レイルガン、レーザーより今回お伝えするレーダー性能の向上は大きな要素になります。ベイスライン9の先を行く10も登場しました。次期イージス艦はますます威力を増しそうです。日本での登場は米海軍と何年か開きが出るはずでそれまでに技術も成熟化するはずですから楽しみですね。NIFC-CAは日本に必要なのか当方は理解できないのですが。一から日本が作れば相当の費用がかかるので使用料を払っても使わせてもらえば米海軍にも有益でしょうね。アーレイ・バーク級は近年まれにみる量産艦となり、途中の技術進歩をうまく取り入れていますね。
Navy Finishing Design for New Guided Missile Destroyers
米海軍の新型誘導ミサイル駆逐艦設計が完了に近づいている
- 米海軍は新型誘導ミサイル駆逐艦の設計をほぼ完成させた。ハイテク艦としてレーザー、レイルガンの他に高性能レーダーで敵の対艦ミサイルへ現行の二倍の距離から対応可能となる。
- 海軍海洋システムズ本部(NAVSEA)関係者がScot WarrorにDDG-51フライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦の設計作業がほぼ完成したと伝えてくれた。就航開始は2020年代になる。フライトIII艦は22隻を建造予定であると海軍の技術文書からわかる。
- 新型駆逐艦では高性能センサー、兵装、防御装置、レーダー技術を盛り込み脅威対象の進展に歩調を合わせ米海軍の技術優位性を維持させるのが狙いだ。
- 「DDG-51フライトIIIは91パーセントの設計が完了しており、建造開始までに完成する予定です」(NAVSEA広報官)
- 際立つのが新型高性能レーダーで現行のフライトIIA艦以降の技術進歩を取り入れる。システムの要が艦載イージスレーダーであり、宇宙空間から大気圏に突入する弾道ミサイルを長距離探知するとともに接近する対艦巡航ミサイルをあわせて探知するのが役目だ。
- 海軍はレイセオン製AN/SPY-6(V) レーダーをまず三基発注しており、メーカーによれば現行装備より35倍強力になる。探知距離も二倍に伸び、現行装備で対応可能な大きさの半分も探知対象となる。
- AN/SPY-6(V)はミサイル防衛レーダー(AMDR)とも呼ばれ、複数目標を同時に探知識別できる。NAVSEAはシステム機能審査まで終えており、イージスのベイスライン10とソフトウェアへの統合を待つ状態だ。
- ベイスライン9でも同時交戦能力の実現が可能と確認できたとNAVSEAは言う。
- 交戦シミュレーションで新型レーダーでは対空戦、対弾道ミサイル戦で「トラックループ」と呼ばれる問題を解決する。この処理では生レーダーデータとして処理することでトラックループを狭めて標的を確定する。
- 海軍の既存デュアルバンドAN/TPY-2レーダーからソフトウェア技術を流用してレイセオンが開発を加速化した。
- AMDR用ソフトウェアではレイセオンは「迅速化」処理したと説明しており、技術進歩に対応して技術も順次対応させていくことでで既存技術を将来の装備にうまく統合できるという。
- AN/SPY-6技術は拡張性を最初から想定しており、重要設計審査段階を通過しているので、AMDRは強襲揚陸艦、巡洋艦他にも搭載可能となった。
- レイセオンはAN/SPY-6は初の拡大縮小対応レーダーであり、ブロック構造になっていると説明。レーダーモジュラーの編成を変えれば各サイズのレーダー装置に変えることが可能で現行装備より自由に大きく(小さく)できる。
- 「冷却、電源、管制ロジック、ソフトウェアの各部分も拡張可能な設計ですので既存DDG-51各艦に後付け搭載可能なほか航空母艦、巡洋艦はじめ各艦でも同様です。高額なレーダー開発費用は都度不要となります」(レイセオン)
- 新型レーダーでは化学成分ガリウム窒素半導体技術により高周波で高出力がさらに増幅でき、ガリウムひ素を使う既存レーダーより遠距離探知が可能となるとレイセオンは説明。
- レイセオン技術陣によればガリウム窒素で小型化しても十分強力な探知が可能でDDG-51に搭載可能すれば重量軽減とともに消費電力も下がるという。ガリウム窒素は逆電圧が高くなるので出力密度も高くできる。
- AN/SPY-6によりフライトIIIのDDG-51駆逐艦は現行のAN/SPY-1Dレーダーより広範囲の防空体制が実現する。
- AN/SPY-6は部品単位で簡単に修理可能で、回路数が減り、低単価部品が採用されている。AMDRでは同時にソフトウェア更新へ依存度を高めているので予備部品保管も少なくてすむ。現在のところAMDR用ソフトウェアは予定通りの完成度になっている。
- ただし冷却性能が従来より強力に必要となり電源も強化する必要がある。
- 電源では艦内で1キロボルトDC電源をAMDR用に確保するのが目標だ。DDGフライトIII艦ではロールスロイス製タービンエンジンをDDG-1000向け仕様と同じものを搭載するが燃料消費で改良が加わる。
- AMDRには特別の冷却機能が追加される。海軍は新型300トン冷却プラントを開発中でこれまでの200トンプラントより強力にする。
- DDG-51フライトIIIでは海軍統合火器管制防空装備NIFC-CAの性能を拡張する。同装備は搭載が始まっているが、艦載レーダーを航空機センサーと接続し、接近中の敵対艦巡航ミサイルを水平線越しに探知し、必要に応じSM-6ミサイルで迎撃撃破するものだ。
- 海軍開発部門によればNIFC-CAで迎撃ミサイルの作動範囲が広がるのと同時にセンサー有効範囲も伸び各種センサーを組み合わせた総合効果を火器管制に生かせる。
- NIFA-CAは統合防空・ミサイル防衛体制を構成しベイスライン9のイージスシステムを搭載したDDG-51各艦で導入と試験が始まっている。■
- Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com.
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