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★シリアへの地上軍展開でサウジアラビアはシリアの「流砂」で立ち往生しないか



日本からは今一理解が難しい中東情勢ですが、ここまで深刻になっている問題をどう解決するのか、答えはむき出しの暴力しかないのではないかと思います。平定後は民生復興にもっと努力が必要ですが、一度難民化した百万オーダーの住民を元に戻すためにも相当の努力が必要ですね。そうなると地上兵力の投入が避けて通れず、盟主を自任するサウジアラビア中心のアラブ軍だけで事に当たれるのか、米軍はじめとする西側軍事機構がどれだけ効果的な介入を実施できるかにかかっているのではないでしょうか。それにしてもここでもロシアの介入をむざむざと許したオバマ政権の失点が悔やまれますね。
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Syria: 'Quicksand' for Saudi Forces?

By Awad Mustafa and Aaron Mehta, Defense News10:03 a.m. EST February 14, 2016
(DUBAI and BRUSSELS — 米国に湾岸アラブ同盟各国からシリアでの有志連合軍活動への貢献拡大を約束する声が届いたが、現在展開中のアラブ各国によるイエメン介入を見る限り実効性が疑わしく見えてくる。
  1. 氏名不詳のサウジ政府関係者が今月初めに15万名を湾岸協力協議会に参加するスーダン、エジプト、ヨルダンの部隊をトルコ国内からシリアへ侵攻させると述べていたが有志連合軍に参加中の少なくとも二か国から否定されている。
  2. ヨルダン政府関係者はトルコあるいはアラブ主導によるシリア侵攻には参加しないが、国連決議が出て西側部隊も参加の上ロシアが調整するなら話は別と述べている。
  3. 「ヨルダンにシリア派兵の意向はないが、英米が中心となれば別個考える」と上記関係者は匿名を条件に述べている。「イラク、シリアとは550キロにものぼる長い国境線がある。ヨルダン軍含め地上軍派兵は国連が認めた上でロシアが調整に入れば実施できる」
  4. クウェート政府高官が2月9日ロイターにクウェートはイスラム過激派に対抗する国際努力を支持するが、湾岸アラブ諸国の憲法では防衛目的以外の参戦は禁じていると指摘していた。
  5. 「クウェートはサウジアラビアと全方位で国境を共にしている。我が国憲法の制約範囲内で可能ないかなる貢献を湾岸各国向けに提供する用意はある」とシーク・モハマド・アルムバラク・アルサバー内閣府相はドバイでロイターに述べている。
  6. 同相は作戦支援は情報共有や有志連合軍向けの拠点提供に限定されるとも示唆している。
  7. 地上作戦について国防長官アシュ・カーターが2月11日にブリュッセルで多数の選択肢をアラブ各国と検討中と紹介した。
  8. 「まず軍部隊と警察部隊向け訓練がある。訓練の実施に地上に部隊を配置する必要がある。次に、各国軍の支援と場合によっては同行がある。これは地上部隊で実施できる範囲だ。この可能性はすでに議論しているが、これ以上ここではお話しできない。特殊部隊に関する問題で、きわめて特別な能力に関する話題だからだ」
  9. 「また兵站補給の支援、ラマディ復興の支援についても検討した。すべて融資連合国が参画できる内容で、サウジアラビアも当然ここに含まれる。また課題のaあらゆる点を検討している」
  10. サウジがシリア、イエメンで二正面作戦を実施できるのかについてカーター長官はだれもその実施を望んでいいないとしながらサウジには能力とやる気があり、対ISIS戦闘に自国資源をつぎ込む覚悟ができていると述べている。
  11. 「サウジに代わりお話しできないが、イエメンで事態鎮静化を願うばかりだ、イエメン国民のためににも戦闘が下火になることが望ましい」
  12. ウバイ・シャバンダール(前米国防総省、現在ドバイのドラゴーマンパートナーズを主宰)によればシリア国内でサウジがプレゼンスをどれだけ示すかはサウジの関与次第だという。
  13. 「サウジは空輸能力と特殊部隊で特に兵力投射能力を整備してきました。迅速に移動させ現地で協力関係を作ります。これはアメリカのやり方を参考にしていますが、選び抜かれた精鋭部隊です。下命あれば素早く機動的に展開し、あらゆる事態に対応できます」「つまりサウジにとってトルコ南部への進駐は容易だということです。」
  14. ただしシリアの地政学的条件は複雑で、ロシアも介入し、イランが北部にプレゼンスを置いているため事情が異なるはずだとシャバンダールは指摘する。
  15. 「トルコ・アラブ連合軍がシリア北部に侵攻するためにはNATOが空から支援するか各国の支援が必要でしょう」
  16. サウジ軍のイエメン介入でアラブ側は多大な資源投入を迫られており、同じ水準で兵力を多方面に投射するのは難関と指摘する。
  17. 「兵站補給の問題があるからと言って派遣部隊を送ることを躊躇する理由にはならないし、シリア-ヨルダン国境に偵察部隊を送る、またはシリア-トルコ国境にトルコまたはヨルダン軍部隊を送ることも同様だが、不確定要素はNATO、米国のいずれかか双方が航空支援を効果的に提供できるのか、シリア南部北部のダーシュ(ISIS)を平定できるのかだ」とする。「ロシアが空爆を継続していることも忘れてはならない。結果としてシリア北部やダマスカス郊外でダーシュが力をつけている」という。
  18. またシーア派外国人戦闘員がシリア国内に搬送されており、その視点ではシリア北部に侵攻するアラブ連合軍は一義的な脅威にとらえると指摘する。アレッポ前線で戦闘に加わっているシーア派過激派がイラン革命防衛隊の指揮下にあり、その意味ではイエメンで抵抗するフーシと同じだという。
  19. サウジがイエメンに派兵しているのは自国南部方面の国境の保全が主目的であると湾岸地区の安全保障軍事面で詳しいマシュー・ヘッジスは指摘する。「サウジ軍は国内の基地から作戦を展開している」という。
  20. サウジアラビアが投入するのは特殊部隊と戦闘航空機および少数の兵員になりそうだ。ただし、イエメンでの投入規模(戦闘部隊3,500名、支援部隊6,500名)を上回ることはないだろうとヘッジスは述べた。
  21. 「イエメンなのかシリアなのかの選択で人員の質が大きく変わる。戦闘経験があるのは一部の兵員に限られ、両方面で有能な働きができる兵員数は多くないだろう。サウジアラビアがシリア地上戦の実施準備ができているとの報道は各国に対して対イスラム過激主義への戦闘を早く実施させ、アサド政権の復権にも対抗させようというねらいがあるのだろう」
  22. 国家国防大学校のポール・サリヴァン教授によればサウジアラビアは軍事活動、外交活動ともに手を広げすぎないよう注意が必要と指摘する。シリアは「流砂」になりかねないというのだ。
  23. 「もしサウジアラビアがUAEやその他GCC加盟国とともに関与しなければシリア問題は一時的な解決しか望めない。ISIS問題にはモスレム教徒の軍隊が対処すべきと考える向きが多い。それはある程度正しいのだが、サウジアラビアやその他GCC加盟国は多くの脅威に今日直面しているのだ」
  24. 「そこでシリア問題の大きな課題は軍事的対応で脅威の深刻化を避ける点だ。おしなべてどのように戦闘状態を下火にすることにかかっており、もっと大事なのはシリアを再建し、国民に希望を与え、仕事や住居を確保することだ」■


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