中国にとって日本ほど目障りな国はないでしょう。経済力、軍事力以外にその地理条件が中国の進出をどれだけ阻害しているか計り知れませんし、国民が知らないところで抑止力になっている16隻の潜水艦があるわけです。したがって中国が事あるごとに日本の弱体化を狙うのは当然でしょう。日米共同潜水艦運用構想は注目されれば、日本の「平和勢力」をけしかけて邪魔を中国がしてくるのは当然かもしれません。まして台湾も加えれば大変なことになりますが、反対が強いのはそれだけ中国に不都合なことの裏返しなので実現に向けて努力してもらいたいところです。こうしてみると中国の打つ手を日本に有利にするオセロ方式が有効なことが分かりますね。補給拠点の考え方は空軍でも見られますね。たくさんの空港と港湾が日本にはありますので、うまく活用できるはずです。ここでも「平和勢力」が邪魔してくると思いますが。
How the U.S. Navy Could Beat China in a War
米海軍はこうすれば中国に勝てる
November 21, 2017
- 原子力潜水艦のみの米海軍潜水艦戦力にディーゼル艦を追加せよと提言するのはどんな人たちなのか。
- そんな提案が出てきたのは今年3月の下院シーパワー兵力投射小委員会の公聴会で、「将来の戦力構造」研究で三団体から異なる意見が表明された際だった。戦略予算評価センター、MITREコーポレーション、そして海軍幕僚部が艦船数、種別構成、無人有人装備組み合わせまで広範な研究成果をそれぞれ発表した。
- 海軍幹部には各研究成果を比較検証した結果を海軍の公式見解とし戦力構造構想として議会に提出し艦船、航空機、武装の予算配分を決める根拠となる。ただし一つ共通意見がすでに生まれている。米海軍にはすべてがもっと必要なのだ。海軍の試算は将来の難易度の高いミッションをこなすには355隻が必要だとしおよそ3割の戦力増になる。
- 戦力拡張では低コストでも高効果の艦を大量調達する必要がある。ディーゼル電気推進潜水艦がその好例だ。海上自衛隊(JMSDF)のそうりゅう級は世界最高峰の通常型潜水艦と言われ日本の納税者は540百万ドルを各艦に負担している。これを議論の基準に使いたい。ヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦は2,688百万ドルで5倍の開きがある。
- ただしUSNI Newsのミガン・エクスタインによれば海軍作戦部付けの評価部門次長チャールズ・ウィチャード Charles Werchado が原子力・通常型混成で潜水艦部隊整備を提言したMITREを「強く非難」したとある。本人発言を引用する。
- 「こちらが中国のような国家ならディーゼル艦の大量調達を選択すればよい。敵と本国水域で戦えばいいからだ。だがこちらは艦を展開する必要があり、展開には燃料がつきものだ。ヴァージニア級は就役期間通じ燃料補給が不要だ。ディーゼル潜水艦に反対ではないが、母港から200マイル以内を戦闘水域にできなければ給油艦多数が必要となる。給油中は艦が脆弱だ。スノーケルを付けるのだろうか、これも脆弱性を増やす。グローバルな海軍力を展開するこちらには選択肢になりえない」
- と、地理条件、補給面、戦力からディーゼル艦に反対する。ではその反対意見を検分してみよう。まず地理だが反対意見は米ディーゼル艦の母港は米本土に想定しているようで、東アジアから遠い地点から活動するとしている。戦場になりそうな東シナ海、黄海から遠い地点にディーゼル艦を配備しても無意味だ。航続距離の制約は事実でこれは変えようがない。だがこの事を誇張すべきではない。賢い配備で距離は克服できる。
- 欠点を戦略的、政治的長所に変換すればよい。ディーゼル艦を多数調達し、戦闘地点に近い極東に恒久配備し、米日共同潜水艦司令部の下に置く。前方配備で解決できる問題は多い。例としてそうりゅう級潜水艦の航続距離は6,100カイリで北東アジアの哨戒に十分だ。米日両国が共通仕様艦を採用すればさらに優秀な性能が実現するはずだ。
- これは思い付きではない。ディーゼル艦の効果は北東アジアで実証ずみだ。米潜水艦は第二次大戦で日本を手ひどく痛めた。JMSDF潜水艦部隊は第一列島線で東西南北の海上通行を抑えている。冷戦中の日本の功績は海中戦力の整備でソ連潜水艦が日本海やオホーツク海から太平洋へ移動するのを探知していたためソ連潜水艦は近海から出られなかった。
- 連合側の海洋戦略で列島線防衛が再び重要になる中で理想的な展開ではないか。尖閣諸島を占拠しようとする中国のその他の野望も抑止できるのではないか。中国は西太平洋で簡単に活動できなくなる。潜水艦戦力を増強し、重要な海峡部分に待機させれば中国指導部が軍事冒険を望んでも動きを止めざるを得なくなる。接近阻止領域拒否戦術でディーゼル潜水艦の調達が中国に得策なら米日両国にも中国の動きを封じるべくディーゼル艦調達が効果的なはずだ。
- ここでから戦略面で対応が二つ生まれる。まず同盟関係の視点で潜水艦配備を考えてみよう。中国は同盟をバラバラにして個別対応しやすくしたうえで、米国を西太平洋から遠ざけようとする。したがって日本は米国の離脱を恐れる。米潜水艦部隊を恒久的に前方配備させ、かつ日米共同運用する以上に効果的な策が日本にあるだろうか。米国にとってもアジアから離れない姿勢を示すことになる。
- また日米両国が台湾に共通仕様ディーゼル艦を建造させたらどうなるか。台湾にジョージ・W・ブッシュ政権はディーゼル潜水艦8隻建造案を16年前に提示した。だが米国内の造船所にディーゼル艦の知見がなく、かつ諸外国でも建造するところがなく、北京の激しい反発もあり構想は消えた。
- 今こそ構想を実現すべき時だ。新型潜水艦があれば台湾は防衛力増強となり1980年代のオランダ製旧式艦(驚くべきことに第二次大戦中の設計の延長である)二隻を米日共通仕様のディーゼル艦部隊に変更し共同作戦が可能となるので日米両国は政治面で勇気を絞り台湾と組むべきである。そうなればディーゼル艦で新しい戦略外交面の可能性が開ける。
- 次の問題は補給だ。米海軍の戦闘補給部隊の拡充が必要なことは議論の余地はない。だが通常型潜水艦が理由ではない。前方配備の米潜水艦は日本の補給活動をモデルにするはずで哨戒から帰還後に母港で補給する。これで両国は陸上補給施設に注力できる。有事となれば中国軍は横須賀や佐世保といった日本の拠点を攻撃目標に含めるはずだ。ミサイル攻撃を受ければ施設機能が失われ、部隊は深刻な影響を受ける。
- これに対し日米連合側は太平洋戦争から学べる。米海軍は西太平洋への進撃で補給、修理拠点を分散し、時には臨時施設で行った。日本に数多くある島しょ部や内陸湾を活用し即席の補給拠点にする策を考えるべきだ。連合側には臨機応変さが必要だ。通常動力の水上艦艇でも燃料補給は必要だ。原子力艦艇も燃料以外のすべての補給品が必要だ。補給面の課題はディーゼル潜水艦だけの問題ではない。
- 三番目にディーゼル潜水艦の脆弱性がある。ディーゼル艦は定期的に浮上するかスノーケルで空気を取り入れる必要があり、スノーケル使用でレーダー探知される。そうりゅう級では「大気非依存型推進」を採用し、最長二週間潜航したままでいられる。JMSDFはこの性能を有効活用しながら戦術を鍛錬し北東アジア海域の哨戒活動で相当の時間を海底に潜んでいる。
- ここに米海軍所属潜水艦が加われば哨戒活動が容易になる。使える潜水艦が増えれば一回の哨戒期間を短くできる。アジアのホットスポット地点近くに部隊を配備すれば解決可能な問題は多い。また補給拠点を各地に展開できる利点もある。これで対抗勢力は脅威を感じ、同盟・協力国側は楽になる。多様な面で有望な構想だ。
- MITRE提案に耳を傾けるべきだ。否定してもはじまらない。グローバル海軍力の艦艇すべてをグローバル運用する必要はない。ディーゼル潜水艦は将来の米海軍の選択肢だ。実行するか決めるのは議会と海軍当局だ。■
James Holmes is Professor of Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific (second edition forthcoming 2018). The views voiced here are his alone.
Image: Reuters.
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