The U.S. Navy's Ultimate Weapon: Hypersonic Missiles Fired from a Submarine
米海軍の究極の兵器は潜水艦発射の極超音速ミサイルだ
November 11, 2017
米海軍が極超音速ミサイルの初テストを実施した。
- 発表したのはテリー・ベネディクト中将Vice Adm. Terry Benedict、戦略装備整備事業Strategic Systems Program(SSP)のトップで毎年恒例の海軍潜水艦連盟シンポジウム(ヴァージニア州アーリントン)の席上だった。「月曜日深夜0300時にハワイ(太平洋ミサイル実験場)から米海軍初の通常弾頭攻撃ミサイルを発射し、上層部が決定すれば将来はオハイオ級潜水艦に装備されることになる」とU.S. Naval Institute Newsが伝えた。
- ベネディクト中将はテストの詳細を一切明らかにしなかったがUSNI Newsの照会にペンタゴン報道官が以下回答した。「海軍の戦略装備整備事業(SSP)として中距離通常弾頭迅速攻撃飛翔実験 Intermediate Range Conventional Prompt Strike Flight Experiment-1 (CPS FE-1)を2017年10月30日に太平洋ミサイル実験場のあるハワイ州カウアイから行った」「テストで極超音速加速滑空技術と航続距離を試す長距離大気圏内飛翔を行った。データは国防総省による地上テストの基礎として極超音速飛翔体のモデリング、シミュレーションに使い、通常迅速攻撃 Conventional Prompt Strike (CPS)の概念の範囲を定めるのに使う」(パトリック・エヴァンス中佐)
- 極超音速ミサイルの定義はマッハ5から10で飛翔することだ。時速3,106マイルから15,534マイルの間で、秒速5マイルとなる。中国、ロシア、米国が極超音速技術の実用化に注力しており、その他国も程度は劣るがやはり実用化を目指している。
- 極超音速ミサイルには基本形がふたつある。ひとつは極超音速滑空体(HGV)でロケットで大気圏に放出し標的まで高度40千メートルから100千メートルの間を滑空する。もうひとつは極超音速巡航ミサイル(HCM)で飛翔中はロケットあるいはラムジェットを作動させる。
- 米国は両方の開発を目指している。極超音速空気取り入れ式兵器構想 Hypersonic Air-breathing Weapon Concept (HAWC) はDARPAと米空軍共同事業でHCMの開発を目指す。戦術ブースト飛翔 Tactical Boost Glide (TBG)もDARPA-米空軍共同でHGV技術の実現をねらう。
- 米海軍のテストは後者でベネディクト中将が指摘するように通常兵器による即時グローバル攻撃能力(CPGS) の実現をめざし、世界いかなる場所も一時間以内に精密攻撃する能力を目標とする。CPGSの登場は2001年の核兵器体制検討報告(NPR)にさかのぼる。その時点から国防総省(DOD)及び各軍が実現に向け各種技術を模索してきた。
- 米海軍は2003年ごろは潜水艦発射式中距離弾道ミサイル (SLIRBM)でCPGS機能を実現することをめざしていた。この事業は議会が予算を打ち切った2008年まで続いた。(CPGS予算は各軍別の計上からDOD予算勘定に統合されている)アジア回帰を打ち出した2012年ごろに米海軍は海上配備CPGS機能取得に再び関心を示していた。
- この動きが同年末に勢いを増したのは米陸軍の高性能極超音速兵器開発が二回目テスト失敗で暗礁に乗り上げたためだ。業界誌 Inside Defenseによると「ペンタゴン調達局は次回テストは海軍に実施させたい意向で陸軍開発の高性能極超音速兵器を潜水艦発射管に収まるよう改装したうえで陸上試射場で試作品を発射する」今回海軍が成功したのは事業を引き継いでから大きな一歩になった。
- 弾道ミサイルベースのCPGS(DODは通常迅速攻撃と名称を変えている)から方向転換し極超音速飛翔に向かえば大きな利点が生まれる。まず敵側は通常弾頭弾頭ミサイルを核攻撃と誤認しなくなる。議会調査部門が指摘している。「DODは潜水艦発射中距離ブースト滑空装備でも同じことと言っている。特有の弾道型式となり核弾道つき弾道ミサイルと区別できる。さらにミサイルが新型ブースターを採用し核部隊に配備中のブースターと異なればロシアの早期警戒システム監視でも違いを認識するはずだ」
- DODは太平洋、欧州双方の第一線指揮官に何らかの極超音速ミサイルは2018年から22年の間に配備されると確約しており、海軍艦船が極超音速ミサイル運用を始めるとすればオハイオ級誘導ミサイル潜水艦四隻や新型ヴァージニア級攻撃潜水艦に搭載されるのは確実だろう。■
Image: U.S. Air Force
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