近ではシリア内戦でバシャー・アルアサドが数回にわたり反乱勢力に化学兵器を使っている。金正恩政権はさらに狂信的であり自国民あるいは国外の支援勢力への核兵器投入をためらわないかもしれない。権力基盤が挑戦を受ければこう決断してもおかしくないのだ。
シナリオ3 原子力事故.
  1. 逆に北朝鮮が意図しない形で核兵器を発射・爆発させる場合が想定される。同国の核開発の歴史は浅く他の核運用国との交流を避けてきたため原子力安全措置が危険なほど未発達である可能性がある。このため核ミサイルを発射し核弾頭がハードウェアあるいはソフトウェアの不具合で勝手に爆発する可能性がある。事態を悪くしているのは北朝鮮が核兵器、弾道ミサイルを増産しようと非常に急いでいることだ。国家が核武装をどんな犠牲を払っても進める姿勢の場合、核・ミサイル双方で安全措置に目をつむる可能性がある。開発ペースを落として安全措置に留意するようにならないかぎり、弾頭やミサイルの事故は発生して当然だろう。.
  2. 別の可能性は北朝鮮の早期警戒システムが無害な飛行物体を巡航ミサイルと誤認識し核兵器による対応を選択することだ。核大国もこのような誤謬を経験し、現場の判断、勇気、個々人の対応で乗り切ってきた。例として1983年にソ連は飛来するICBMと思われるもの5発を探知、緊張下で現場指揮官は探知内容は間違いと判断した。なぜなら米国による攻撃なら5発だけのはずがないからだとした。その判断は正しかったのだが、そこまで考えずにイデオロギーに忠実な指揮官だったら、ミサイル攻撃が迫っていると報告し、報復攻撃を進言していたかもしれない。北朝鮮の専制主義的傾向を考えると早期警戒システムの画面をそのまま解釈する可能性が高く、ソ連指揮官のような分析判断力は期待できない。そうなると北朝鮮が勝手に攻撃と判断し核ミサイル発射に移る可能性がある。このリスクは北朝鮮政権が偏執狂的に外部世界を見ることで高まり、偶発的に核兵器を起動する可能性は大いにありうる。
シナリオ4 テロリストが入手したら
  1. 最後が北朝鮮の核兵器をテロ集団が入手する場合だ。金正恩政権は通常兵器でブラックマーケットの大口売り手だ。ミサイル部品や核技術も同様で核爆弾完成品でも高値がつけば平気で売るだろう。そこにテロ集団が入ってくる。北朝鮮が経済不振や農作物不作に直面すれば売却をためらわないのではないか。核セキュリティ状況をまとめた2016年版報告では核兵器盗難防止など北朝鮮体制を100点満点で38点としている。米軍が北朝鮮核施設を空爆すれば逆効果になる可能性がある。北朝鮮の核貯蔵施設の保安体制も破壊してしまい、核装置が盗難紛失しやすくなるからだ。
  2. 北朝鮮核兵器をテロ集団が入手すれば事態は深刻だ。テロ集団に理性は期待できず国家より行動予測がむずかしい。またテロ集団は行動にも制約が少ない。その例がオウム真理教で最終決戦の日が近いと信じ込み大量破壊兵器を敵に投入した。このカルト集団は世界の終末が近づいており、化学兵器・生物兵器を使用したが、核兵器の取得もめざし、入手していれば使用をためらわなかったはずだ。テロ集団が北朝鮮から核兵器を入手すれば使用をためらうとは思えない。
言外の意味
  1. 米国にとって冷酷な事実は北朝鮮に核兵器があり、各シナリオで投入が想定されることだ。
  2. 受け入れがたいと思うが米国の最良の選択は北朝鮮を核保有国と認め上記シナリオが現実にならないよう同国にはたらきかけることだ。その過程で金正恩に対して米国が北朝鮮を侵攻せず、国内外の反抗勢力を支援することもないと保証することになろう。また中国、ロシアを介して同国と共同作業することになるかもしれないが核兵器の安全体制を引き上げる効果が高まればよい。また合法的チャンネルで同国経済の振興に手を貸せば北朝鮮が急に経済不振や自然災害にあって核兵器をテロ集団に売却するリスクも減るはずだ。
  3. 国務長官レックス・ティラーソンが金正恩に対して出した最近の声明では「米国は政権転覆を求めず、政権崩壊を求めず、半島の再統一を急いで求めず、38度線より北に兵力を送る言い訳を求めず、...米国は貴国の敵ではなく、貴国の脅威でもない」としており、正しい方向に向かう兆候が感じられる。北朝鮮を核保有国ではないと否定する代わりに米国は同国をより安定し安全かつ保安体制の取れた核運用国にするのを助ければ、同国の核兵器の脅威度が低くなるはずだ。■
Francis Grice is an assistant professor of political science and international studies at McDaniel College in Maryland. He has a Ph.D. in defence studies from King’s College London (2014) and recently co-edited the Palgrave Handbook of Global Counterterrorism Policy and the Future of U.S. Warfare. He specializes in Asian Security Studies and International Relations. More of his work can be found here.
Image: North Korean leader Kim Jong Un meets scientists and technicians in the field of researches into nuclear weapons in this undated photo released by North Korea's Korean Central News Agency (KCNA) in Pyongyang March 9, 2016. REUTERS/KCNA.

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