2016年2月28日日曜日

★主張:次期主力戦闘機の姿はこうあるべき




Aviation Week & Space Technology

Opinion: Defining The Next Fighter

It’s the process, stupid
Feb 25, 2016 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology

第六世代戦闘機でまっさきにすべきことは第六世代戦闘機の呼称をやめることだ。ロッキード・マーティンが「第五世代」の呼び方を一昔前にロシアから借りてきて以来、この呼称が論争の種となっている。「高帯域ステルスにこそ資金投入すべきでその他機種は陳腐化する」と言ってきたが実証されていない。
  1. 名称はともあれ、F-35共用打撃戦闘機(JSF)の後継機種の話題が盛り上がりつつある。特に米海軍は切迫している。なぜならF-35CはF/A-18A型からD型のクラシック・ホーネットの後継機種であり、スーパーホーネットが残るからだ。空軍が想定する1,763機のF-35調達は2040年代まで続くが、その間にF-22ラプターの供用期間途中の改修 (MLU) あるいは新型機への交代が避けて通れなくなる。
  2. 超音速巡航、長距離運用が可能で俊敏な機体に全方位広帯域ステルス性能を与え、可変サイクルエンジンを搭載すると考えると興奮してくるが、既存のメーカーしか手がけられない事業になる。他社の参入は不可能で高水準の利益が期待できる。問題は長距離打撃爆撃機(LRS-B)より少ない予算で驚異の機体が実現できるのかという点だ。
  3. 開発開始が2020年代となるとJSFからほぼ30年後になるが、JSF自体が高性能戦術戦闘機・高性能戦術攻撃機構想(F-22と取り消しになったA-12アヴェンジャーIIにつながった)の10年後に立ち上がっている。第四世代戦闘機も依然として活躍しているはずで、SaabのJAS38Eが供用開始、ラファールとタイフーンがMLUの検討対象になっているだろう。
  4. 新型機開発では過去の過ちから教訓を得るべきだ。機動性、ステルス、超音速巡航の要求からF-22は大型尾翼、推力方向変更式エンジンノズルとともに期待を下回る飛行距離の機体になった。1995年には短距離離陸垂直着陸型のJSFの制約条件が他型に影響を与えないと楽観的な見方が主流であった。現実は違っている。
  5. 新型有人戦闘機の仕様が決まる時点で無人航空機(UAV)が普通に運用され、無人戦闘機(UCAV)が実用化されているはずだ。UCAVが有人機にとってかわることはないが、次期戦闘機の設計に影響を及ぼすのは必至で、実際に一部のミッションは無人機が肩代わりしているだろう。敵防空網の制圧・破壊や接近電子攻撃などだ。海軍のRAQ-25艦載空中給油無人機構想で議論となるのは戦闘攻撃機の有効飛行距離と威力を拡大するかどうかだ。
  6. 指向性エネルギー兵器は現実のものになるだろう。技術革新はすぐそこまできている。もっと可能性があるのは大型機でミサイル防御など実現しやすい装備が実用化されれば一気に新しい応用がひろがるだろうし、技術改良や生産面での進歩は1990年代末の照準ポッド開発の事例と似た様相を示すはずだ。
  7. 投下後は自律飛行する小型精密誘導爆弾では現実になっている。将来の戦闘機が一個2,000-lb.の大型爆弾二発しか搭載せずに小型兵器多数を運用する可能性は高い。搭載兵装の見直しもありうる。JSFの兵装庫はMk. 84爆弾(1946年設計の低抗力外部搭載兵器でだれももう覚えていないダグラスA2Dスカイシャーク用に想定された)の運用が前提で設計されている。
  8. LRS-B経費を青天井にしないため空軍は偵察攻撃能力もひとつにまとめた。新型戦闘機でも同様になるだろう。より多くの機能を与え、UAV各機と連携させ、長距離攻撃が可能でジャミングに強い兵器を運用させれば、自機のセンサーを使わず生存性も高くなる。自律運用も可能となるだろうが、運用の中心モードににはならないだろう。
  9. そして適応力がなんといっても大事だ。JSFが登場した二十年前の中国の軍装備は1950年代ソ連製が中心で、携帯電話は大都市限定で、イラクのフセイン大統領の封じ込めは面倒な仕事だとみられていた。業界ではデジタル機能搭載戦闘機第一世代のMLU構想を練り始めたところで、「陳腐化」という語句は深刻ではなかった。
  10. 2036年の世界は想像できないので、適応するしか方法がない。オープンアーキテクチャのみを使い、電子装置のハードウェア・ソフトウェアを迅速にアップグレードし、新しい生産方式の採用で機体を変更していくのだ。
  11. 実施は容易ではない。何十年も事業を継続できるチャンスはもう生まれないが基本的に良いことだ。また業界を活性化するのもいいことだ。■

この記事の著者ビル・スィートマンは40年にわたり航空宇宙、防衛分野のジャーナリストをつとめ、当時はうさん臭かったヨーロッパのエアバスの可能性に初めて着目し、ボーイングの7J7やソニッククルーザーは名ばかりの存在と見抜いた。またRQ-170やRQ-180といったUAVやオサマ・ビン・ラディン殺害の際に投入されたステルスヘリコプターの存在を初めて伝えている。またステルス技術にも明るくJSFでもそのコメントが都度注目を集めている。


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