ここでも中国の技術開発のいびつさが出ていますね。技術は買ってこればよいと手を出しながら基礎技術が国内に蓄積されずエンジン開発ができないというちぐはぐさです。EMALSは米海軍もまだ完全に実用化していませんが中国がどこまで使えるか見ものですね。遼寧、001A艦と二隻は技術習熟用の観があり、真打が三番艦なのですかね。この建艦運用だけは正常進化のパターンです。
China’s aircraft carrier conundrum: hi-tech launch system for old, heavy fighter jets
中国空母の謎:ハイテク発艦装置を旧式大型戦闘機に使う
PLA Navy’s J-15s, based on a Soviet design more than 30 years old, are world’s heaviest carrier-based fighters
J-15は原設計30年以上たつが世界最大の艦上戦闘機だ
PUBLISHED : Sunday, 19 November, 2017, 9:02pm
UPDATED : Sunday, 19 November, 2017, 9:07pm
- 中国の国産空母二号艦は国産開発のハイテク発艦装置を採用し世界に通用する軍艦になるかもしれないが運用機材は大型で中国の目指す軍事力展開の理想像の実現には程遠い。
- 中国は空母運用技術で米国との差を埋めつつあるが、搭載機種の性能で米国から後れを取っている。中国は開発に10年以上かけ第四世代ロシア機のスホイSu-33からJ-15を生んだが、原設計は30年前だ。
- J-15は最大離陸重量が33トンと艦載機として世界最大だが人民解放軍海軍唯一の空母搭載戦闘機だ。その重量のため従来型の蒸気カタパルトに代わり電磁航空機発艦システム(EMALS)を中国三番目の空母で採用することになった。建造は来年開始の見込みだ。
- 「J-15だと米海軍ニミッツ級搭載の次世代C13-2カタパルトでも発艦が難しい」と軍事筋が語っている。米海軍も33.7トンのF-14トムキャットを運用したが、現在は軽量のF-18スーパーホーネットに交代させている。F-18の最大離陸重量はボーイングによれば29.9トンだ。
- 着艦時に艦載機は弾薬類を放棄し燃料を使い切らないと短く着艦できず発火爆発の危険が増える。F-18の空虚重量は14.5トンだがJ-15はこれより3トン重い。つまりJ-15は着艦時に空母飛行甲板を傷める危険が高い。
- 「EMALS実験からJ-15運用が楽にできることがわかった。中国が短期間で軽量戦闘機を製造するのは不可能なのでEMALSを使うのが近道だ」同筋によれば中国は可変速ドライブで必要な電力エネルギー変換でカギとなる絶縁ゲートバイポーラトランジスタinsulated-gate bipolar transistor (IGBT)チップ製造のめどがついたとのことでその他にも電気自動車や配電網や再生可能エネルギーで応用が期待できる。
- 開発したのは中国第一級半導体メーカー株洲中車時代電気 Zhuzhou CSR Times Electricと同社の英国関連会社Dynex Semiconductorで中国が2008年世界金融危機後に75パーセントの株式を取得している。
- PLA海軍の技術部門Ma Weiming少将のチームが開発した統合推進方式が技術上の突破口となり国産二号艦は世界最先端の発艦システムを運用するが原子力方式は不要だ。空母の離着艦には大量の電力が必要なので統合推進方式で供給する。同少将は実験成果から燃料消費が4割節約できると述べている。EMALSは発艦に大量エネルギー消費するが蒸気カタパルトより効率で優れ、保守管理が簡単で信頼性が高まり正確な速度制御を実現しながら加速がスムーズになる。
- CCTV取材で11月3日にYin Zhuo少将はPLA海軍装備研究センターで中国はJ-15運用で「数百回のテスト」をEMALSで実施済みでEMALS技術は成熟化し信頼性を確保したと語った。
- だが同時に理解に苦しむのは次世代中国空母でも現行機を継続運用するというのだ。米国と旧ソ連は空母構想で別の方法論を取った。米海軍では空母運用機材が空母戦闘群の攻撃力の要にしたがソ連はミサイルを主とし、航空機は効率の悪いスキージャンプ方式で運用した。中国の空母一号艦遼寧と姉妹艦001A(本年4月進水)はともにスキージャンプ方式を採用し、発艦は一度に一機だけの制約がある。これに対し米海軍のカタパルトは同時に4機発艦させられる。
- 「J-15はSu-33が原型で旧ソ連海軍のクズネツォフ級空母用に開発されたため制約が残る」と別のPLANに詳しい筋が語る。遼寧は未完のクズネツォフ級空母ワリャーグを香港のビジネスマンXu ZengpingがPLANの代理でウクライナ造船所から1998年に買い上げた。
- 中国は次世代艦載機FC-31(最大離陸重量28トン)をJ-15後継機として開発中でJ-15開発主任のSun Congを責任者にしている。中国本土の軍事ウェブサイトで掲載された写真では瀋陽航空機(J-15メーカー)がFC-31試作機を2機製造し、珠海航空ショーで2014年に出展したとある。
- ただし複数筋からFC-31開発は難航しPLANの要求水準にたしなかったとの証言がある。「中核的な欠陥」があったというのだ。
- 「FC-31用エンジンの国産化ができない」「FC-31ではテスト用にロシア製RD-93エンジンを積んだ」と最初の筋が述べている。別の筋は次世代戦闘機は「あと二十年後の実現となりJ-15が当面は中国空母の艦載機の座を守る」と述べている。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。