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イスラエル潜水艦が核抑止力任務を担うのは公然の秘密


周辺国に深刻な対潜水艦能力がないためイスラエルは護衛をつけず比較的安全に潜水艦を運用しているのでしょうか。それにしても巡航ミサイルでは速度、距離、脆弱性といずれも弾道ミサイルより劣りますが、イランの現状を考えるとこれで十分という判断かもしれません。ただいつまでも同じ状況と思えず、本格的な弾道ミサイル潜水艦の取得に走らないとは思えません。


Israel Is a Military Superpower for One Simple Reason: 'Underwater' Nuclear Weapons

イスラエルが第一級軍事力を保有している国と見られる理由は「水中」核兵器の運用だ

October 27, 2017

イスラエル潜水艦部隊は小規模だが公然たる秘密がになってい核兵器搭載だ。ドルフィン級潜水艦5隻はイスラエルの安全保障で究極保証の奥の手だ。核攻撃を受ければイスラエルは核で反撃する。
  1. イスラエル初の核兵器は1970年代初頭に完成し、自由落下式爆弾とジェリコ弾道ミサイルが整備された。1991年の湾岸戦争でイラクのスカッド、アル・フセイン両弾道ミサイルがイスラエル都市部に落下し、イスラエルも空、陸、海配備の核兵器三本柱整備で核抑止力の必要性を痛感した。
  2. 残存性が一番高いのが海洋配備で、潜水艦に核兵器を配備する。潜水艦は数週間、数か月極秘の哨戒につき、発射命令を待つ。いわゆる「二次攻撃力」となり報復攻撃があると分かれば敵国も攻撃前に一度考え込ませる効果を生む。
  3. 湾岸戦争前に潜水艦三隻の建造が認可されていた。ただし建造当初から核兵器搭載が考慮されていたか不明だ。建造はドイツで、ドイツの財政負担で建造が始まった。ドイツは二隻の建造費支援を行い、三隻目ではドイツ自身の非拡散政策の不備でイラクが核・化学兵器開発を行ったことを反省し費用を折半した。
  4. 三隻はドルフィン、レバイアサン、テクマと命名され1990年代に建造されたが、就役は1999年から2000年になった。各艦は全長187フィート(57メートル)、1,720トン(潜航時)で実用潜航深度は1,148フィート(350メートル)だ。センサーにはSTNアトラスエレクトロニクCUS-90-1主ソナー、DBSQS-21Dアクティブソナー、AN 5039A1パッシブソナーを備える。PRS-3-15パッシブ測距ソナーとFAS-3-1パッシブ艦側アレイも搭載する。
  5. 魚雷発射管は計10本で、艦首に533ミリ標準発射管x6と650ミリ大型発射管x4を持つ。またダイバー用チェンバーもあるといわれる。武装はドイツ、米国、イスラエル製混成でシーヘイク大型有線誘導式魚雷、ハーブーン対艦ミサイルを搭載する。権威あるCombat Fleets of the Worldではドルフィン級はトライトン光ファイバー誘導兵器も搭載していると解説しており、有効半径9マイル以内ならヘリコプター、水上艦、沿岸地上目標を攻撃できる。
  6. 大型発射管4本が抑止力に重要だ。大型管から機雷敷設やダイバーの発進回収の他に核巡航ミサイル発射が可能で米海軍が2000年にスリランカ沿岸からミサイルが発射され推定932マイル(1,500キロ)飛翔したと確認している。これと合致するのが改良型ポップアイミサイルである。
  7. ポップアイは空中発射式対地攻撃ミサイルとして1980年代に開発され当初はテレビカメラや赤外線シーカーで750ポンド弾頭を45マイル(72キロ)運ぶ性能だった。米空軍が154発を購入しAGM-142ラプターの名称でB-52爆撃機に搭載した。イスラエルの核抑止力ではポップアイを改装した巡航ミサイルが大きな役割を果たしていると思われる。ポップアイターボと呼ばれターボファンエンジン換装で長距離飛翔を実現した。
  8. あるいはゲイブリエル対艦ミサイルを核弾頭対応にしているかもしれない。ハープーンを核改装したとの報道もある。真偽も核弾頭の規模も不明だが推定200キロトン程度と言われ広島型原爆の14倍だ。
  9. 射程932マイルならシリア沖合から発射してイランの首都テヘラン、聖都コムや北方のタブリズが射程に入る。イスラエルが二次攻撃力整備に走るのはイランの核兵器開発が動機である。シリアは理想的な発射位置ではないが、ミサイルの初発射から17年も経過しており、有効射程が延長されていてもおかしくなく、イランの他都市も攻撃範囲に入れているだろう。
  10. 三隻あれば常時一隻を核抑止力とできる。ドルフィン級は魚雷ミサイル16本まで搭載できるといわれるが核抑止力が主要任務なら半分を核兵器にできるはずだ。その結果、常時テヘランはイスラエル潜水艦の標的となっている。
  11. ドルフィン級第二段はドルフィンII級と呼ばれ2000年代中期に発注された。先代と同じ外観だが大気非依存式推進(AIP)が特徴だ。Der SpiegelによればドルフィンII級は最長18日間潜水できるという。ドルフィンII級は排水量が2割ほど増加し、ダイバー専用のチェンバーも搭載している。
  12. ドイツ政府がさらに三隻のドルフィン級建造を認可した。新型艦は第一世代3隻の老朽化に対応するもので、イスラエルは常時6隻を配備できることになる。イスラエルの海洋配備核抑止力は当面安泰と言えよう。
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: Creative Commons.


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